「投資用太陽光発電システム用地探し」の基礎知識とトラブル事例

「太陽光発電所向けの土地探しって意外と難しいなぁ」

太陽光発電所向けの土地探しを始めると誰もがぶつかる壁ですが、これは基礎知識が不足しているから。
太陽光発電所の設置において土地探しは外注しづらく、一番の難点と言っていいかもしれません。

日当たりが良い土地を見つけて喜んでいたのに、電柱がない、農地、水害地域などの様々な理由で太陽光発電所には使えないと言われてしまうと凹みますよね。

中にはこの太陽光発電所のシステムが成立する条件を知らないで、全く何にも使えない土地を1億円で購入してしまった方もいました。

どうせなら最初から条件が全てわかった上で土地探しをしたいものですが・・・

実は太陽光発電所向けの土地は、見つけた段階では太陽光発電所の設置に使えるかどうかはわかりません。

売電を受け入れる電力会社の送電網とも関係してくるからです。

だからこそ数多くの候補を出してその中から太陽光発電所に使えそうな土地を絞っていき、通常はプロジェクトを同時並行で複数進めていくことになります。

2017年4月現在、経済産業省から設備認定されている太陽光発電所計画のうち、約半数がまだ稼働していないというのはこのような事情があります。

だからと言ってただ太陽光発電所に詳しい方の言いなりになって闇雲に土地探しをしたり、挙句の果てにタダ働きとなってはたまりません。

そこでこちらの投稿では、太陽光発電所の土地探しをされている方向けに太陽光発電システムが成立する土地の条件と探し方について全て伝授していきます。

特別な資格や技術は不要です。最後まで読んでぜひ太陽光発電所の土地探しをしっかりとビジネスにつなげてみて下さい。

1 投資用太陽光発電システムとは

 太陽光パネルだけでは太陽光発電は出来ても電気を利用することは出来ません。まずは投資用太陽光発電システムの基礎についてご説明します。

1-1 太陽光発電システムの概要

 

 こちらは一般的な投資用太陽光発電システムの図です。

 複数枚の太陽光パネルによって構成される太陽光モジュールで発生する直流の電気をパワーコンディショナーによって交流に変換し、電力会社に売電されます。

太陽光発電所内でも、保守機器、監視装置、照明、エアコンなど必要とする電力があるため、夜間などは逆に電力会社から電力を購入することになります。

1-2 太陽光パネル(太陽電池)

太陽光発電所
 太陽光のエネルギーを電力に変える装置です。1枚あたりの出力は150〜350W程度とデスクトップパソコン1台分程度鹿発電できませんが、複数枚設置することによって10枚なら10倍、1万枚なら1万倍の出力となります。

 例えば250Wのパネルが10枚使えば2,500Wなので2.5kW(キロワット)、10,000枚使えば2,500,000Wなので2.5MW(メガワット)となります。

 近年では投資効率を上げるため、後述するパワーコンディショナーの出力より多めの出力を設置する“過積載”と呼ばれる設計の発電所も増えてきました。

 基本的に投資家の間では太陽光発電所の出力と言えば太陽光パネルの出力の合計のことです。

 大抵のメーカーが製品保証10年、出力保証25年をつけて販売しています。

1-3 パワーコンディショナー

パワーコンディショナー
 太陽光パネルで発生した直流の電力を交流に変え、出力を調整する装置です。小さなもので数kW〜数MWまでメーカーによって様々なタイプがあります。

 メーカーによって変換効率に違いがあり、変換効率が高いパワコンの方が売電収入も大きくなります。

 太陽光発電所を構成する他の部材に比べ製品寿命は短く、10年ほどと言われています。

1-4 架台

太陽光業者の施工風景
 太陽光パネルを固定するための台です。施工性がいいアルミ製、または価格が安い鉄製が主に使われています

 架台はパネルの角度や設置する地域によって耐積雪量、耐風圧が変わりますので、地域の条件にあったものを採用する必要があります。

パネルの角度が決まればその土地に置ける太陽光パネルの枚数が決まります。基本的にはその地における冬至の日の太陽の高度が一番高い時間に、前の列のパネルの影が後ろの列のパネルにかからない様に設置します。

