私にも出来たソーラーシェアリング!投資を成功させる7つのポイント

「どんな農地でも太陽光発電が出来るソーラーシェアリング?でも難しそうだなぁ」

たしかに通常の太陽光発電所よりはずっと面倒ですが、農家でもない私は、300坪ほどの土地でソーラーシェアリングを行い、年間100万円以上の収入を得ています。

太陽光発電事業をする者にとって、どんな農地でも利用できる可能性があるソーラーシェアリングはとても魅力的ですが、ほとんどの方がどうすればいいかわからず、諦めてしまうケースが非常に多いんです。

でもソーラーシェアリングを行うためには、特別な資格はいりません。農家でも行政書士でもない私でも出来たように、少しの知識があって労力をかければ必ず実行できるんです。

かくいう私が農家ではありませんが、300坪の土地で4年前からソーラーシェアリングを行い、年間100万円以上の収入を得ていますから。

(テレビに出演した筆者とそれを見る筆者の子供)

そこで今回は、ソーラーシェアリングを実行するために必要な7つのポイントをご紹介します。

ぜひソーラーシェアリングを実行させて、一緒に日本の食料自給率向上に貢献しつつ、それに見合う利益を得て心も懐も豊かになれる農業を実現させていってください。

1 投資家から見たソーラーシェアリングとは

  ソーラーシェアリングとは、私たち太陽光発電の投資家からすれば農水省の制約のかかっている太陽光発電所の事と言えます。制度の名前で言えば

「支柱を立てて営農を継続する太陽光発電設備等についての農地転用許可制度」

における許可を受けてパネル下部の農地における営農をつづけながら発電事業を行うことです。

太陽光発電投資の大きなハードルの一つである農地法の規制が緩まる代わりに、監視が強化され営農の継続が義務化されています。

これにより発電事業者は土地の確保がしやすくなるとともに、農水省からも耕作放棄地など荒れる農地の拡大に歯止めがかかることが期待されています。

1-1 土地を確保しやすいソーラーシェアリング 費用対効果はやや悪い 

2017年度におけるソーラーシェアリング発電所の費用対効果を算出するとこのようになります。

ソーラーシェアリングでは農作業を円滑に行えるようにするため、通常の空き地に設置する太陽光発電所(以下、野立ての太陽光発電所)に比べ架台を高くする必要があります。法令で具体的に定められてはいませんが、通常では最低地上高が2m〜4mほどとなっています。

当然、架台の部材は余計に必要になりますし、施工の手数もかかるので費用が割高となります。おおよそkWあたり3〜4万円程度上がると考えていいでしょう。

必要となる土地の広さは栽培する作物によって変わりますが、100kWを設置するには1500〜2000㎡はほしいところです。この時の売電収入は(地域差はありますが)230万円ほどとなります。

これが同じ100kWの野立ての太陽光発電所だと売電収入は同じで必要面積は1300〜1500㎡ほど、その時の設置費用は1500〜1600万円となります。

ソーラーシェアリングにおける土地の確保のしやすさと金額の差については、計画段階ではどちらが有利かはなかなかわかりません。

通常の野立てもソーラーシェアリングも並行して多くの候補地を見つけ、いざ連系契約が結ばれてから有利な条件のものを実行していく方が多くなっています。

(参考 まだ間に合う2017年度単価!太陽光発電で年間230万円の売電収入を得る方法) 
 https://taiyou-hatsuden.jp/power-sale-income-1380#1-12017

 

1-2 ソーラーシェアリングの申請は野立ての手続き+農転

 

ソーラーシェアリングの進め方は 野立ての発電所の進め方とほとんど同じです。野立ての発電所の詳しい進め方については以下の記事をご参照ください。

(参考:太陽光発電所を自作(DIY)して投資利益を最大にする完全マニュアル)
 https://taiyou-hatsuden.jp/making-diy-solar-power-plant-404

