
太陽光発電所っていくらかかるんだろう?何が必要かもわからないし。
太陽光発電所を所有する場合、何にどれくらいかかるか、なかなかわかりづらいですね。
また、インターネットで調べても、どのような項目があり、それに必要な価格というのはなかなかでてこないです。
太陽光発電所に関わる価格として、設置するための価格(設置費用)、設置後に必要な費用(運用費)があります。
そこで、今回は
・太陽光発電所設置する前
・太陽光発電所設置した後
に分けてすべての価格を丸裸にします。
ここでは、個人投資家の方向けに、50kW未満の低圧発電所にしぼって、お話をさせていただきます。
まずは、以下の条件で、太陽光発電所を取得した場合の、設置前、設置後に必要な項目とだいたいの価格を一覧にしてみました。
【条件】
・太陽光発電システム
太陽光パネル → 92.16kW
パワコン → 49.9kW
・太陽光発電所設置前
部材価格は、こちらを参考に作成しています。
https://ichiba.solar-club.jp/products/detail.php?product_id=389
・太陽光発電所設置後
・その他(20年で必要な費用)
設置後は、運用費用とその他として、20年以内に必要な費用があります。
これだけ費用がかかるとあまりもうからないのでは?と考えてしまいますね。
さらに、2012年の固定買取制度が始まった時期から比べると、売電価格は下がってきています。
しかし、買取価格が下がった2017年度の売電単価でも以下の表の様に、しっかり儲けを出すことができます。
●92.16kWの太陽光システムを設置した場合の売電予測
※2018年度単価 18円(税抜)で試算しています。パネルの劣化率も考慮しています。
今回は、設置前、設置後の価格について解説し、さらに売電収入を上げ、設置価格を下げる方法を伝授いたします。
さらに、2018年度までの全量買取価格(事業用)と余剰電力買取価格(家庭用)についても詳しく説明します。
これを読んで、太陽光発電所を所有した場合、何にいくらかかるか分かり、安心して事業計画を立てることができますね!
目次
1 太陽光発電所設置する前に必要な価格
50kW未満の低圧発電所を設置する間に必要な価格としては、先ほど一覧にしたとおり
- 部材費
- 施工費
- フェンス
- 監視装置
- 造成費
- 防草シート
- 土地代金
の費用が掛かります。
ただし、この中で必ず必要な項目と、そうではない項目に分けることができます。
【必要な項目】
- 部材費
- 施工費
- フェンス
これらは、太陽光発電所設置時に掛かる項目で、所有しようとする場合は必ず必要となります。
【必ずではない項目】
- 監視装置
- 防草シート
- 土地代金造成費
既にお持ちの土地に設置をされる方は、土地代金は必要ございません。また、土地を購入される場合でも、田んぼや、木の生い茂った場所などに設置されない場合は、造成費も必ず必要という事にはなりません。
監視装置も付けておられない方もいらっしゃいますので、こちらも必須ということはなく、こちらは各個人の状況に応じてかかってくる費用になります。
まずは、【必要な項目】の価格から、ご自分の予算、または事業計画に合わせ、【必ずではない項目】にいくらかけることが出来るか逆算し、土地を探すという事をされる方もいらっしゃいます。
こちらの記事を読みだいたいの価格を知ることで、太陽光発電事業に必要な価格の全体像をつかむことができ、各個人に合った事業計画を作成することができます。
では、それぞれの価格について解説していきます。
1-1 部材価格
50kW未満の太陽光発電システムを設置する場合に必要な部材は
- 太陽光パネル
- パワコン
- 架台
になります。
また、上記の部材は太陽光パネルやパワコンなど選ぶメーカーによって、あるいは、発電容量によって価格が違うので、簡単に比較することはできません。
そこで、太陽光発電に関する部材、施工価格を比較するうえで、必ず出てくるキーワードがあります。
それは、「kW単価」という言葉です。
●kW単価とは
見積価格の1kWあたりいくらで設置できるかという基準の単価です。
このkW単価の中には、部材価格、施工価格が含まれます。
例えば、ある業者が90kWの太陽光発電システム、別の業者が80kWの太陽光発電システムを提案してきたとします。
90kW → 1850万
80kW → 1700万
一見80kWの太陽光発電システムの方が安く見えます。しかし、kW単価で計算すると
90kW → 20.5万