1-5 キュービクル(高圧受変電設備)

 キュービクルとは太陽光発電所で発生した電力を、電力網と同じ電圧に変換する設備のことです。

 2章で詳しく書きますが、太陽光発電所は基本的にパワコンの出力によって50kW未満であれば100V(単相)または200V(三相)の低圧、50kW以上2MW未満であれば6.6kVの高圧、2MW以上であれば66kWの特別高圧で電力網に接続する必要があります。

2 日本の太陽光発電システムの種類と設置条件

 FIT(固定価格買取制度)を利用して太陽光発電所を設置する際には、ある程度の広さと電力網に繋ぐための電線が必要となります。発生した電力を自分で使用して余った電力を売電する余剰買取制度、発生した電力を全て売電する全量買取制度の2つの売電方法があります。

基本的に余剰買取制度は家の屋根向け、全量買取制度は遊休地や工場の屋根など大きな面積向けのものとなります。

それぞれの買取期間、買取価格についてこちらのページをご参照下さい。
(参考:なっとく再生可能エネルギーHPより)
http://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/kaitori/fit_kakaku.htm

2−1 電線の見分け方

 太陽光発電所はその規模毎に接続できる電線の種類が違うため、電線ごとに接続出来る太陽光発電所の規模を電線の種類を見分けるようになるためには、今の電力がどのように供給されているのかを知る必要があります。

  
 現在、殆どの電力は火力発電所や原子力発電等の大規模発電所で作られています。各種発電所で作られた電力は送電ロスを 下げるためなるべく高い電圧で送られます。  

・送電鉄塔と送電線

こちらは送電鉄塔と送電線。発電所で作られた電力は送電鉄塔を 通って変電所まで送られます。この送電線に繋げるレベルの太陽光発電所は 2MW以上の特別高圧(2−5で解説)となります。

・変電所

こちらは変電所です。変電所では送電鉄塔を経由して送られた22kV以上の 電力を使いやすい6.6kV電圧に変えます。 22kV以上は特別高圧、6.6kVは高圧と呼ばれます。

・電柱と配電線

  
こちらは電柱と配電線です。

変電所で6.6kVになった電力は 電線工場や家庭などに送られます。 図中の一番上の三本の線が6.6kVの高圧線(2−4で解説) 真ん中から右に伸びている三本の線が 200Vの低圧線となります。

電柱中部に見えるポリバケツ状のものが トランス(変圧器66kV→200V)です。 50kW未満の太陽光発電所(2−3で解説)用地の場合、この低圧線とトランスがある電柱が用地に隣接していることが理想的ですが、自前でトランスを購入することも出来るので高圧線のみの場所でOKです。 なお、写真の一番下の線が巻き付いている線は 電話線なので関係ありません。

 高圧、特別高圧の施設ではそれぞれキュービクルが必要となりますが、低圧であれば必要ありません。

2-2 家の屋根には余剰買取の太陽光発電

 家の屋根等の10kW未満の太陽光発電所は余剰買取と言われる制度で運営されます。余剰買取とは発電した電力を自宅で使用し、余った電力を電力網を通じて電力会社に販売する制度のことです。

この太陽光発電所は南、又は東西に向いた屋根があれば基本的にどこでも発電ができます。なお、北向きの屋根は発電量が大幅に減少する事、ならびに太陽光パネルからの反射光が近隣の住宅等に入り訴訟になるケースも有る事からお薦めしません。

 南や東西を向いた屋根の面積が70㎡以上になれば全量買取(10kW以上)にして買取期間を10年から20年に伸ばすことも可能です。

2-3 個人投資家向けには全量買取の太陽光発電(低圧)