違うところは

2  パネル下部の営農者を確保する
8  農地の一時転用申請をする
10 年次報告を行う
の3点です。

”2 パネル下部の営農者を確保する”については、営農者が個人でも法人でも農家の資格を持っていれば問題はありませんが、なるべく20年以上の営農を約束してくれる方を探せるのがベストです。

8および10については3章で詳しく記載します。

1-3 実はメンテナンスコストが安いソーラーシェアリング

 こちらの表ではソーラーシェアリングのメリット、デメリットについてまとめてみました。

ソーラーシェアリングはコストが高く、20年間営農を継続させる必要があるため確かに参入障壁は通常の野立てに比べて高くなります。

しかし、固定資産税が安いので地主さんから安い料金で土地を借りやすく、また除草は営農をしていれば当然行いますし、除雪も架台を2m以上の高さで組むので通常はほぼ必要なく、ランニングコストは比較的安くなります。

特に野立てとソーラーシェアリングを比較する際は、以下のリンクを参考に事業計画を立てて見た上で事業内容をそれぞれ具体的に検討してみてください。

(参考:誰でも簡単に出来る太陽光発電投資の発電量&事業シミュレーション)
 https://taiyou-hatsuden.jp/solar-simulation-1209

1-4 社交的な方に向いているソーラーシェアリング

 ソーラーシェアリングは法令に明確な認可の判断基準が示されていないため、担当部署との言葉のキャッチボールが非常に重要となるため、交渉事が得意な、どちらかと言えば社交的な方のほうが勧めやすい傾向があります。

また、20年の営農の継続をするためには、地理的な制約があるため以下のような方が有利となります。

1-4-1 親戚に農家がいる方

 親戚に農家の方がいて、その土地でソーラーシェアリングを実行出来れば、仮にご自身が遠方に住んでいても比較的安心して営農をお任せすることが出来ます。

出来ればその方に万が一、何かあったときのために農業生産法人等とも契約が出来るよう予め交渉をしておくとより安心です。

1-4-2 近隣に農地があり、農家とのおつきあいがある方

 自宅近くに農地があり、その地主と営農をしている農家の方と仲が良ければそこでソーラーシェアリングを行うのも成功率の高いやり方です。

逆に遠方の地で何の縁もゆかりもない方との契約となると、土地の賃借の話は比較的うまくまとまりがちですが、営農の方は後でこじれるケースが少なくありません。

これは都心の契約に重きをおく考え方と、農村地域の人の繋がりを重視する考え方に差異があるためです。どちらが良い悪いというのではなく、環境が作り出すものであるため文字通り郷に入りては郷に従う必要があります。

2 農家ではなくても出来るソーラーシェアリング  

 ソーラーシェアリングは発電事業者が農地を持っていなくても、農家ではなくても実施することが出来ます。

2-1 農地に太陽光発電を設置するには農地転用が必要です。

 太陽光発電所は農地にそのまま設置することは出来ません。ここで言う農地とは登記簿謄本における農地ではなく、農業委員会等(例外あり)が整備している農地台帳等(例外あり)に記載されている農地で、前者は不動産登記法、後者は農地法による分類となります。

農地法における農地において太陽光発電所を設置する際は、必ず農地転用の許可を受ける必要がありますが、すべての土地で転用許可が出るわけではありません。詳しくは3−6に記載します。

2-2 ソーラーシェアリングの法令は農林水産省の縛りも入る

 ソーラーシェアリングでも通常の野立ての太陽光発電所でも、電力会社と経済産業省から見れば同じ太陽光発電所です。

太陽光発電所の法令は「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」によって定められており、経済産業省下の資源エネルギー庁の準備したHPにわかりやすく記載されています。

(参考:資源エネルギー庁 なっとく再生可能エネルギー)
 http://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/
 

 ソーラーシェアリングに関する法令は土地利用に関するもので、管轄は農林水産省となり、こちらのページの「営農型発電設備について」に詳しく記載されています。営農型発電設備というのはソーラーシェアリングの農林水産省内での呼称だとお考えください。

(参考:農林水産省 再生可能エネルギー発電設備を設置するための農地転用許可)
 http://www.maff.go.jp/j/nousin/noukei/totiriyo/einogata.html

