誰でも簡単に出来る太陽光発電投資の発電量&事業シミュレーション

太陽光発電シミュレーション記事のアイキャッチ画像

「売電収入はシミュレーションより20%ほど上振れしますから大丈夫ですよ」

 

太陽光発電分譲を売っている調子のいい営業マンは必ずこう言います。

 

「このより20%も上回ったらどれだけ儲かるか・・・」

事業計画を見ながら皮算用をしてしまう方も少なくないことでしょう。

でもお待ち下さい。その20%上振れの根拠はなんですか?

20%上振れしなかったところで営業マンな責任を取ってくれませんし、それどころか売電収入が20%低い可能性もあります。

実は太陽光発電のシミュレーションには明確なルールがないので、故意であろうがなかろうが大げさなシミュレーションをしても罰せられる事はまずありません。

知識のない業者のシミュレーションは、たまたま日射量が多い年の近隣のデータをシミュレーションの根拠とすることが多々あります。

でも日射量というのは平均から最大で20%ほど上下します。たまたま日射量が20%良かった年のシミュレーションを提示されていたとしたら恐ろしいことですよね。

せっかく有利だと思って投資した太陽光発電所が、ローンの返済に苦しむ原因になっている方も少なくありません。

これは太陽光発電投資のシミュレーションには発電量と事業自体のシミュレーションをそれぞれ理解できていないがために起こってしまう悲劇となります。

 

 でもこのページをご覧になっているあなたは大丈夫です。こちらの記事を読めば、太陽光発電シミュレーションについて、業者以上の知識をつける事が出来ます。

しっかりと学べば騙されるリスクは非常に小さくなるだけではなく、専門の知識を持つ者として金融機関へ融資を申し込む時の立場も非常に有利になります。

ぜひ一つ一つ学んで実践し、勉強していない投資家や業者より有利に太陽光発電投資を進めていきましょう。

太陽光発電のシミュレーションコンテンツの流れ

1  太陽光発電シミュレーションの種類を理解しましょう

 太陽光発電投資を行う際に、業者から売電収入見込などの収支シミュレーションをあてにして事業の計画を立てたり、金融機関と交渉をしたりすると思います。

 しかし、このシミュレーションは明確な基準がないことはあまり知られていません。シミュレーションは誰が作ったか、そしてその根拠をはっきりして目的ごとに使い分けられるようにしておきましょう。

 各シミュレーションはそれぞれ作った方の思惑が入りますので、必ずご自身でもシミュレーション行って確認をして下さい。

発電量シミュレーションの違い

1-1  パネルメーカーのシミュレーションは控えめ 

 太陽光パネルメーカーは独自に自社パネルによって太陽光発電所を設置した際に発電量を計算するシミュレーターを用意しています。

 こちらはNEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)のツールに準拠したものがほとんどですが、シミュレーションより低い発電量が出るとクレームに繋がるためか、実際の発電量より控え目な数値を採用している事が多いです。
(参考 NEDO 大規模太陽光発電システム導入のための検討支援ツール)
 

1-2 設置業者によるオリジナルのシミュレーションは要チェック

 前述のようにパネルメーカーのシミュレーションはクレームが来ないように低い数値が出がちです。しかし、設置業者や分譲業者にとっては売電シミュレーションが高いほうが施設を高く販売する事ができるため、独自にシミュレーションを行う事が少なくありません。

 その際にはNEDOのシステムに準拠したシステム効率(約73%)を現実的な数値(80〜85%)に直して独自のシミュレーションデータとするケース、市販の業務用太陽光発電の販促ツールに付帯しているシミュレーションを利用するなどのケースがほとんどです。

 しかし、中には近隣の天気が良かった年の実績の数値をそのまま採用するなど、悪意を持って異常に高い発電量を提示する業者もいます。太陽光発電の発電量は年間の日射量にほぼ比例しますが、年間の日射量は平均から最大で上下20%の差異があります。

 設置業者に寄るシミュレーションは必ずデータの根拠の提示を求め、ご自身でも気象データを使ったシミュレーション(2章でお伝えします)を行って下さい。

1-3 マニアックな専用ソフトを使ったシミュレーション 

 一部の太陽光パネルメーカーや太陽光発電所の設置業者は、シミュレーションの客観性を担保するために信頼性の高い専用のソフトを使う事があります。お薦めはPV syst(英語)とSolar Pro(日本語)です。

