太陽光発電のプロが全部教える!1029万円得する過積載の教科書

過積載?なんか危なそうな言葉だけどなんだろう?

この過積載という言葉を聞いて、このような感想を持った方も多いと思います。

太陽光発電業界で「過積載」というのはパワーコンディショナーに接続する太陽光パネル意図的に増やした接続方法です。
例えば49.5kWのパワコン(9.9kW5台)に75kW(300Wパネル250枚)のパネルを接続するような形です。

発電しているのはパネルですのでパネルを増やした分だけ売電収入は上がります。

このような接続方法はパネルメーカーもパワコンメーカーも想定していませんでした。
パネルが高価だった時代は過度な過積載の設計は安全性や捨ててしまう電気がもったいないという理由で敬遠されてきました。
しかし2012年に固定価格買取制度(FIT法)が始まってから5年が経過しています。

しかし、今では投資効率を高め、電源としての安定性を高めるという意味でも過積載に注目が集まっています。
買取単価40円時代の50kWの発電所と、買取単価21円のパネル容量90kW近い発電所では実は利回りはあまり変わらないという事例もあるほどです。

この記事は太陽光発電のプロである私が、日照条件やピークカットや捨ててしまう電力などを全て網羅したシミュレーションをつくってみた記事です。

かなり面倒なシミュレーションですので、本来事業者に依頼をすると有料になってしまうレベルですが、今回は場所やパターンを限定して掲載いたしますので是非参考にしてみてください。

これまでどのサイトでも書かれてこなかった「過積載の裏側」の根拠となる記事です。
過積載やピークカットの「本当のところ」がわかります。

正しい情報さえ持っていれば今でも太陽光発電は有力な投資先だということがお分かり頂けると思います。
21円の買電単価でも(年間)10%以上の利回りが出せるのですからチャレンジしない手はありません。

1 50kW以下のパワーコンディショナーに、より多くのパネルを接続する「過積載」

49.5kWのパワーコンディショナーに70kW、80kWの太陽光パネルを接続していく過積載。
発電しているのはパネルですので、パネルを増やせば増やすほど売電収入が上がります。

パワーコンディショナーというのはとても重要な機器で

  • 発電効率を最大化するため電圧・電流を制御する
  • 発電された直流の電気を交流に変換し売電する

という2つの機能を担っています。

しかし、パワコンは発電するわけではありません。

売電量を増やすためにはパネルに注目するのが基本です。

 

ではパワコン容量よりも過度に大きな容量のパネルを繋いだ場合、何が起こるでしょうか?

50kWの容量のパワコンは50kWの電気しかはいりません。
パワコン容量を超える電力はパワコンに入力された時に捨てられてしまいます。

これをピークカットと言います。

また、パワコンには「定格入力」という「ここまでしか電気を入れてはいけませんよ」という制限値があります。
この制限値を超えた入力は故障の元。

過積載はこのピークカットと定格入力を睨みながら行う投資効率を上げるためのテクニックです。

“ピークカット”

  • パワコン容量よりも発電量が多い状態の時に、電気を捨てざるを得ない現象
  • 日本の気象条件ではパネルの定格容量通りの発電量がでないため、パワコンよりも大きな容量のパネルを接続したからといって必ず発生するわけではありません。

“過積載率”

  • パワコン容量とパネル合計容量の比率のこと
  • 49.5kWのパワコンに74.25kWのパネルを接続している状態を過積載率150%といいます。

1-1 どこまで過積載をすべきか 見えないピークカットを可視化する

過積載をどこまでやるべきか?

ちょうどいい過積載率はどのくらいなのか?
その時のピークカットはどのくらいなのか?