 こちらでソーラーシェアリングについて定められている事は主に以下の4点です。

 1.通常の農地転用ではなく3年間の一時転用。継続したければ3年毎に申請をする。

 2.シェアリング実施後も農作物の収量、品質に著しい劣化のないよう営農を行う。   
 (⇒単位面積あたりの収量の基準は近隣の平均の80%)

 3.毎年、農業委員会に農作物の生産状況の報告をする。

 4.発電事業終了後、撤去が容易な設備とする。

よってソーラーシェアリングにおいて主に注意したい点は以下の2点と言えます。

 1.太陽光発電事業と営農を両立させる作物の選定
 2.20年間の営農の継続

2-3 太陽光発電業者から見たソーラーシェアリング 

 ソーラーシェアリングは太陽光発電事業と農業の複合事業ですが、太陽光と農業の売り上げを比較すると10対1もしくは20対1程となってしまいます。

「◯◯を育てるためのソーラーシェアリングはどうしたらいいか」

と考えがちですが、太陽光発電事業と農業の売り上げ、安定性から考えると20年間安定して事業を継続させるためには

「太陽光発電事業に影響が少ない営農をするにはどうしたらいいか」

と考えるのが投資家としては当然の事です。

もちろんソーラーシェアリングには国の食料自給率の向上に貢献するという重大な使命がありますが、そのために法令を整備するのは政府の仕事であり、投資家目線で考えれば民間が必要以上のリスクを負って行うものではありません。

もちろん農業は一人が勝手なことをすると、雑草や害虫、農薬などにより近隣に迷惑をかけてしまうため、近隣とのお付き合いや、社会や地元の動向にも十分注意する必要があります。

 また、太陽光発電所は一般電力会社の発電所から見ればごく小規模の発電所ですが、それでもインフラの担い手として責任を持った運営をしなければなりません。

これは経済産業省も通達が出ており、事業計画策定ガイドラインにおいて、継続可能な管理運営体制の整備や、長年に渡り無事故で運営できる発電所を設置する事が求められています。

(参考 経済産業省 事業計画策定ガイドライン)
http://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/kaitori/dl/fit_2017/legal/guideline_sun.pdf

管轄する分野ははっきり別れているものの、ソーラーシェアリングは農林水産省と経済産業省それぞれの法令を遵守する必要があります。また、地域に溶け込み、社会の情勢を考慮しながら事業を推進していく事も需要です。

そのため農林水産省および経済産業省の通達には常に注意しておきましょう。また、実際の運営にあたっては法令よりも現状が重視されがちなので、近隣の方、同業の方との情報交換も必ず意識して行っていきましょう。

3 ソーラーシェアリングを成功させる7つのポイント

 ソーラーシェアリングは、通常の野建てに比べて確かにハードルは上がりますが、以下の7つのポイントさえしっかり抑えてしまえば決して難しくはありません。一つずつ着実にこなしていきましょう。

3-1 【土地選定】農用地区域内農地、甲種農地、第一種農地は出来るだけ避ける

  基本的に農地転用が出来ない農用地区域内農地、甲種農地、第一種農地は、ソーラーシェアリングで一時転用をする際も許可のハードルが上がります。 

丁寧に説明を繰り返していけばいずれは設置できるケースが多いですが、他に候補地がある際は出来るだけ農用地区域内農地、甲種農地、第一種農地は避けましょう。

3-2 【業者選定】事業として考えてくれる業者の選定を

  ソーラーシェアリングを始めようと思った際に、設計、申請、部材調達から施工まで全てを自分で行うと非常にハードルが高くなります。

一方、ソーラーシェアリングが出来ると宣伝している業者は多々ありますが、まだ全国適時事例が少ないため、“実績がなかったり法令を熟知していなかったりというような業者も数多く見られます。