数あるシミュレーションソフトの中でもスイスのPV systは、25年前から太陽光発電のシミュレーション研究結果をもとに作られているため、欧州の金融機関から非常に信頼性の高いソフトとして評価されています。

しかし、PV systは安全マージンの考え方が高すぎるため、日本で流行りつつある過積載の太陽光発電所のシミュレーションが出来ず、最近は日本のラプラスシステム社のSolar Proが使われることも多くなってきました。

 本気で取り組みたい方は購入してみてもいいと思いますが、PV systは全て英語で10万円強(1300CHF)さらに主にスイスで行われるトレーニングが20万円弱かかりますし、トレーニングを受けずにマニュアルだけを見て詳細なシミュレーションをするのは非常に困難です。しかし、太陽光発電のシミュレーションの基礎からしっかりと学べるので、この道のプロになりたい方にはおすすめです。

 

 Solar Proは全て日本語です。価格も2017年3月に私が導入した際は20万円弱でした。導入のハードルが比較的低く、過積載のシミュレーションも出来ますがPV systから比べるとシミュレーションのパラメータが減ります。比較的シンプルに日本の太陽光発電所のシミュレーションをしたい方におすすめです。

 いずれのソフトもパラメータをいじれるようになっているので、素人を騙そうとすれば簡単に騙せてしまいます。専用ソフトを使ったシミュレーションだからと言って結果を鵜呑みにするのは危険です。必ずご自身でも簡易シミュレーションを行いましょう。

PV syst(PV syst社)
 
Solar Pro(ラプラスシステム社)
 

2 シミュレーションを自分でやってみよう 

 自分でシミュレーションが出来るようになれば、悪質な業者に騙される可能性は減ります。また、太陽光発電所の用地を紹介された時なども、瞬時に投資の簡易事業計画をその場で立てられるようになります。

2-1  10秒で売電収入見込みの目安をつける私のやり方

 太陽光発電所の土地契約はスピード勝負。売電収入見込がわかればその場で大体の事業収支がわかるので助かりますよね。そんなの売電収入見込みを10秒で計算する式はこちら。

発電量シミュレーションの概算

こちらの簡易シミュレーションは関東〜関西地域あたりでの私の経験則を元にしています。もちろんパネル角度や気象条件、影の影響等で実際の発電量は異なってきますので目安程度にご利用下さい。

2-2 誰でも出来る気象データを使ったシミュレーション

 NEDOは太陽光発電向けに全国837箇所における29カ年分の日射量データを公開しています。こちらのデータを利用して太陽光発電所の発電量シミュレーションを行ってみましょう。

新潟市のパネルが60kW、パワコン(パワーコンディショナー)49.5kW、パネルが真南を向いていてパネルの傾斜角度が20度、売電価格36円の発電所を例にします。

発電量はほぼ日射量に比例しますので、その場所の日射量を調べるところから。まずはNEDOの日射量データベースのページを開いて下さい。

NEDO 日射量データベース

自分でシミュレーションしてみましょう手順1

MONSOLA11をクリックして、地図から地域を選びます。

太陽光発電量シミュレーション2

地図上の「関東・甲信・北陸・東海をクリックします

太陽光発電量シミュレーション3

地図から新潟を選び、右下のオレンジのアイコン「この地点のグラフを表示」をクリック

太陽光発電量シミュレーション4

①角度指定を選択
②傾斜角は20度なので20度を選択。この時点で傾斜角20度の時の
 方位角(南からズレている角度)別のデータがグラフに出ます。
③必要なデータは真南だけなので全てOFFを選択
 (表示は選択後なので全てONになっています)
④方位角0を選択。
⑤こちらに新潟市の1日平均の日射量(今回の場合、3.55kWh/㎡)が出ます
1年間の発電量=3.55(日射量)✕365(日)✕60(kW)✕0.8(ロス率20%)
        =62,196kWh

1年間の売電収入=62,196(kWh)✕36(円/kWh)
        =2,239,056円(税抜)