80kW → 21.2万
となり、80kWの「kW」単価の方が高いという事がわかります。
このように、業者によって別々の太陽光発電システムを提案してもらった場合に、「kW単価」で計算し価格を比較するということが非常に重要になってきます。
●kW単価の計算方法
先ほど、全体の価格を一覧表で表示しましたが、そのうち部材を一覧にすると
ちなみに、こちらのkW単価を計算すると
8,640,000円 ÷ 92.16kW = ¥93,750/kW となります。
1kWあたりの費用は約9.3万円になります。
このように、見積が出てきた際、kW単価で確認すると、他社との価格を比較するのに便利です。
●太陽光パネル
上記の表を見て分かる通り、部材の6割以上の価格を太陽光パネルが占めます。
また、太陽光パネルも国内製や中国などの海外製などで価格帯は様々です。
太陽光パネルは、先ほどのkW単価より小さいW単価で表示し、比較いたします。
【価格】
海外製 W単価 → 50円 ~
国内製 W単価 → 65円 ~
※ 2018年10月現在の価格
海外製は、中国のメーカーが安く50円/Wの価格の物から、高いものはドイツ製の100円/Wの物まであります。
国内製は、国内の工場で生産している為、海外製に比べるとどうしても、コストが高くなってしまいます。
海外製の価格は、為替の関係で、月ごとに変化しますので、その都度部材販売会社に問合せて確認してください。
ただ、価格だけで選んでしまうと、失敗するケースもありますので、保証や、実証実験を公開しているサイトもありますので、そちらを参考に選ぶようにしましょう。
パネルの保証や実証実験に関する詳細は以下の記事を参考にしてください。
【契約前に知りたかった! 太陽光発電投資の6つのデメリットと対策】(3-1 メーカー保証(製品保証と出力保証)を参照してください。)
●パワコン
パワコンには以下の2つの機能があり、太陽光発電システムには欠かせない機器です。
●発電量を最適化
●直流を交流に変換
50kW未満の太陽光発電システムの場合は、パワコンの総出力を、49.9kW以下に抑えます。
例えば、4.5kWのパワコンを使用する場合は11台使用し、49.5kWの出力にします。
また、パワコンは、4.5kW、5.5kW、9.9kW、10kWなどの容量によって価格は異なります。
【価格】
上記のパワコンは20万~35万です。
4.5kW 11台 → 220万
10kW 1台 + 9.9kW 4台 → 160万
上記の様に、容量の小さいパワコンを選ぶと、台数が多くなり高くなる傾向があります。
また、パワコンのメーカー、容量によって、接続できる太陽光パネルの枚数も異なりますので、太陽光パネルをどれだけ接続したいかでパワコンを選ぶ必要がります。
パワコンに関する詳しい記事は以下を参考にしてください。
【決定版!太陽光発電投資で得するパワーコンディショナーの選び方】
●架台
架台は、太陽光パネルを載せるための台です。台風などの強い風で飛ばないように、架台を設計し設置する必要があります。
また、架台も国内製や中国などの海外製などで価格帯は様々です。
【価格】
海外製 kW単価 → 13,000円~
国内製 kW単価 → 17,000円~
●構造計算書
構造計算書は、固定荷重、積雪荷重、風荷重などにしっかりと耐えることができるか、しっかりと計算し設計したという書類になります。
もしもですが、太陽光発電所で、架台に関する問題があった場合、この構造計算書を経産省から求められます。いい加減な場合は最悪認定取り消しになり、売電ができなくなります。
構造計算書がいい加減な場合や、全くないという事がないように、しっかりと構造計算書を作成し、設計する必要があります。
また、構造計算書を含め、架台の設計を国内で行い、海外で生産を行っているメーカーもあります。完全に海外のメーカーを選ぶより、しっかりとした架台を選びたい方は、国内メーカーを選ぶことをお勧めいたします。
1-2 施工価格
施工は、架台の組立、モジュールの設置工事、電気工事にわけることができます。
施工価格の詳細を一覧にすると以下になります。
上記の表はkW単価4万円ほどです。
【価格】
一般的に施工価格は、kW単価で3.5万円/kW~5万円/kWと現場の状況、業者により価格は異なります。
ここまで、部材価格、施工価格について説明してきましたが、政府が発表している設置価格の資料があります。こちらを参考に、2017年度の一般的な設置費用(部材価格、施工価格)を見てみましょう。
●設置価格の推移