各業者の知識、実績をチェックしつつ、同じソーラーシェアリングの業者でも分野ごとに特徴がありますので長所、短所を知った上で契約をしましょう。

3-3-1農業系ソーラーシェアリング業者には既存農業への敬意を

 こちらは農家や農業生産法人を中心とする会社です。
農業についてはプロフェッショナルであるため、営農を委託してしまえば営農すること、および20年間の営農を継続すること関してはあっさりとハードルがクリアできます。

農業委員会とも近いので、農作物の選定や農業委員会への申請もうまく進みがちです。

一方、農業を中心とした事業を考えがちなので、どうしても投資効率を無視した設計になりがちです。

そのため費用対効果の悪い100W程度の小さなパネルを使ったり、強度計算のできない架台をつかったりなど架台の安全性に難のある部材を選定するケースも数多く見られます。

遮光率(3−3を参照)30%という太陽光発電事業収支が非常に悪くなる設計指針を持っている業者も少なくありません。

現在の農家、特に小規模の農家は人件費の採算度外視で農業を営んでいる方も少なくありません。太陽光発電を重視している顧客が来ると農業をわかっていないと叱られることもあるのでご注意ください。

 もちろん頑張っている農家の方々のおかげで、日本の農業が何とか存続している事は忘れてはいけません。敬意を持って接してください。

投資家目線で考えれば、安全で利回りのいい太陽光発電所を設計するのは当然です。私も農業系の牛舎さんと面談した際には既存の農業を守るよう言われました。

その際には

「それは農家の皆様が我慢するのではなく経済的にみあう政策が実行されるよう声を挙げていかなければなりません。一緒に頑張っていきましょう」

とお伝えしたところ納得して頂けたこともありました。

農業系の業者さんと既存の農業に敬意を払いつつも、なるべく効率のいい太陽光発電投資がしたいとの意向を十分にお伝えしてみてください。

3-3-2電気系・土木系ソーラーシェアリング業者はシェアリングの知識の確認を

 電気系・土木系の投資用太陽光発電の施工業者は野立ての経験が豊富なことが多いため、当然のごとく費用対効果が高い太陽光発電設備を設計してくれます。

一方、農業については

「架台を2mの高さにすればいい」

程度の認識でソーラーシェアリングの法令や慣例をほとんど理解していなかったり、ソーラーシェアリングの実績がなかったりというケースが多く見られます。

ソーラーシェアリングと通常の農転をして行う野立ての太陽光発電の申請が同じだと思いこんで業務を引き受けたものの、農業委員会との折衝でつまずき、一時転用の許可を得られずに結局計画を断念したという方も。

電気系・土木系の業者と契約する際は、ソーラーシェアリングの実務経験、農業委員会との関係や農業・農転関連の知識をしっかりとチェックしておきましょう。

3-3-3コンサルタント系ソーラーシェアリング業者は価格に注意

 施工も農業も行わないコンサルタント系のソーラーシェアリング業者は、非常に豊富な経験と情報量を持っている業者から、名ばかりのコンサルタントである業者までその実力には大きな差異があります。

複数の業者に業務実績や実施スケジュールを問い合わせ、比較検討して契約することをお勧めします。

また、農業に詳しいコンサルタントは、農業の費用対効果が悪いことを逆手に取り、ソーラーシェアリングの設備費用を高く見積もる事も見うけられますのでご注意ください。

3-3 【設計】遮光率と作物の選定は近隣で前例があれば楽
 

 

 遮光率とはパネルの投影面積(上空から見た時の太陽光パネルの面積)と農地の面積の比を表します。

式で表すと 

遮光率 = 影面積/敷地面積 

となります。

この遮光率があまり低い設計でソーラーシェアリングを行うと、農作物への影響は少なくなりますが、投資の費用対効果が悪くなります。

ソーラーシェアリングの実施に際して遮光率の明確な規定はなく、農作物の育成に大きな影響が出ない範囲と曖昧に定義されています。

手続きとしては農業委員会から許可が出れば設計は自由なので、近隣にソーラーシェアリングの事例があれば、それを参考にした作物を選定し、設計をすればたいてい許可はおります。