 シミュレーションにおけるロス率は20%で見ることが多いですが、この新潟市に実在する発電所の発電実績と気象庁の日射量データから2016年のロス率を計算すると15.2%でした。

このシミュレーションはロス率によって売電収入が違いますが、ご自身で事業計画を作る時は80〜85%ほどにしておけばいいでしょう。金融機関が事業評価をする際は70%にして、累計キャッシュフローがマイナスになる年が無い事が一つの目安になるようです。

売電価格が21円でも年間売電収入が200万円以上になるような案件が多くみられますので、業者のシミュレーション任せにせず、ぜひご自身の手で実際に計算してみて下さい。

2-3 (一般の業者以上を目指す方向け)シミュレーションツールの使い方

 1-3でご紹介したPV syst(英語)とSolar Pro(日本語)について簡単にご案内します。殆どの方には必要ないと思われますので興味のない方は3事業シミュレーションを行って投資内容を決定しましょうまで読み飛ばしてください。

2-3-1  世界のプロ向けソフトPV systの使い方

 こちらは説明文も結果も全て英語です。英語が苦手で辞書を引く根気も無い方は2−3−2のSolar Proを使ってみて下さい。

PVsystの使い方を見たい方はこちらをクリック

まずはサイトでダウンロードをしてみましょう。体験版専用のソフトはなく、登録後30日間は無料で使えます。30日後以降はライセンスを購入して認証キーを入力すれば再び使えるようになります。

PVSYSTダウンロードページ
 

 メールアドレス等を登録すればすぐに使えるようになります。そのままでも世界中の気象データが使えますが、日本のNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)のデータを入れてみましょう。

 外部からのデータ取り込みにはNEDOのデータが整理された状態になっているExcelファイルを行単位でコピーする必要があります。

 こちらに私の方で整理したデータがありますのでダウンロードしてご利用下さい。なお、極稀にミスがありますので必ず内容を確認してからご利用ください。

PVSYST用Excelファイル
 

PVsyst用NEDOデータ

PVSYST用Excelファイルを開き、使用したい場所のデータの列全体をコピーします。この状態のままPVSYSTを開きます。

PVsyst初期画面

まずはこちらの画面からDatabasesをクリック

PVsystのDatabese画面

左上のGeographical sitesをクリック。

PVsyst データインポート画面

こちらの画面でImportボタンを押すと、Excelデータから列ごとコピーした際にキャッシュに残っていたデータがPVsystにインポートされます。

PVsyst 地域データ

Geographical Siteの名前を決定し、Saveで保存します。

PVsyst Grid Connected選択画面

PVSYSTのトップページに戻り、Project design → Grid Connectedを選択します。

PVsyst site and Meteo選択画面

Site and Meteoを選択します。

PVsyst Country選択画面

CountryでJapanを選び先ほど作ったファイル名を選択します。各欄の▼を押した際に頭文字を入力すると該当するも文字までジャンプしてくれるので便利です。例えばJをおすとJamaicaに飛んでくれるのでJapanを選ぶまでの時間が短縮できます。選択できたらOKを押して下さい。

PVsyst NewVariant選択画面

New Variantでファイルを作成します。このようにPVSYSTではプロジェクト毎に複数の内容のシミュレーションが登録できるようになっています。

PVsyst Orientation選択画面

次にOrientationをクリック

PVsyst Orientation詳細画面

①Unlimited shedsを選択。野立ての断面図が出てきます。
②パネル傾斜角を入力
③パネル方位角を入力
④アレイの列数を選択
⑤各列の設置間隔を入力。列と列の間ではなく基準となる列の
 最前部から次の列の最前部までの距離です。
⑥受光部分の長さとなります。架台がパネルからはみ出る際は
 その部分も加えた長さを入力します。

 パラメータを変更するたびに画面中央上部のShading limit angleが変わります。これは冬至の時期の9時から15時にパネルに前列のパネルの影がかからないおおよその限界角度となります。