私が色々な方によく聞かれる質問です。

しかし、この回答は意外と難しく、しかも感覚的な回答になってしまいがちです。

実際の発電所でどのくらいピークカットが発生したのかという実際のデータは私も見たことがありません。

監視装置はパワコンからの出力を見ており、ピークカットで捨てた後の電力量をモニタリングしています。
どのくらい捨てたのか?というデータが記録として残らないのです。

記録が世の中にないので、「実際のところこのくらいピークカットがありました」という実績値もありません。

今回は商用のシミュレーションツールを使ってどのくらい過積載をするとどのくらいピークカットが発生するのかを確かめてみました。

1-1-1 シミュレーションツールを使って発生するピークカットを見てみた

今回は「パネル発電量」と「売電量」がわかるシミュレーターを使って計算しています。

ピークカット量 = (パネル発電量 × パワコン変換効率) ー PCSからの売電量
ピークカット率 = ピークカット量 / パネル発電量

としています。

シミュレーション条件
場所 千葉県佐倉市
パネル ジンコソーラー275W多結晶
パワコン SMA9.9kW 5台
架台角度 10°

過積載率とピークカット率の関係性

注 シミュレーションによる発電量を基準にしています。シミュレーション値よりも発電量が増えた場合、ピークカット量も増えることが予想されます。

また日射が強い地域ではさらなるピークカットが発生します。

シミュレーション内容の詳細は文末にまとめてありますので興味のある方は詳しくご覧になってみてください。

55kWのピークカット率が2.12%と記載されていますが、これは電圧不足でパワコンが動かない時間が増えたためです。

いかがでしょうか?200%もの強烈な過積載をかけた場合、肝心の売電量は189%にUPするにとどまっています。この失われた部分がピークカットです。

パワコン容量の49.5kWを基準にした場合、ちょうど同じ量(100%分追加の合計200%)の49.5kWのパネルを増やしたにもかかわらず、売電量は89%分しか増えていません。

果たしてこれは得なのか、損なのか?
実はこれ、圧倒的に得なのです。

その理由をこれから説明します。

2 重要なのはピークカットか?売電量のアップか? 1029万円得する過積載術

さて、過積載で投資効率をあげる為に重要になるのはピークカットではありません。
過積載をかけることのメリットが、追加投資にかかる金額と比べて大きいのか?小さいのか?

ここを比べることが重要になってきます。

  過積載のメリット — ピークカットによるデメリット  >  追加投資にかかる金額

それでは55kW〜99kWまでの売電量と20年間の売電額を調べてみましょう。
売電単価は21円。パネルの劣化率は0.7%/年。パワコンの変換効率は96.5%で計算しています。

過積載率と20年の収益性の関係

結論から言うとパワコン容量に対して200%までの過積載であれば、やればやるほど得をするという結果です。

土地代は賃貸や買取で条件が異なるため勘案していません。

施工価格ですが

 同業者がさらす!太陽光発電システムの設置費用を900万円下げる方法 を参考に組み立ててみました。

55kWのシステム価格と99kWのシステム価格を比較すると約556万円の価格差があります。

次に売電金額を調べてみます。

ラプラスシステムのシミュレーションでは20年で1585万円の増加でした。
(文末にシミュレーション結果をまとめてあります)

過積載のメリット — ピークカットのデメリット = 1585万円

ここから施工コストのアップ分を引くと20年で得する金額は約1029万円ということになります

ピークカットを恐れ、得られるはずの売電金額を得られない方が損だという結論です。

3 過積載のメリット デメリット

それでは過積載のメリットとデメリットを詳しく見ていきましょう。

3-1 過積載のメリット 明らかに発電量が増える

発電量が増える

過積載のメリットは何と言っても発電量が増えることです。
土地や日射量にもよりますが140%程度の過積載まではほぼピークカットが出ません。
ですので、この段階まではほぼ比例的に発電量が増えていきます。

また150%以上のピークカットが発生するような過積載ではどうかというと、ここも明らかに発電量が増えていきます。

パワコンにかける費用が一定である以上、パネルと架台に追加投資して行って損しないレベルであれば積極的に過積載を仕掛けたほうが特になります。

土地を有効利用できる

私が考える一番のメリットはこれです。
全量買い取り制度が始まった頃、一番優先する要因はパネルでした。
パネルに合わせて発電所を設計していたのです。

しかしパネルの単価が下がってきた今、最適化する対象はむしろ土地です。
土地に合わせ発電所を設計していく方法が一般的になりました。

過積載の最大の魅力は土地に対し、最大限パネルを配置していけるという点にあるのです。

曇りの日や雨の日に特に効果大!(曇りが晴れになる)

そしてもう一つ。あまり言われていないメリットがこれです。
晴れた日に発電量を稼ぐ太陽光発電所ですが、もちろん雨の日も曇りの日も発電します。

そして日本は雨に恵まれた国です。

この曇りの日や雨の日はピークカットが起こることはまずありませんので発電量は過積載を仕掛ければ仕掛けただけ得をしていきます。

通常の曇りの日の発電量

これはある低圧発電所の曇りの日の発電状況です。
70kW程度の過積載を仕掛けている発電所です。
一番発電している時間帯(13時〜14時)の発電量は約35kWh。

この日の合計発電量は227kWhでした。

仮に200%の過積載に当たる98kWの発電所だった場合1.4倍の発電をする形になりますので317kWhの発電量になります。

過積載発電所の発電量

低圧の発電所で 1日300kWh越えすればこれはもう「大当たり」と言える発電量です。

つまり過積載を積極的に仕掛けると曇り(1日150kWh)薄曇りに(1日220kWh)薄曇り(200kWh)晴れ(300kWh)に変えしまうことができるのです。

これが私が積極的な過積載をお勧めする最大の理由です。

パネルの劣化や故障に強くなる

こちらもあまり語られていない意外なメリットです。
もともとパワコンに対し、オーバーな量のパネルをつないでしまえば、1枚2枚のパネルが故障したところで痛くも痒くもありません。