太陽光発電所

 10kW以上の太陽光発電所は全量買取制度が適用されます。全量買取制度では発電所で発電した電力は全て電力網に販売されます。

こちらは50kW未満の低圧太陽光発電所。総費用は3百万円〜3千万円ほど。主に個人投資家が設置しているものとなります。土地の形にもよりますが目安として100㎡〜1500㎡ほどの1日を通してあまり影の掛からない面積の土地が必要となります。

 敷地の隣に容量の大きいトランスのついた高圧線が張られた電柱があることが理想的ですが、低圧線でも後述する電圧上昇抑制を気にしなければそのまま連系することも出来ます。

 また、低圧線または高圧線が隣になくても近くまで来ていれば、電力会社に工事負担金を支払えば太陽光発電所を設置することが出来ます。工事負担金の目安は1mあたり低圧で3,000円、高圧で1万円となります。

2-4 法人向けには全量買取の太陽光発電(高圧)

 こちらは50kW以上2MW未満の高圧と呼ばれる太陽光発電所です。総費用は2,000万円〜9億円ほど。法人が所有するケースが多いです。

形にもよりますが目安として5,000㎡〜50,000㎡ほどの1日を通してあまり影のかからない面積の土地が必要となります。

 低圧と違い数百万円かかるキュービクルが必要となります。費用対効果を考えると、土地が狭い場合は無理に高圧を設置するよりは限られた面積で低圧の発電所を設置した方がいいケースもあります。

 投資収益性が高い土地であれば電力会社に工事負担金を支払い、数kmほど離れた土地から高圧線を引っ張ってくる事も可能です。

2-5 機関投資家向けには全量買取の太陽光発電(特別高圧)

 

 こちらは2MW以上の特別高圧と呼ばれる太陽光発電所です。総費用は10億円以上。50,000㎡以上の1日を通してあまり影の掛からない面積の土地が必要となります。

 自力で1億円ほどする変電所を設置する必要があるため、面積は広ければ広いほどいいですが、面積が広くてもどれだけの規模の発電所を設置できるかは送電線の空き容量によります。

 また、送電線が隣接していることは稀なので、ほとんどのケースで自ら鉄塔を建設して近隣の送電線に繋ぐ必要があります。場所や条件にもよりますがこの費用は1mあたり10万円ほどとなります。

3 太陽光発電所と電力網が抱える問題

 太陽光発電所を繋ぐ電線はどれも同じに見えますが、地域や条件によってどれだけの規模の太陽光発電所を繋げるかが変わってきますし、リスクの大きさも違います。

3-1 電圧上昇抑制 GW前後の休日に注意

 電圧上昇抑制とは太陽光発電所が接続されている電力網の電圧が上がりすぎ、太陽光発電が正常に行われていても一時的に売電が停止されてしまう現象のことです。

 太陽光発電所が売電をするためには、太陽光発電所側の電圧が電線の電圧より高くして逆潮流とよばれる状態を維持する必要があります。

 しかし、近隣に多くの太陽光発電所があって需要が少ない地域だと電線の電気が余り、電線の電圧が高くなりすぎて逆潮流が起こらず一時的に売電が停止してしまうことがあります。

 電圧上昇抑制が生じた際には、電力会社との協議によってある程度軽減させることは出来ますが、このリスクを完全にゼロにすることは非常に難しいです。

 あまり電力需要のない郊外で太陽光発電所を設置する際にはパワコンのモニタをよく確認して、電圧上昇抑制が生じていないかしっかりチェックしましょう。

3-2 出力抑制制御 電力会社からの指示による一時的な制御

 出力抑制制御とは電力会社が再生可能エネルギーで発電した電気を買い取ることを制限するために、一時的に売電を停止させる事をいいます。

 太陽光発電所が増加したことにより、電力が供給過多になる可能性がある時に電力会社は一時的に太陽光発電所の売電を強制的にストップさせることが出来ます。

2017年6月現在、出力抑制が離島以外で実施されたことはありませんが、再生可能エネルギーの導入量が増えた上に、原子力発電所が再稼働をすれば電力が余るため出力抑制が行われる可能性があります。