上記の表は、経済産業省の調達価格算定委員会が作成した資料を、元に作成しています。
http://www.meti.go.jp/shingikai/santeii/pdf/20180207001_1.pdf
こちらもkW単価を、表にしています。
こちらを見ると、平成24年にはkWあたり43.1万円だった設置費用が、平成29年度には28.2万円まで下がっています。
2012年 → 42.6万円
2017年 → 30.0万円
設置費用は年々下がっているという事が分かっていただけたと思います。また、上記の価格は全国の平均価格になっています。施工業者によっては、これより安いところと、高いところもありますので問合せをして確認してください。
先ほどお話した価格で出してきてくれる、部材業者、施工業者がいますので、ぜひ見積もりを取ってみましょう。
業者選びは慎重に行う事をお勧めします。こちらの記事を参考に業者を選んでください。
【同業がさらす!!太陽光発電業者の正しい選び方!】
1-3 フェンスの価格
フェンスは防虫ネットで作成した安価な物から、上記写真の様にしっかりとしたフェンスまで多様です。
また、高さによっても価格が違います。
0.8m,1.2m,1.5m,1.8mの高さのフェンスがあります。
その中でも多くの人が選ぶ高さは、人が侵入しづらい1.5mの高さです。
施工費込みの価格を表示すると以下になります。
【価格】
簡易的フェンス 3,000円/m
中間フェンス 5,000円/m
最高フェンス 6,000円/m
最初に示した、95.4kW低圧発電所の場合120m~140m程のフェンスが必要になります。
140mで最高フェンスを設置した場合は、約84万円必要という試算になります。
盗難や誤って太陽光発電所に入らないように、人が侵入しづらい高さの物を選び、かつ頑丈なフェンスをお勧めいたします。
また、改正FIT法により、誰が所有している発電所かすぐに分かるように、標識の設置が義務づけられました。標識は、通常フェンスにかけておきます。
価格は、安い物で2,000円~15,000円とバラつきがあります。安くても1年しか持たないものを購入するよりも、高くても20年持つ方がいいという考え方もあります。耐久性がどれくらいあるか確認して購入してください。
1-4 監視装置の価格
監視装置には、
- 初期導入費
- 通信費
の2種類の費用がかかります。
監視装置は必ずしもつける必要はありませんが、パワコンの故障やパネルの故障などいち早く知ることが出来るので導入することをお勧めいたします。
【価格】
●初期導入費
機器の価格が、15万~30万円で、別途施工費が3万~5万円ほどです。
●通信費
通信費は、月3,000円~4,000円など一般的なインターネットの通信費と変わりありません。
●監視装置のご紹介
多くの監視装置が、世の中にありますが、その中でも代表的な3つの監視装置をご紹介します。
●ひだまりeyes
ひだまりeyesは、施工会社の 株式会社 タケイエナジーが、自ら設計し作った監視装置で、WEBカメラも搭載することが可能で、発電所の様子も一目でわかります。
●みえるーぷ
みえるーぷはLooopが出している監視装置です。
最大30台のパワコンを監視することができます。
●エコめがね
エコめがねは、NTT系列の株式会社NTTスマイルエナジーが出している装置です。
こちらは、10年間の通信料を導入時にまとめて支払うプランもあります。
1-5 土地の価格
土地の価格は場所によって様々です。坪単価の安い、山や農地転用できる田畑などを購入し、太陽光発電所を設置される方もいらっしゃいます。
また、予算から必ずかかる費用(部材、施工費)を差し引いた価格に見合う土地を探すという方法もあります。
【価格】
多くの方は、坪当たり3,000円~5,000円が妥当と考えてその価格に合った土地を探されています。
電気を電線に送る為に、電力会社に依頼し、工事をしてもらう必要があります。
そこでかかった費用は、連系工事負担金ということで、電力会社に支払います。
●連系工事負担金は契約前に確認
坪単価が安いということで、契約してしまい、連系工事負担金を電力会社に確認したところ、数千万円の見積が出てきてしまったという話も聞きます。
その様なことにならないように、連系工事負担金が出るまでは、探した土地は仮契約とし、連系工事負担金の額を見てから本契約とするようにしましょう。
1-6 土地造成費の価格
田んぼや畑を農地転用し、あるいは山林を切り開いて、太陽光発電所を設置される方がいらっしゃいます。そういった場合、土地を造成する必要がでてきます。