特にソーラーエッジや田淵電機やオムロン(三相)などのMPPT制御が細かくなっているタイプのパワコンであればさらに故障や劣化に強くなります。

より安定な電源になる

太陽光発電や風力発電の欠点は「不安定電源である」という事です。

晴れれば晴れただけ発電し、雨の日は発電しない。
風が吹けば吹いただけ発電し、無風の日は発電しない。

しかし200%規模の過積載を仕掛けた太陽光発電所は、従来の発電所と比べるとピークカットと曇りの日の発電量アップでかなり安定的な電源になっているといえます。

3-2 過積載のデメリット

ピークカットが発生する

150%以上の過積載を仕掛けていった場合に発生するデメリットです。
ですが、このデメリットと「過積載を仕掛ければ得られたはずのメリット」を天秤にかける必要があるという点を忘れないでください。

2章で説明しましたが私の考え方はパワコン容量と比較して200%ぐらいの過積載までは「どんどん仕掛けた方が得をする」という考え方です。

土地が広くないとできない

これは明らかなデメリットです。
1000〜1200平米の土地を狙う必要があります。

しかし、狭い土地であれば狭い土地なりにパワコンの容量を小さくするなどやりようはありますよね。

正しい設計をしないと保証が下りない可能性がある

パワコンメーカーやパネルメーカーによっては未だに過積載に対して慎重な場合があります。

実際「どれくらいまで過積載をしても大丈夫ですか?」という聞き方をするとまともに答えてくれないメーカーがほとんどです。

一般的にはパネルメーカーは過積載に対して制限をすることはあまりありません。
難色を示すのはパワコンメーカーの方です。

メーカー保証がきちんと使える範囲での過積載をセット化しているパッケージもありますのでそちらも参考にしてみてください。

>>> 太陽光発電ムラ市場 過積載セット

施工店やメーカーの部署によっては推奨していない

国内のパネルメーカー、パワコンメーカーは「電気を捨てるのはもったいない」という観点から「あまり過積載は仕掛けるべきではない」という立場をとってきました。

そのためメーカーや工事店の中に「過積載率は130%以下」などという内規が存在した時代もあったようです。
その内規が「お触れ」として地方の工事店さんに残ってしまっていることもありますので工事店さんによっては過積載に否定的な方もいます。

金融機関の評価が低い場合がある

これも悩ましいところです。
170%の過積載を仕掛けて利回りをぐっと引き上げたのに、金融機関がシミュレーション時にパワコン容量でシミュレーションをし直してしまい、赤字案件として融資を断られたというお話しもあります。

この対策としては、実際に過積載を仕掛けている発電所の発電実績値を見せるのが一番有効です。
稼働実績を評価してもらい、融資を引き出したという方も何人もいらっしゃいます。

4 過積載の限界に挑戦する

土地がちょっと広すぎて2区画分くらいとれそうなんだけど、認定の関係でどうしても詰め込みたい!
という方もおられると思います。

そういう方向けに過積載の限界値を検討しました。

4-1 過積載型発電所の設計方法を簡単に理解する

それは

  • パワコンの最大入力電圧・最大入力電流・入力回路数
  • パネルの解放電圧・短絡電流・温度計数

で決まります。

詳しくはこちらの決定版!太陽光発電投資で得するパワーコンディショナーの選び方に記載されていますので、ここでは簡単に説明します。(第5章  過積載をするためのパワコンの評価の仕方

 

【パワコンを見る】
まずはパワコンの入力回路数と定格入力電圧をチェックします。
例えばSMAの三相パワコンであれば6入力の定格入力電圧は600Vです。

【パネルを見る】
ジンコソーラー多結晶275Wの場合、公称解放電圧39.1V 短絡電流9.15A 電圧の温度計数(-0.31%)です。

温度計数-0.31%と言うのは標準状態(25℃)から1℃パネルの温度が下がると電圧は0.31%上がると言うことを意味します。
-5℃の時は約10%の電圧上昇があるということがわかります。

【パネルをつなげたストリングを見る】
普通太陽光パネルは7〜13枚のパネルを直列につないだストリングという単位をパネルにつないでいきます。
このストリングが何直列なのか、そしてそのストリングをいくつパワコンに繋がられるのかが「パワコンに入るパネルの上限値」になります。