後述するShow OptimisationとShading Graphでパラメーターを調整し、決定する際はOKを押します。

PVsyst Show Optimisation選択時の画面

Show Optimisationをクリックすると。こちらのグラフが出ます。縦軸が発電量、横軸がパネル角度です。

緑の線が前列のパネルの影の影響がない時の発電量、黒の線が影の影響を考慮した時の発電量、オレンジの線がパネルのセル単位のロスまで考慮した時の発電量となります。

PVsyst Shading Graph選択時の画面

Shading Graphをクリックするとこちらの画面になります。縦軸が太陽の角度、横軸が方位角。6h〜18hは6時から18時の時刻。◯で囲まれた1〜7の数字の線は右上に記載されたそれぞれの時期の太陽の方位と角度になります。

グラフ下部中央の線はそれぞれShading limitの時、影の影響が20%出る時、影の影響が40%出る時を表す線です。線より下の点の状態にある発電所は、後列のパネルが発電出来ない事を表しています。

PVsystのsystem選択画面

次にSystemをクリック。

PVsyst System詳細画面

①系列の数を入力します。通常は1です。
 違うパワコンを同じシステムに組み合わせるなどの際に2以上となります。
②システムを面積、パネルの合計kW数から大まかに決める時に使います。
 No Sizingを選べば使用する機器から逆算してシステム容量を決めることが出来ます。
③パネルのメーカーと種類を入力します。最近のメーカーやモデルは
 登録されていないものも多いので、該当するパネルがない際は初期画面
 のDatabaseから登録する必要があります。
④パワコンのメーカーと種類、台数を入力します。こちらも該当するものが
 ない際はDatabeseから登録する必要があります。
⑤Mod in seriesに1ストリングあたりのパネル枚数、Nbre stringsに
 ストリングの合計数を入力します。容量オーバーになって
 エラーが出る際は、それぞれ四角のチェックボックスをクリックすると
 最適な設計を自動計算してくれます。

PVsyst System実行時の画面

90kWを狙おうと思いましたが、65kWが最適だとの結果が出ました。これ以上パネル枚数を増やすとエラーが出るのでこちらでOKを押します。

PVsyst Simulation選択画面

MandatoryとOptimalの欄が全て緑になったらSimulationを押します。木や建物などの影の影響も考慮したい際はNear Shadingsで描画することになりますが、非常にエラーやフリーズが出やすいのでその際はこまめに保存して作業をして下さい。

PVsyst Simulation選択画面
Simulationをクリック

PVsyst Continue選択画面

Continueをクリックすると

PVsyst シミュレーション簡易結果表示画面

シミュレーション結果が出てきます。これではわからないのでReportをクリックすると

PVsystシミュレーション結果1

詳細データが出てきます。まずは発電所概要

PVsystシミュレーション結果2

こちらが発電量予測。月ごとの数値も出てきます。上に概算の発電量が、下に実際の発電量データが出てきます。MWh表記になっていますので通常の取引単位のkWhにするためには1,000倍にする必要があります。このケースだと65.736MWhなので65736kWhとなります。

PVsystシミュレーション結果3

最後に発電ロスのダイアグラムが出てきます。

2-3-2 日本のプロ向けソフトSolar Pro を使ってみよう

Solar Pro使用画面

 Solar ProはPV systほど細かいシミュレーションは出来ませんが、影や力率の影響などかなり細かい設定まで出来るので、日本で太陽光発電事業を行うのであれば十分な機能を備えています。

 すべて日本語で書かれ操作方法も非常にシンプルなので、マニュアルを読まなくても一通りのシミュレーションが出来るようになっています。

 また、製造元のラプラスシステム社から非常にわかりやすいマニュアルがついていますのでこちらもご覧ください。 

Solar Pro マニュアル
 http://www.lapsys.co.jp/common/download/pro_trial_manual.pdf

また30日間の無料トライアルもついてますので、気になる方はぜひ使ってみて下さい。

Solar Pro(ラプラスシステム社) 
 http://www.lapsys.co.jp/products/solarpro/index.html

3 事業シミュレーションを行って投資内容を決定しましょう

 太陽光発電投資の事業シミュレーション比較

 では、発電量シミュレーションが終わったところで、実際に太陽光発電の事業シミュレーションをしてみましょう。パネルのレイアウトや部材、場所ごとにシミュレーションした結果を比較して、より良い結果となった物を実行出来るようになっています。