独自に調査したところ、場所によって価格は変わります。また、規模によっても価格の変動がありますのでこちらの価格は、専門家へお問い合わせください。
【価格】
また、田んぼの場合は、砕石を敷き詰めるだけだと安くなりますが、雨の時水が溜まりやすくなるので、スクリュー杭などの架台の場合錆びやすくなり20年も持たない可能性がありますので、地上げの方をお勧めいたします。
1-7 防草シート
太陽光発電所設置後、防草対策を何もせずに放置してしまうと、上記の様にすぐに雑草が伸びてしまいます。
雑草が伸びて、太陽光パネルの裏側を突き破るってしまうという事もあります。
そうならないように、設置前に防草シートを敷いてしまう事をお勧めします。
防草シートの価格は、メーカーにより多少違いますが
【価格】
1平米あたり800円~
となります。
年に何度も、草刈りをご自分でやることや、業者に依頼することを考えた場合、最初から防草シートを施工してしまった方が安く上がります。ぜひ検討してみてください。
また、雑草対策についての詳しい記事はこちらを参考にしてください。
【太陽光発電の雑草対策全集 あなたにぴったりの雑草対策教えます】
2 太陽光発電所設置した後に必要な価格
太陽光発電所設置した後に必要な価格は、上記の運用費です。
- 保険
- メンテナンス
- 監視装置
監視装置は、先ほど「1-4 監視装置」で説明したので今回ここでの説明は省きます。
保険とメンテナンスは、太陽光発電所設置した後には必須となりますので、ぜひ価格を把握して、ご自分のプランに合ったものを選んでください。
2-1 保険の価格
太陽陽光発電所には、ほとんどの方は、企業総合保険を掛けています。
こちらは火災や自然災害などにも対応していますので、太陽光発電所をお持ちの方のほとんどはこちらの保険を掛けます。
50kW未満の低圧発電所にかける保険の価格ですが、規模によって異なります。
【価格】
年間5万円 ~ 20万円と幅があります。
だいたいの方は、年間5万~10万円の間の保険を選んで掛けておられます。
大手保険会社は、こちらの保険を扱っていますので、見積をとって内容と価格を吟味して決めてください。
詳しい保険内容に関しては、こちらの記事が参考になります。
これでOK!太陽光発電所を設置した場合の5つのデメリットと対策
2-2 メンテナンスの価格(除草含む)
2017年4月から改正FIT法により、メンテナンス契約が義務化されました。
メンテナンスに関しては、多くの業者がメンテナンスパック商品を販売していますが、またメンテナンス内容や業者によって価格に大きな差があります。
【価格】
年6万円~20万円
高いプランだと、定期的な点検や緊急時の駆けつけ対応、除草などすべて実施してもらえます。安いものだと、年1回機器の点検を行うだけというプランもあります。
近くに、太陽光発電所をお持ちの場合は、安いプランを選び、緊急時と除草もすべてご自分で実施するということであれば、こちらで問題ありません。
しかし、遠くに太陽光発電所を設置された場合は、そういうわけにもいかないので、なるべく高いプランを選び、ご自分の手間を省く方をお勧めします。
メンテナンス内容と価格をよく確認し、ご自分に合ったプランを選びましょう!
2-3 その他の価格
その他の価格として
- 撤去費
- パワコンの交換費
があります。
●撤去費
土地を賃貸で借り、太陽光発電所を設置される方がいらっしゃいます。その場合、20年後に撤去する必要があり、撤去費用を20年間の間に用意しておく必要があります。
【価格】
システム価格の5%程必要といわれています。
1200万円の場合、60万円見ておけば今の所問題ないです。
●パワコンの交換費
パワコンの寿命は10年程と言われていますが、あるメーカーによると実際に20年で故障するパワコンの割合は4%で見ているという事でした。
また、多く見積もっても、パワコン価格の10%程度見ておけば問題ないと言われています。
【価格】
パワコン価格の10%です。
パワコンの総額が、160万円の場合施工費と合わせて、20万円と見積もっておく必要があります。
これで運用後の20年間で必要な価格をすべて確認することができましたね。
3 売電収入を上げ設置価格を下げる方法
2012年の固定買取価格制度から数年経ち、固定買取価格が下がり、利益をしっかり上げることができるか不安に思っていらっしゃる方もおられます。
しかし、しっかりと対策を取り、利益を上げる方法を知れば、現在でも非常に魅力的な投資対象となります!