SMA三相パワコンとジンコソーラー275W多結晶での計算例 
交渉解放電圧 39.1V 短絡電流 9.15A 温度計数(-0.31%)
39.1 × 1.1(—5度の時の温度計数) = 43V
600 / 43 = 13.9 枚 ⇨  14直列は繋げない

つまり、13直列 6入力が マックスとなります。

SMAのパワコンはデータシートを見ると36A以下と記載されていますが、実際には36Aを超えても問題ないと技術文書に記載されています。

このようにパワコンごとに少々癖がありますので細かい部分はメーカーに確認する必要があります。

4-2 オムロン三相パワコンで作る限界過積載セット

さて、いよいよ最強の過積載セットの検討に入ります。

パワコンは200%過積載制限のないオムロンの三相パワコンで決まりです。
過積載という観点から現在最強のパワコンになります。

定格入力600V
63A
7回路入力

というメーカースペックです。
今のパネルは短絡電流が9A以上あるので7回路全てを使うことができません。
使用できるのは6回路のみです。

電流値を超えても問題ないとしていたSMAと異なり、オムロンの場合は電流値の制限を守ってほしいという態度を取っています。この辺のメーカーごとの態度の違いも過積載の重要なポイントです。

それでも6回路に対し、仮に13直列組んでいったとしたら1つのパワコンに78枚はいります。

285Wパネルの場合は22.2kW。
275Wパネルの場合は21.45kWに相当します。

78枚×パワコン5台 = 390枚 これは285Wでは111.15kW。
275Wでは107.25kWになります。

ここまでが安全な過積載の限界値です。

14直列で組んで同じ計算をすると温度計数をかけた時に603Vとなり、定格入力を若干オーバーします。
これはパネルの温度がマイナス5℃の時に日射マックスが入ってきた場合に発生する条件です。

ありえないと思うかもしれませんが、それでも気温が下がるエリアではやめておいた方が無難でしょう。
冬に日射が期待できるエリアでは14直列は危険です。

4-3 オムロン過積載セットを配置するために必要な面積は?

13直列というちょっと難しい並びなので計算をシンプルにするため 5段13列という架台で組んだと仮定します。

5段13列 6ユニット

限界過積載に必要な土地面積

この場合、単純計算すると1200平米の土地が必要になります。

(パネル間離隔2mで計算)

理想的な箱型の土地が見つかった場合、このくらいの面積で200%過積載の発電所を作る事が可能です。

 

4-4 趣味の過積載 300%過積載の発電所

ピークカットで捨ててしまう電気をバッテリに蓄電しておいて夜になったら売電できないの?

過積載とピークカットの仕組みを勉強した方なら誰もが考える方法だと思いますが、その方法を採用した発電所は実際に幾つか稼働しています。

300〜700%の過積載でシステムを組み、蓄電池を使用しながら売電していく仕組みです。

300%(パネル150kW近辺)の過積載ですと4500万円程度のシステムでした。

ただ電力会社との連系やメーカー保証の対応が決まりきっておらず、まだまだ誰もがチャレンジできるシステムにはなっていません。

 

5 まとめ

  • 太陽光発電投資ではパワコンよりもパネルを大きく設計する「過積載」が投資効率が高い
  • パワコンと土地を上手に選ぶと200%程度の過積載が可能
  • その時に発生するピークカットはシミュレーションによると投資効率を落とすほどは大きくない
  • 土地と売電単価に合わせ、正しい設計をすることが重要

6 詳細データ

ピークカットの試算に使用したシミュレーションデータを列挙します。

一般的にシミュレーションツールによる発電予測は1割程度「低め」に出ることが多いです。

そのため、この試算よりも多く発電した場合、その分ピークカットは増えてしまいます。

またより日射が強い場所の場合、さらなるピークカットが発生します。

しかし試算よりも発電が増えるということはそれだけ投資効率は高まると言うことを意味します。実際の実績ではこの試算よりもピークカットが増えることも十分あり得ますが、それにより投資効率は落ちないという考え方をしています。

 

1.66kW発電所

千葉県佐倉市 ジンコソーラー275W 200枚
ピークカット量 0
ピークカット率 0%

 

2.75kW発電所

千葉県佐倉市 ジンコソーラー275W 240枚
ピークカット量 0.24kWh
ピークカット率 ほぼ 0%

3.82.5kW発電所

千葉県佐倉市 ジンコソーラー275W 275枚
ピークカット量 357kWh
ピークカット率 0.44%

4.99kW発電所

千葉県佐倉市 ジンコソーラー275W 360枚
ピークカット量 6.681kWh
ピークカット率 6.58%