
太陽光発電を成功させるためには、ちょっとでもいい発電所を選びたいですよね。
インターネットで“分譲案件”と検索すると、どの案件もだいたい表面利回り10%前後。あらかじめ提示されている情報だけで判断することは、とても難しいですよね。
では、利回り以外に何を比較したらよいのでしょうか。
20年間の買取価格、表面利回り、過積載率、年間想定発電予測、それとも設置場所やレイアウト、など。
今回は、より有利な発電所を選ぶために、太陽光パネル、パワーコンディショナー、設置場所、設置業者とキャッシュフローの5つの比較ポイントをご紹介いたします。
国内で一番売れているパネルメーカーってどこ?
これから設置するならどんなメーカーを注目してらいいの?
など、これから1基目を所有したいとお考えの方にも参考にしていただける情報を多く盛り込みました。
良い発電所を選ぶためには太陽光パネル、パワーコンディショナーの情報収集が必要です。一見同じようにみえる発電設備から特別なもの見分けるべく重要な太陽光パネルからみていきましょう。
目次
1 太陽光パネルを比べる3つの方法
太陽光パネルメーカーはだいたい同じ、そんなに変わらないのなら少しでも安価なものを考えてしまっていませんか?価格や知名度でメーカーを決める方もいらっしゃいますが、知名度の高いパネルがいいとは限りません。
今回は、太陽光パネルの出荷量、生産国、総出力から比較してみましょう。
1−1 太陽光パネルの出荷量を比較
世界の太陽光パネルの出荷量ランキングベスト5を確認して見ましょう。
2016年の世界出荷量は、ジンコソーラーが6,650MWで第1位!
1位、2位まで中国のメーカーで、他と大きく引き離している現状に驚きますよね。
JPEAの資料によると、2016年度の日本国内における総出荷量は6,859MWジンコソーラー1社の年間出荷量と日本国内出荷量がほぼ同じという状況がみえます。
世界の再エネが加速していることがよくわかる資料です。
PVeye2018.07より
続いて、日本国内だけでパネル出荷量を比較してみましょう。
PVeye2018.07より
日本人投資家に人気のあるハンファQセルズが日本国内では700MGの出荷量で第1位です。金融機関へ相談も、Qセルズ、インリー、そしてジンコのパネルを使った案件が多くなっているそうです。
インリーは2012年、2013年に総出荷量世界第1位となった実績もあります。
2017年の太陽光パネルの国内総出荷量は6,859MW。その日本企業、海外企業の比率は40:60でした。日本企業の比率は以前と比べると若干上昇しているものの、大きく伸びてはいません。
また、日本企業も海外工場でパネルを生産しているため、国内マーカー出荷パネル全体の66%が海外製品となっているのが現状です。
「国産パネルがいい」という意見もありますが、この現状をみると、比率からも日本製品にこだわらず複数検討することが必要だと感じます。
海外製品を選ぶ方が多くなっているというのも納得ですね。
1−2 日本で流通しているパネルの総出荷量の推移
日本国内の太陽光発電はもう難しいのでは、以前と比較したらどうなっているのか気になりますよね。
四半期ごとのモジュールの総出荷量を比較したJPEAの資料によると、2012年度から2014年度まで順調に伸びていましたが、2015年度、2016年度、と年々低下してきています。
しかし、各年度第四半期には2015年度、2016年度も2000MW前後まで出荷量を伸ばしています。ここで比較すると、2013年以降毎年同じような折線を描いています。
毎年度末には駆け込み施工需要が大きく、特に1〜3月は出荷量膨らみ、一時的に欠品状態に陥ることもあります。また、四半期ごとの特売セールで販売数を上げるパネルメーカーもあります。
出荷繁盛期をあらかじめ予測しておくことで工期の最短化や期末を把握しておくことによる決算前の値下げ交渉など有利な条件での契約も可能となります。
http://www.jpea.gr.jp/pdf/statistics/h284q.pdfJPEA資料より
特に、分譲業者は3月末連系指定の案件を多く扱います。使用用途に合わせて連系時期を絞って案件を比較することも重要ですね。
1—3 産業用でこれから注目されるのは国産それとも国外産
太陽光発電も国内産の製品が高品質だから多く選ばれているというイメージがありますよね。こちらは、太陽光パネルの国別シェア率の推移を表しています。
1997年当初は、日本製品も伸びており、2005年には50%以上の需要がありました。しかし、2006年以降中国が大きく伸びてきました。
国内産にこだわりたい、海外産を考えていないという方、産業用の国内パネルメーカーで2018年現在、注目されているのはこちらの5社です。
国内メーカー指定で設計される場合は、価格差が大きいのでこの5社を見積もりされることをお勧めします。
ソーラーフロンティア |
http://www.solar-frontier.com/jpn/products/index.html |
KYOCERA |