まずはこちらのエクセルシートをダウンロードしてください。以下、項目の埋め方を解説していきます。

太陽光発電投資案件簡易比較シート
 

3-1  売電単価

 平成29年度以降であれば、売電単価は電力会社と契約後に経済産業省の事業認定が出た時の単価となります。平成28年度以前の価格についてはルールが複雑なのでこちらのページをご参照下さい。

なっとく再生可能エネルギー 買取価格・期間等
 

3-2  20年分の地代

 地代は購入なら購入価格、賃貸なら20年分の賃料を記載して下さい。ちなみに地主さんから購入でも賃貸でもいいと言われた時の売買の相場は賃料の10年分ほどとなっています。

地代の基準を調べたい時は、経済産業省の調達価格算定委員会における議事録(委員長案0で確認すると目安となる価格が記載されています。土地の売買、賃貸交渉する際もこの数字を提示するとある程度やりやすくなるでしょう。

3-3  土地造成費

 土地の造成費はその土地によって大きく変わります。長年資材置き場にされていたような土地ではほぼかからない一方、傾斜地や竹林などでは土地購入費よりも割高になることもあります。

仮見積でもいいので不動産業者から現状引き渡しと造成渡しの価格情報をおさえておきましょう。

3-4  電力会社に支払う工事負担金

 通常であれば工事負担金は施工費用の総額の2〜3%以下となります。しかし、発電所設置予定地から電線や需要地から遠いケースや、近隣で極端に多い数の太陽光発電所が設置されているケースでは、施工費用の100倍以上になる事もあります。

土地の売買および賃貸契約は工事負担金がはっきりした後にするか、停止条件(取引を白紙に戻す条件)付きの契約を結んでおきましょう。

電柱が近隣にある場合、低圧であれば工事負担金は50万円前後、高圧でも100万円前後となる事がほとんどです。

3-5  太陽光パネルのW単価

 太陽光パネルの価格はワット単価(1Wあたりのパネル価格)で比較します。土地の広さに余裕があるならW単価の安く、信頼性の高いパネルを選びましょう。

土地が狭い際はワット単価が高くても出力が高いパネルを使うほうがいいケースもありますので、ワット単価が安いものと出力が高いパネルと両方の見積もりを取って価格を比較します。

もちろんパネル及びメーカー自身の信頼性もしっかり考慮して下さい。

3-6  パネル劣化率

 パネルの劣化率については各メーカーが公表している保証に準拠したものを埋めて下さい。通常は年間0.5〜1%程です。 

3-7  パネル枚数

 一定の土地に設置することが出来るパネルの枚数はパネルの大きさ、設置角度、パネルの列の間隔によって異なります。サイズの違うパネルの見積もりを依頼して投資効率を比較する際は、必ずそれぞれのレイアウトも入手してパネル枚数の違いも把握して下さい。

3-8 日射量と売電シミュレーション

 2−2でお伝えしたとおり、その土地における日射量と売電シミュレーションをして、売電収入予測を立ててみましょう。パネルの見積もりと同時に業者がシミュレーションを添付してくれますが、各社ともにシミュレーションの基準が違います。

基準を一致させるために複数の業者、メーカーから見積もりを取って比較検討する際は特に、必ずご自身でシミュレーションをしてみて下さい。

4 実践!シミュレーションを元に金融機関向けの事業計画書を作成 

投資する太陽光発電所の詳細が決まったら、金融機関向けに事業計画を作成しましょう。融資を受けずすべて自己資金で賄う際にも、各年のキャッシュフローを確認するために20年間の事業計画をたてておくことをお勧めします。

4-1  エクセルフォームで簡単に20年間の事業計画を作成

太陽光発電の20年の事業計画

 まずはこちらのエクセルシートをダウンロードしてください。   

新設太陽光発電所の20年間事業計画
 

 黄色い枠の各項目の数値を入力することで、20年間の事業計画が自動で作成されます。こちらの事業計画で20年間の収支を金融機関に提示しましょう。

 パワコンの交換などで収支が一時的に大きく赤字になる際は、融資の頭金を多く求められたり、融資自体を断られることになります。金融機関が融資に難色を示した際は、施工会社と相談して値引きを求めてみる、パワコンの延長保証をつける、または施工価格を減額させメンテナンス価格に反映させるなどの対策を講じてみましょう。