近隣に事例がない場合は少し手間がかかります。以下の折りたたみ記事の例を参考に資料を準備してみてください。

近隣に事例がない場合はこちら

ソーラーシェアリングにおいてパネルの遮光率とパネル下の農作物の関係に基準はありませんが、その指標の一つとなるのが光飽和点となります。

日光が当たれば当たるほどいい太陽光発電と違い、植物の成長には一定量以上の光は不要です。
この一定量以上の光の強さは光飽和点と呼ばれます。単位はキロルクス(klux またはklx)です。

主な光飽和点について(農業技術体系より)

また、図中の光補償点とは植物が成長するために最低限必要となる光の強さを表します。

出典:Wikibooks 光合成速度と光の曲線

 この光飽和点と光補償点のデータを活用して、栽培する作物に対してどれだけ高い遮光率が設定できるかを検討していく過程がソーラーシェアリングで一番難しいところです。

しかし、klxとは照度(明るさ)の単位でエネルギーの単位ではありません。つまり光飽和点を元に厳密な営農への影響は誰にも検討できないと言えます。

そこで私は以下の仮定を元に理論を構築しました。
晴天時の直射日光は約100klx、日陰はだいたい10klx となります。

これを”主な光飽和点について”の表と比較してみると、あらゆる植物が日陰でも育つことがわかります。あとは十分な収量を確保出来るだけの強い光が当たる時間がどれだけ強いかが問題となりますが、これを測定したデータはありません。

この点を知らずに存在しないデータを探し続けるうちに挫折して、ソーラーシェアリングを断念する方も多く見受けられます。

私の場合はこのデータを作成するため、私の場合はPV SYSTという太陽光発電のシミュレーションソフトを使用しています。

自分の発電所の事例でもPV SYSTによって地面に太陽光パネルを敷き詰めた時の発電量と、ソーラーシェアリング架台をただの障害物として、日光がある程度遮られた時に地面にパネルを敷き詰めた時の発電量の比較した物を、日射量の目安として農業委員会に提出したところ、一時転用の許可を得ることが出来ました。

このようにデータさえ集めてそこを丁寧に説明すれば農業委員会の方々もしっかりと対応してくれます。

農林水産省の通達によると、設計したソーラーシェアリングにおける遮光率がその農作物にとって適しているかを判断するのは地域農業改良普及センター、試験研究機関、JA等の職員となっています。

(参考:営農型発電設備の実務用Q&A(営農型発電設備の設置者向け)12ページ)
http://www.maff.go.jp/j/nousin/noukei/totiriyo/attach/pdf/einogata-10.pdf

投資効率を最大化させるためには遮光率が高くても育つ作物を選定しましょう。光飽和点や光補償点が低いミツバ、ミョウガ、フキなどがおすすめです。

3-4 【部材選定】パネルは汎用製品を選んで投資効率向上を 

 ソーラーシェアリングというと、業者に農業に影響が出ないよう特別に小さなパネルや角度の変わる架台など通常の野立ての発電所では使わない部材を勧められることがあります。

しかしこれらの部材を使用してしまうとどうしてもコストは高くなってしまいますし、架台も安価な物を使ってしまうと強度計算が出来ないため、改正FIT法における太陽光発電所の要件を満たせない可能性が高くなります。

3−2でもお伝えしたように、現状のルールでは農業ありきではなく事業としての継続ありきでソーラーシェアリング事業を進める必要があるので、なるべく部材は汎用品を使用してコストを抑え、太陽光発電所に合った農業を選択する形で設計を進めてましょう。

3-5 【売電申請】まずは電力申請から

 ソーラーシェアリングの手続きは農業委員会との折衝がメインとなるため、まずは農業委員会の許可を得ようとする方が多いですが、一番急がなければいけないのは電力会社との契約及び経済産業省との設備認定の取得です。

ここが遅れると太陽光発電の売電価格が下がり、経済的理由によってソーラーシェアリングが進められなくなる可能性が非常に高くなります。まずは一番時間のかかる電力会社への申請を進め、それと同時に経済産業省への申請も進めてください。