また、下がってきたのは売電収入だけではなく、設置費用も年々下がってきているため、2018年の買取価格でも利益はでます。
さらに、
- 自作(DIY)
- 分離発注
- 過積載
これらを実施すれば、さらに利益を上げることができます。
まずは、売電価格と設置価格の推移をお伝えし、その後、さらに利益を上げる方法について解説していきます。
3-1 売電価格と設置価格の推移
茨城県石岡市に49.5kWの太陽光パネルを設置した場合を想定し、各年度単価における売電収入と設置費用を一覧にしてみました。
茨城県石岡市に49.5kWを設置した場合、年間発電シミュレーションは59,800kWhとなります。
・59,800kWh発電した場合の年間売電収入
上記の表をさらにグラフ化しました。
グ
グラフを見る限り、売電収入と共に、設置費用も減っていることがわかります。しかし、49.5kWの太陽光発電システムの場合は、24円~18円では利益があまり出ないように見えてしまいます。
2012~2015年度は、太陽光パネルが高価という理由と、太陽光発電のノウハウがあまり蓄積されていないという事もあり、過積載をする太陽光発電所がほとんどありませんでした。
しかし、2016からは、後ほど詳しく説明しますが、太陽光パネルの容量を大幅に増やす過積載を実施し、太陽光発電所を設置する方がほとんどです。
2012~2015年度 → 49.5kWの太陽光パネル
2016年度 ~ → 50kW以上の太陽光パネル(過積載)
また、分離発注を行った場合は、設置費用を抑えることができるので、92.16Wの太陽光発電システムを設置しても、以下の表の様に設置価格を抑えることができます。
茨城県石岡市に92.16Wを設置した場合、年間発電シミュレーションは102,684kWhとなります。
・102,684kWh発電した場合の年間売電収入
※こちらの表の2012~2015年度は、過積載をしていない場合の設置費用、売電収入です。
※2016~2018年度は、92.16Wの太陽光を設置した場合の設置費用と売電収入で試算しています。
さらに、上記の表をグラフにしてみると
上記のグラフの様に、設置費用が下がった現在の方が利益を圧倒的に出せるという結果になりました。
3-2 自作(DIY)
施工を自分で行う事ができれば、その分、業者に頼まなくても済むようになり、費用を抑えることができます。
大雑把に太陽光発電所を分けると
- 架台とパネル設置
- パワコン、配線などの電気工事
- 防草シート
- フェンス
になります。
●架台とパネル設置
架台は、スクリューを地面に埋め込む必要があるので、重機が必要となります。
なかには、建設業を行っている友人に手伝ってもらい、架台をくみ上げた方もいらっしゃいます。
架台を組み立てることが出来れば、あとはパネルを設置していくだけとなります。
●パワコン、配線などの電気工事
こちらは、パワコン、配線などの電気工事は第2種電気工事士の資格が必要になります。ご注意ください。
この部分だけ業者に依頼される方もいらっしゃいます。
●防草シート
手間はかかりますが、慣れれば難しくなく、シートを施工することが可能です。防草シートだけ購入して施工される方はたくさんいらっしゃいます。
●フェンス
こちらは、自作でも十分施工できるタイプの商品もありますので、こちらを購入し施工することをお勧めします。
この中で、ご自分でもできそうな部分があればぜひチャレンジしてみてください。
また、自作(DIY)に関する詳しい内容はこちらを参考にしてください。
3-3 分離発注
初期の導入費用である、設置費用を下げることで、単純にその分を利益にすることができます。
そのための方法とは、分離発注をし、導入費用を下げるという事です。
また、一括発注と分離発注の費用を比べると、規模にもよりますが、900万円安くなります。
●分離発注、一括発注とは
部材、施工を依頼する場合2種類の方式があります。
それは、一括発注と分離発注です
●分離発注
一括発注は、部材、施工を1つの業者に任せてしまうのに対し、分離発注とは、部材販売業者から部材を購入し、施工だけを、施工業者に依頼するという方式です。
施工業者に依頼した場合は、部材の価格に施工業者の利益が入ってしまいます。
分離発注の場合は、発注者側が、部材を直接部材販売業者から購入することで、その分施工業者の利益分
をカットでき、安くすることができます。
ただし、荷受けや、施工の案件管理をご自分で行う必要があるので、一括発注に比べ手間がかかり、自己の負う責任は大きくなります。発注者側にある程度の知識が必要となってきますので注意が必要です。
こちらの記事に分離発注について詳しい内容が書かれていますので、チャレンジしてみましょう。
3-4 過積載
太陽光パネルの容量を50kW以上にして設置することを過積載といいます。
過積載は、発電量をより多く稼ぐことができるのでぜひチャレンジしましょう!