 出力抑制については無制限および360時間以内があり、適用可能性があるかどうかは地域や発電所の規模によって異なりますが、電力需要の多い東京電力、関西電力、中部電力エリアの50kW未満の低圧の発電所については出力抑制の予定は今のところありません。

詳細なルールについてはこちらを参考にして下さい。
(参考:資源エネルギー庁 固定価格買取制度の運用見直し等について)
http://www.enecho.meti.go.jp/committee/council/basic_policy_subcommittee/016/pdf/016_015.pdf

3-3 力率制限とは電力会社からの指示による恒常的な制御

 力率制限とは太陽光発電所からの出力によって生じる電力網の電圧変動(電圧上昇)を抑制するために、パワコンの出力を抑制する制御のことです。

 力率とは交流電力の効率に関して定義された値であり、皮相電力に対する有効電力の割合の事を指しますがこれについては詳しく知る必要はありません。100%に近いほど売電に有利だと思って下さい。

 再生可能エネルギーの導入比率が増えている地域に太陽光発電所の設置をしようとした際に、電力網の電圧を適切に維持させるため電力会社から力率を最大80%にまで制限することを求められることがあります。

 力率を制限されることによって売電量が減ってしまいますが、力率が100%から80%になっても売電量が20%減少するわけではありません。

 売電量の減少幅は力率の制限値とその太陽光発電所の過積載率(パワコン出力を1とした時の太陽光パネル出力の比)によって変わります。

 例えば力率が90%だとしたら売電量の減少率は過積載率1.3の太陽光発電所で1.5%、過積載率1.5の発電所の場合で4.5%となります。

(参考:東京電力 電圧変動対策に関するお願いについて)
http://www.tepco.co.jp/pg/consignment/distributor/attention/pdf/20140519.pdf

4 太陽光発電所の立地によるリスク回避の方法

 太陽光発電所を設置する際に、法律や気象条件を考慮しておかなければ天災のリスクに常に怯えたり、最悪のケースでは法令違反で発電所を撤去しなければならなくなることもあります。

4-1 太陽光発電用地に関する法律

 太陽光発電所の土地は価格が安くないと投資として成立しないため、基本的には農地または林地で行われることが多くなります。

(出典:岐阜県農業振興地域マップ)
https://gis-gifu.jp/gifu/maps.action?mp=1290,_default&ll=136.9989907645,35.6423696196&z=1&_oldid=144

 候補地が農地である場合は農地法および農業振興地域の整備に関する法律(いわゆる農振)、森林である場合は森林法に抵触しないかを確認しなければなりません。

 以下に太陽光発電所の設置に際して、遵守しなければいけない法律の一覧を掲載します。なお、全てを網羅しているわけではありませんので、必ず計画を推進する際には設置予定地の県、市町村の都市計画課等に確認をして下さい。

(参考:資源エネルギー庁事業計画策定ガイドライン 付録より)
http://search.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000156363

4-2 津波と水害はハザードマップで必ずチェック

 太陽光発電所の設置する上で一番怖い災害は津波と水害です。特に津波はほとんどの保険会社で取扱がなく、あったとしても非常に高価になり大きなリスク要因となります。

 津波も水害も各自治体が必ずハザードマップを出しています。発電所設置予定地が危険区域内に入っていないか必ずチェックをしておきましょう。

 仮にハザードマップに入っていた際には、潔く撤退するかそれを理由に値引き交渉を行ってみましょう。

4-3 影の影響

 太陽光発電所を設置予定地の南側に建物や木があったとしたらそれがどれだけ影響してくるのか。シミュレーター等を使えばしっかりと計算ができますが、手間と時間がかかってしまします。

そこでお薦めなのが携帯アプリを使う方法です。予定地でGPSをオンにして日時を冬至にセットすれば携帯のカメラを通じて太陽の軌跡がわかります。

あとは太陽光発電所の設置予定地の最前列のパネルの高さで携帯画面を覗き込めば、建物や木が発電所のパネルに影を落とすかが一瞬にしてわかります。

有料(¥1,200)ですが、本気で太陽光発電所の開発をしていくのであれば必ず携帯にインストールしておきたいアプリです。

(参考:Sun Seeker)
http://www.ozpda.com/applications.php

 