4-2 金融機関への説明方法 

 金融機関は金融のプロではありますが、太陽光発電についてはその支店や担当によって知識の幅は様々です。固定価格買取制度自体を理解していない担当も多く、買取価格の下落のニュースを既存の稼働済み太陽光発電所の売電価格が引き下げられていると理解していたケースは珍しくありません。

太陽光発電事業における主なリスクとその回避方法を以下に挙げていきます。金融機関に提示して融資のハードルをできるだけ下げていきましょう。

4-2-1 資金調達、資金不足リスク

太陽光発電所は非常に安定した投資ですが、融資の実行から売電の開始までの期間が空く、または秋に売電を開始して冬には一時的に売電収入より返済額の方が多くなるなどの理由によって返済が滞る事があります。

こちらに関しては手持ちの余剰資金を見せる、返済の据置期間などの制度を利用する事を明示して対応していきましょう。

4-2-2制度リスク

 太陽光発電の制度上のリスクは売電価格が20年の間に変わる可能性がある事と考えられています。それはこちらの条文が元になります。

(参考)電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法
 第二章 電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達等 第三条8  
「経済産業大臣は物価その他の経済事情に著しい変動が生じ、又は生ずるおそれがある場合において、特に必要があると認めるときは、調達価格等を改定することができる。

 しかし、この価格の変更については経済産業省におけるQ&Aや説明会においてまずないと否定しています。考えられる状況としては戦争、ハイパーインフレなどとなります。

4-2-3 不可抗力リスク   

 雹、落雷などの自然災害や事故、犯罪などによる発電システム損傷については保険でカバーすることを明記しておけば大丈夫です。電気的機械的事故に対する特約もつけ、電気事故リスクにも備えておけばまず問題とされ無いでしょう。

4-2-4  用地確保リスク  

 自身で土地を所有していない場合、太陽光発電所を他者から賃借または購入することとなります。この際は賃借又は売買の契約書面を添付しておきます。

4-2-5  完工リスク  

 支払いをした後、太陽光発電所が完成する前に施工会社が倒産をしてしまうと夫妻だけが残ってしまうことになります。

出来るだけ詳細な企業情報を収集して提示するとともに、金融機関が渋るようであれば支払のタイミングを出来るだけ後ろにする事が出来るよう施工会社に相談をしてみましょう。

4-2-6  日射量リスク  

 日射量の不足によるリスクに関しては、近隣の太陽光発電所での売電収入実績とともに、29年分の日射量データベースを提示しましょう。

近隣における売電実績は大抵、業者が持っていますが無い際は太陽光発電ムラFacebookグループに加入して募集してみて下さい。

(参考 NEDO 日射量データベース) 
 

(参考 太陽光発電ムラ Facebookグループ
  

4-2-7  機器性能リスク  

 こちらは主に太陽光パネルについて聞かれます。通常は20〜25年の出力保証が付いてきますので金融機関が気にするのは主に倒産のリスクです。   

 メーカーに問い合わせ、メーカーの歴史や親会社など信用が増す情報を提示しましょう。メーカーからBloomberg等のバンカビリティ(融資適格性)調査の結果などを持っている事もあります。

4-2-8  操業リスク 

 こちらは維持管理についてのリスクとなります。機械設備について交流部分は電気主任技術者による点検なので、通常の自家用電気工作物と同様の扱いとなります(50kW未満は不要)。

直流部分は専門のメンテナンス業者によって定期的な点検をして事故と故障による減益を避けましょう。

 後は主に除草対策となりますが、施工会社と契約をしてしまうか自分でしっかりと年間除草対策スケジュールを立てて金融機関に提示をしましょう。除草剤を用いるのであれば草が生え始める3月頃となります。

5 まとめ

 シミュレーションについて理解できたらぜひ数多くのシミュレーションを実行してみて下さい。シミュレーションはあくまでシミュレーションです。やり過ぎて失敗することはありません。

そして良いシミュレーション結果が出たら必ず実行してみてください。一緒に地球にも懐にも優しい太陽光発電をぜひ一緒に推進していきましょう。

・発電シミュレーションは基準がないので作り手の意図が反映されています
・発電シミュレーションは必ず自分でやってみましょう
・シミュレーションと売電実績、日射量データを活用して金融機関を納得させましょう

 

 

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