●過積載とは
低圧発電所の場合、49.9kW以下で太陽光発電のシステムを組む必要があります。
「パネルの合計出力」と「パワコン合計出力」のうち小さい方の値がその発電所の出力と見なされますので、パワコンの合計出力を、49.9kW以下にして設置します。
そして、太陽光パネルの容量を50kW以上にして設置することを過積載といいます。
また、過積載を実施することで、発電量を稼ぐことができ、利益を増やすことが出来ます。
茨城県 古河市に50.88kW、95.4kWの太陽光発電システムを設置した場合を比べてみると
50.88kWの太陽光発電システム → 60,966kWh 1,280,286円(税抜)
95.40kWの太陽光発電システム → 111,704 kWh 2,345,784円(税抜)
年間でこれほどの違いがでてきます。
●過積載はなぜ発電量を稼げるか
上記は、太陽光パネルが55kWシステムと陽光パネルが100kWのシステムの発電量をイメージした図です。
ピークカットライン(49.9kWh)の発電量を超えることはほとんどありません。100kWシステムの場合は、早い時間帯からピークカットライン(49.9kWh)を超え、その分より多くの発電量を稼ぐことが出来ます。
また、曇りの日は、晴れている日より大幅に発電量が減りますが、それでも発電します。そんな場合でも過積載にしてある場合、発電量を稼ぐことが出来ます。
●曇りの日
50kWの太陽光パネル → 20kWhの発電量
100kWの太陽光パネル → 40kWhの発電量
といったイメージを持っていただければわかりやすいと思います。
また、晴れた日のピークカットライン以上の発電量は、売電することができないのでもったいないという話を良く聞きますが、それでも発電量をより多く稼ぐことができる、過積載は人気があります。
発電量をより多く稼ぐことができる、過積載にチャレンジしましょう!
過積載や、パワコンに関する詳しい説明は、こちらを参考にしてください。
3-5 2018年度の売電価格でも利益が出る
18円の売電単価になった2018年度でも利益が出るか、心配される方がほとんどでしょう。
記事の最初のところにでてきた表にあるように、設置するために価格は、1590万円(1730万円(税込))です。
先ほど、試算したように年間の想定売電価格は、184万円(198万円(税込み))です。
投資効率を計る方法として、表面利回りで計算すると
●表面利回り
※売電収入 ÷ 設置費用 × 100
198万円 ÷ 1730万円 = 11.44%
この業界では10%以上あれば優良物件といわれています。
18円でもまだまだ、投資案件おいては優良ということになります。
4 2018年度までの全量買取価格(事業用)と余剰電力買取価格(家庭用)
2018年度の全量買取価格が18円/kWhに決まり、2017年度より3円/kWhほど買取価格が下がりました。
2012年から始まった固定価格買取制度ですが、まずは、どのように買取価格が推移してきたか見てみましょう。
(買取価格については、なっとく再生可能エネルギーを元に作成しています。http://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/kaitori/kakaku.html)
4-1 2018年までの全量買取価格(事業用)
全量買取制度(事業用)は、発電の出力が10kW以上の場合、決まった売電価格で20年間売電できる制度のことです。
この表は、経産省の公式発表を元に作成しております。
(2018.3.23発表 経産省HP 「再生可能エネルギーの2018年度の買取価格・賦課金単価等を決定しました」)http://www.meti.go.jp/press/2017/03/20180323006/20180323006.html
固定価格買取制度では、申請した年度で買取価格が決まります。
2018年度に申請した場合は、買取価格が18円/kWhとなり、20年間続けてこの価格で電力会社に買取ってもらえることになります。
買取期間は、発電所を設置し、電力連系した日から20年となります。
●出力抑制(出力制御)範囲
2018年10月に九州電力で出力抑制が実施され大きな話題となりました。
・九州電力のホームページ
http://www.kyuden.co.jp/power_usages/pdf/common/出力制御等の考え方及び制御回数実績について.pdf?dt=20181019000000