http://www.kyocera.co.jp/solar/es/prdct/module/lineup.html |
MITSUBISHI |
http://www.mitsubishielectric.co.jp/service/taiyo/jutaku/product/module/270w.html |
Panasonic |
http://www2.panasonic.biz/es/souchikuene/solar_industrial/module.html |
CIC Choshu |
http://www.cic-solar.jp/products_solar_g.html |
これからはやはり海外ものを試したい!という方へ、産業用海外パネルメーカーで2018年現在、注目のパネルメーカーは、こちらの4社です。
sunpower |
http://www.sunpowercorp.jp |
Trina(多結晶)(中国) |
http://www.trinasolar.com/jp/product/sunplus |
REC(多結晶シリコンモジュール)(ノルウェー) |
http://portals.recgroup.com/ja/REC-Group/ |
GCL(中国) |
http://en.gcl-power.com |
1−2のランキングに入っているメーカーももちろん注目されていますが、太陽光発電ムラの情報によると、ドイツで世界最大規模の太陽光発電会社ENEPARKでも
Trina, REC, GCLのパネルが使われているそうです。
品質、価格を比べると、海外製品を選ばれる方が多いのも納得ですが、電気工事店としては、
安定した品質を誇り、太陽光専門ではないゆえに会社力も強いPanasonicなども、資金的に余裕がある場合はお勧めいたします。
1−3 改正FIT法対策!セルの変換効率比較
2017年の改正FIT法の施行により、発電設備に変更がある場合、買取価格を維持するためには申請容量の3%未満の変更に抑えることが盛り込まれました。
公称最大出力の小さなパネルで申請している場合、仮に廃盤になってしまい、後継品で出力の大きなパネルに変更する場合、設置枚数じたいを減らす必要がでてきます。
もちろん、土地を余らせておくのはもったいないので、なるべく多く設置できるように認定申請するときから出力の大きなパネルを選ぶことをお勧めします。
https://www.ise.fraunhofer.de/content/dam/ise/de/documents/publications/studies/Photovoltaics-Report.pdf
2 保証、寿命でパワーコンディショナーを比較
主なメーカーの保証期間を比べてみましょう。数年前は、1年や5年のものがほとんどでしたが、延長オプションが多くなり中には20年保証というものも出ました。
パワーコンディショナーは、発電した直流の電気を交流に変換し、送電網へ送り出す発電設備のなかでも特に重要なシステムです。
価格的にも大きな割合を占める部材の1つです。
2—1 万が一に備えて、パワーコンディショナーの保証期間一覧表
まずは、パワーコンディショナー保証について、各メーカーどのような特徴があるのかチェックしてみましょう。
*著者調べ(2018年2月現在の情報)
標準で10年保証をしているオムロン、山洋、ソーラーエッジの保証が充実しています。
また、有料ですが、延長保証20年のソーラーエッジは20年間取替費用を事業計画に盛り込まなくていいのは嬉しいですね。
詳しく調べたい方はこちらをクリックしてみてください。
2—2 ご長寿パワコン20年それとも安価な10年パワコン
パワーコンディショナを選ぶときに重要視するべきポイントは、寿命です。
2−1の表からも分かるようにPCの保証は5〜25年まで様々です。
もちろん、価格も保証期間に比例しています。故障が少なく取り替えの必要がない、そして25年保証があるというソーラーエッジは高価ですが安心ですね。
しかし、初期コスト削減を考えると、ソーラーエッジの導入はハードルが高い現状もあります。
ソーラーエッジのパワーコンディショナには2つの付属品が必要となります。
変圧器と、装置プラスパネル同士を繋げるオプティマイザーです。
変圧器は特に三相のパワーコンディショナーに必要となるケースが多くあります。大きなものでは200kg以上となるものもあります。
特別に設置場所を用意する場合もあり注意が必要です。
変圧器とは (絶縁トランス)(ダウントランス)
オプティマイザーとは (個々のパネルをコントロール)
https://www.solaredge.com/ja/products/power-optimizer#/
三相のパワーコンディショナの設置には、これらの装置が必要となることがあります。
パワーコンディショナの価格のみで比較することなく、安全性、施工性、そして付属設備と総合的に判断することをお勧めします。
2—3 単相それとも三相、選ばれているのはどっち?