5 太陽光発電所の用地の確保方法

 太陽光発電所の用地の確保のためには、土地の探し方と価格の決め方を知る必要があります。
 

5-1太陽光発電所の土地の探し方

 太陽光発電所の用地を探すには簡単ではありませんがコツはあります。正しい方法さえ知っていればあとは努力の量を増やすだけです。地域を絞って出来るだけの行動をしていきましょう。

また、土地探しをしていると必ず地権者の何人かは、土地を譲らずに自分でやりたくなる方が出てきます。そのような際に業者を紹介してコミッションをもらえるようにしておくとお小遣い稼ぎにもなります。

5-1-1 まずは親類、友人などできるだけ多くの人に連絡を

 まずは親類や友人などできるだけ多くの人に太陽光発電所の用地を探していることを伝えましょう。自分が一生懸命不動産屋に回っているのに両親が太陽光発電業者に二束三文で土地を売ってしまったという話も珍しくありません。

5-1-2 不動産屋さんにはコンサルティング料を支払う契約で

 低圧の太陽光発電所の土地は単価が安く、土地も高圧ほど広くないので通常の仲介手数料では不動産屋さんは動いてくれません。成功報酬で仲介手数料の他に最低30万円ほどコンサルティング料をお支払いする契約を結び、積極的に動いてもらいましょう。

 他にも宅建業免許のない土地ブローカーや、土地情報に詳しい土木業者、議員などからの紹介で情報を得る方もいますが、不動産取引経験のない方がトラブルに巻き込まれるケースが数多く見られます。

 誰の紹介でも問題があった時に紹介者は責任を取ってくれません。不動産取引によほど慣れた方でなければ、第三者との不動産取引は不動産業者に仲介を依頼することをお薦めします。

5-1-3 インターネットでも見つかる太陽光発電用地

 40円、36円時代であれば太陽光発電所の土地情報はなかなかネット上に出回りませんでしたが、太陽光発電所投資バブルが収まった今、ネット検索で土地を見つけられる機会も増えてきました。

(参考:Yahoo不動産)
https://realestate.yahoo.co.jp/land/03/

(参考:Suumo)
http://suumo.jp/tochi/

 また、競売物件情報サイトもこまめにチェックしていると掘り出し物の案件が出てくることがあります。

(参考:BIT 不動産競売物件情報サイト)
http://bit.sikkou.jp/app/property/ps001/h02

5-1-4 決まったエリアで土地を探す時は地図を作って直接交渉も

 自宅の近所など決まったエリアで太陽光発電所の土地を探す時は、不動産屋さんに頼るだけではなく、以下の手順で自力で進めて行くと可能性が広がります。

1.太陽光発電所を設置したい地域を決める
2.市町村の農地課、都市計画課で太陽光発電所が設置できない地域を確認する
3.グーグルマップの航空写真で南側に遮蔽物のない土地を確認してチェックを付ける
4.3でチェックした土地の周辺で聞き込みにより所有者を探し、直接交渉する
5.4で見つからない場合は法務局で登記を調べ、地権者に手紙を出して交渉する

 5が最後の手段なのは、いきなり送られてきた手紙に返信をして頂けるケースは非常に珍しいからです。保険の営業の方で、この方法を使って本業と同時に土地探しをして3ヶ月で低圧10基以上の土地を探したというケースも有りました。ぜひお試しください。

5-2 太陽光発電所の土地の価格の決め方

 太陽光発電所の土地の賃料としては平成27年度の資源エネルギー庁の調達価格算定委員会から実際の取引に置ける中央値、150 円/㎡/年が基準としてFIT価格が算出されています。

(参考:調達価格等算定委員会‐「平成27年度調達価格及び調達期間に関する意見」について)
http://www.meti.go.jp/committee/chotatsu_kakaku/pdf/report_004_01_00.pdf