九州電力のホームページによると、エリアを8つに分けて実施したようです。
今まで種子島でしか、実施されていなかった出力抑制が九州でも始まり、出力抑制について関心が高まってきています。
●出力抑制とは
電気を安定的に各家庭や会社などに送るためには、電気の使用量(需要)と発電量(供給)両方のバランスを保つ必要があります。
これらのバランスが崩れてしまうと、最悪の場合大規模な停電が発生します。
バランスをとるために、発電量(供給)が多い場合、電力会社各社は、各太陽光発電所の出力を制限してしまうことが可能になっています。
●出力抑制の範囲
東京電力・中部電力・関西電力は出力制御の対象外ですが、それ以外の地域は出力抑制の対象となっています。
それらを表にまとめました。
●設備容量が10kW以上50kW未満の発電所の場合
このように接続申込した時期によって、適用されるルールが異なってきます。
●出力抑制のルール
出力抑制には、先ほど表にしたように、各年度によって異なるルールが適用されます。
・360時間ルール
年間で360時間を上限に、制御が掛けることができるルールです。
・指定ルール
接続申込みが接続可能容量を越えた場合、超過後に申し込んできた発電所を対象に、上限時間なく出力を抑制できるルール
・旧ルール(30日ルール・過去に存在したルール)
年間で最大30日まで出力制御をかけることができるルールです。
2015年1月25日まで申し込みした、500kW以上の高圧発電所が対象です。
4-2 2018年までの余剰電力買取価格(家庭用)
余剰電力買取価格は、自宅の屋根やカーポートなど、10kW未満を対象とした買取制度になります。
買取期間は、全量買取価格制度よりは短く10年になっています。
・余剰電力買取制度の売電価格推移
※価格は税抜きです
※ダブル発電とは、太陽光発電と燃料電池、またはガスエンジン発電を組合わせ発電を行うシステムのことです。
出力制御対応機器設置義務について(2018年11月現在)
出力制御対応機器の設置義務がある地域は売電単価が2円高くなっています。
義務あり:北海道電力、東北電力、北陸電力、中国電力、四国電力、九州電力、沖縄電力管内
義務なし:中部電力、東京電力、関西電力管内
2018年度の余剰電力買取価格は、出力制御なしで26円、出力制御ありで28円です。
これらの価格については、各電力会社によって異なるのでご確認ください。
自宅の屋根などに、設置をお考えの場合はお近くの電力会社に買取価格を確認してください。
また、住宅用の場合は、県や市から補助金をもらえる場合があります。
これらも、お近くの行政に確認してみましょう。
補助金に関しての詳しい記事は以下を参照してください。
4-3 2000kW以上の太陽光発電所は入札制度で価格が決定
2000kW(2MW)以上の太陽光発電所の場合、価格は入札によって決定します。
入札制度に関しては、一般社団法人 低炭素投資促進機構(GIO)に記載されています。
https://nyusatsu.teitanso.or.jp/
1回目(2017年度実施)の入札に関してはこちらを参照してください。
https://nyusatsu.teitanso.or.jp/servlet/servlet.FileDownload?file=00P7F000000sf3T
最高入札価格が21円(税抜)、最低入札価格が17.2円(税抜)で落札されています。
2回目の入札に関してはこちらを参照してください。
https://nyusatsu.teitanso.or.jp/servlet/servlet.FileDownload?file=00P7F000008YdKu
第2回(2018年度実施)に関しては「落札者なし」となっています。
理由は、供給価格上限額15.50円/kWh(非公表により実施)を下回る落札が無かったためということでした。
このように、太陽光発電の規模によって買取り価格は異なってきます。
5 まとめ
今回は、個人投資家の方向けに、50kW未満の低圧発電所にしぼって
- 太陽光発電所設置する前
- 太陽光発電所設置した後
に分けてすべての価格を丸裸にしました。
ここまで読めば、太陽光発電所を所有した場合、何にいくらかかるか分かりましたね。
また、設置価格を下げ売電収入を上げる方法を実践すれば、さらに利益を上げることができます。
ぜひ、ご自分の太陽光発電所を設置される場合に、チャレンジしてください!