パワーコンディショナの入線方法で、単相と三相どちらを選べばいいのか迷ってしまいますよね。
一般的に電気工事店では、単相→動力 三相→家庭向けという区分があります。
太陽光発電の野点案件では、家庭用のような電気使用設備がないため、どちらを選ぶこともできます。
以前は、価格が安価なのは単相でしたが、最近は三相も価格が下がってきました。
詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてみてください。
3 インターネットで太陽光発電設置候補地の日照量を比較できる!
NEDOの日射量データベースで検索すると、それぞれ調べたい地域の日射量簡単に閲覧できます。
日本全国837地点から選んで日照量を比較することも簡単です。
3—1 日本全国地点を選んで簡単比較!
インターネットで同じような案件を見つけたら、まず日射量を比較してみましょう。
japanese_solar_radiation_observation_point_best_30
ダウンロードしたデータを比べると、同じ県内でも日射量が違うことがわかります。
シミュレーションするときにも、日射量から売電予測を計算する方法が一般的です。是非ご活用ください。
詳しい使い方はこちらをご覧ください。
http://www.nedo.go.jp/content/100778067.pdf
4 買取価格や利回りだけが分譲案件を比較する重要項目ではない
分譲案件で重要視されるのは表面利回りですが、事業計画を作成し、収入と支出のバランスを確認しておくことをお勧めいたします。
例えば、こちらの2件、利回りはほとんど変わりません。
14kW小さい発電所ですが、420万円値段が安いのならば右側の栃木県日光市の方が優良物件に見えます。
4−1 買取価格よりも重要なのは収益と支出(キャシュフロー)
タイプA(金利1.4%元利均等返済)
販売価格 1,650万円
自己資金 250万円
(15年融資 月々の返済額 89,365円)
年間想定売電収入 167万円
初年度 消費税還付金(概算) 163万円
年間借入返済額 107万円
初年度の終了時の手残り予測 223万円
5年後の手残り予測 452万円
10年後の手残り予測 712万円
タイプB(金利1.4%元利均等返済)
販売価格1,230万円
自己資金 250万円
(年融資 月々の返済額 60,392円)
年間想定売電収入 124万円
初年度 消費税還付金(概算) 122万円
年間借入返済額 72万円
初年度の終了時の手残り予測 174万円
5年後の手残り予測 374万円
10年後の手残り予測 605万円
初年度終了時、タイプAは223万円の手残りすでに手残りは差額49万円になり、タイプAを選んだ事業者さんは、第2期目購入への準備資金をたく蓄えることもできます。
もちろん、税金やメンテナンスにかかる費用もありますので、これは概算になりますが、
12ヶ月後、5年後、10年後のシミュレショーンを計算し、表面利回りだけで判断せず収支のバランスをよくご確認しておくことをお勧めいたします。
事業計画について、詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
5 太陽光発電の工事依頼先を比較する
太陽光発電の工事依頼先選びは、事業を成功させる上とても重要なポイントの1つです。
インターネットの一括見積もりなどでは遠方の工事店を紹介されることもあります。
そこで、工事依頼先を比べるときには、チェックシートを使って項目別にチェックしてみましょう。
インターネットの見積もりサイトで見積もり依頼するのは簡単ですが、実際に設置先の地元工事店を訪ねることで、施工に対するイメージやアフターフォローサービスについての考え方もわかります。
見積書を入手したらまずチェックシート!選び方のコツ5つを活用してみてください。
6.まとめ
いっけん同じように見える太陽光発電でも、表面利回り以外に比較すべきポイントがわかりましたか?有利な発電所を選ぶためには太陽光パネルやパワーコンディショナーを比較したり、土地の日射量を比べる方法も是非試してみてください。
また、1年目、5年目、10年目のキャッシュフローを比較し状況を予測したり、業者を比較することも重要です。より良い太陽光発電所を見つけるために是非ご活用ください。