 こちらのデータを明示した上で交渉を始めれば、地権者さんにもある程度安心して話を聞いて頂ける事が多いです。ちなみに売買の際は賃料の10年分が相場です。

たまに賃料の20年分の前払いを請求してくる地権者さんもいますが、基本的に土地の収益は年利5%が基準と言われているため、20年分の前払いの際は先払いする分、割り引くと行った形で交渉すると筋が通ります。

 もちろん競合の存在によって土地の価格は大きく上下しますので、まずは情報を引き出すことを心がけて下さい。

5-3 土地取引のトラブル事例

 太陽光発電所の土地取引は、不慣れな方が多いのもありトラブルが良く発生します。特に競合がいて急かされた時にトラブルに陥るケースが多いため、以下の事例を参考にしてみて下さい。

5-3-1 買った土地で太陽光発電所が設置できなかった

 太陽光発電所向けに土地を購入しても、電力会社の都合で売電が出来ない土地や、造成渡しと聞いていたのにデコボコのまま土地を引き渡されて、造成費を考えると発電所が設置できなかったという事例もあります。

 私もブローカーからの紹介で日当たりの良い場所だからすぐに手付金を入れてくれと言われた場所が、営業中の釣り堀だったことがありました。

 一度入金をしてしまうと契約内容を変更するのが難しくなりますし、口約束はまず果たされないものと考えましょう。必ず入金前に契約内容を書面で確認した上で契約書を交わして下さい。

 また、契約書を交わす際は電力会社との契約が出来なかった時に契約が解除できるよう、必ず停止条件付きの契約を結んでおきましょう。

5-3-2 手付金を支払ったが地権者にお金が支払われていなかった

 太陽光発電所の土地情報、特に40円、36円時代の電力会社との契約済みのいわゆる「権利付き」と言われる土地にはたくさんのブローカーが介入するケースが大半です。地権者に至るまで5人以上のブローカーを経由することも・・。

 間に入る人が多くなればなるほど手数料が高くなりますし、地権者さんに会う前に手付金を支払ってしまい、ブローカーがそのまま逃げてしまう事もあります。太陽光発電所の土地探しは、ブローカー経由となる事もありますが契約は必ず直接地権者さんと会って行って下さい。

5-3-3 近隣住民から反対運動を受けた

法律上は太陽光発電所を設置できる土地を購入しても、近隣住民の反対運動にあって設置を断念するケースもあります。法的には問題がないと言って強引に計画を進めても、せっかくの太陽光発電所が投石でもされたらたまらないですよね。」

 近隣住民の方が反対される理由は、太陽光発電所に対する理解不足もありますが、単純に地権者や請負業者との個人的なトラブルを抱える方が煽動しているケースも多く見られます。土地勘のない場所に太陽光発電所を設置しようとする際は、出来るだけ契約前に近隣の方に挨拶に行き、情報収集をしておきましょう。

6 まとめ

・太陽光発電所は規模によって繋げられる電柱が違う
・太陽光発電所を規制する法律、および電力会社の契約をクリアするまで
・不動産取引はトラブルが多いので慣れていない方は不動産屋さんの仲介を

投資用の太陽光発電所の土地探しは簡単ではありませんが、業者でも苦労するところを自分でやる分、リターンは非常に大きくなり投資回収期間が2年も3年も早くなります。

まずは恐れずに挑戦して、ぜひ一緒に日本に一つでも多くの太陽光発電所を増やしていきましょう。太陽光発電所を設置する際の基礎知識が身についたあとは、以下のサイトで全体的な流れも把握してみてください。

(参考:太陽光発電所を自作(DIY)して投資利益を最大にする完全マニュアル)
https://taiyou-hatsuden.jp/making-diy-solar-power-plant-404

(参考:初心者が1年で元本を半分回収した太陽光発電投資方法を完全公開)
https://taiyou-hatsuden.jp/method-of-solar-power-investment-by-beginner-invester-352