ソーラーシェアリングにおける農地の一時転用許可が出るのは、この電力会社との契約が済んで売電事業の目途がたった後の話となります。

3-6 【一時転用申請】徹底的な情報収集から外堀を埋める

 2−1でお伝えしたように太陽光発電所は農地にそのまま設置することは出来ません。

農地法における農地において太陽光発電所を設置する際は、必ず農地転用の許可を受ける必要がありますが、すべての土地で転用許可が出るわけではありません。

農地には以下の5種類があります。

(出典:農林水産省 農地転用許可制度HPより)http://www.maff.go.jp/j/nousin/noukei/totiriyo/t_tenyo/

通常の野立ての太陽光発電においては、上記における第2種、第3種農地のみが転用許可が出る土地となります。

しかし、ソーラーシェアリングについては、下記の通り農用地区域内農地、甲種農地、第一種農地においても一時転用許可の判断対象となる事が明示されており、実際に許可事例もあります。

(農林水産省)農村振興局長通達、「支柱を立てて営農を継続する太陽光発電設備等についての農地転用 許可制度上の取扱いについて」(2 4農 振 第 2 6 5 7号)

1 一時転用許可 (1) 農地に支柱(簡易な構造で容易に撤去できるものに限る。以下同じ。) を立てて、営農を継続しながら上部空間に太陽光発電設備等の発電設備を 設置する場合には、当該支柱について、農地法(昭和27年法律第229号。 以下「法」という。)第4条第1項又は第5条第1項の許可(以下「転用 許可」という。)が必要となる。 この場合の発電設備(以下「営農型発電設備」という。)については、 当該設備の下部の農地(以下「下部の農地」という。)において営農の適 切な継続が確保されなければならないことから、農用地区域内農地(運用 通知第2の1の(1)のアの農用地区域内にある農地をいう。)、甲種農地(運 用通知第2の1の(1)のウの甲種農地をいう。)又は第1種農地(運用通 – 2 – 知第2の1の(1)のイの第1種農地をいう。)における支柱の設置につい て、一時転用許可の対象として可否を判断するものとする。

(参考:農林水産省 再生可能エネルギー発電設備を設置するための農地転用許可)
 http://www.maff.go.jp/j/nousin/noukei/totiriyo/einogata.html

ソーラーシェアリングにおける農地の一時転用の申請の受け入れには、明確な基準が定められていません。そのため、まずは近隣でソーラーシェアリングにの許可を得た事例を元に設計をして進めるのが一番早く許可が降りる可能性があります。

近隣にソーラーシェアリングの事例がない、あるいは採用したい設計のソーラーシェアリングがない場合は、オリジナルで設計したソーラーシェアリングの内容における農作物の生育について、最終的に地域農業改良普及センター、試験研究機関、JA等の職員といった知見を有する方からの意見書が必要です。

この意見書を頂く際には、いきなり面識もない状態で許可を受けに行くのではなく、まずは相談をして知見を有する方の意見も取り入れた上で設計をしていきましょう。

その際に知見を有する者の周りの専門家からの同意をとっておくと、知見を有する方からの承諾が得やすくなります。

私の場合も土地改良区、県の園芸センター、地元の国立大学の教授から恐らく大丈夫であろうという意見を頂いた後に、地域農業改善普及センターから意見書を頂きました。

3-7 【収量報告】収穫量が足りなければ知見を有する者に相談を 

  ソーラーシェアリングでは、生産している農作物の生産状況を年1回、管轄の農業委員会へ報告する義務があります。

その際に農作物の単収(単位面積あたりの収穫量)を報告する必要があり、この単収が近隣の単収の平均の8割以下にならず、かつ品質が落ちないように農作物を生産する必要があります。

とは言っても8割以下になったら即時に強制撤去ではありません。基本的には3年毎にある一時転用の延長の申請の際に、単収が近隣の基準に達していない際は警告されます。

そしてもう3年経っても何の手も打たず、単収が改善されなければ強制撤去命令が出る可能性があります。

私の場合も当初はみょうがの収量が安定しませんでしたが、土が成熟してきた3年目で8割以上を達成することが出来ました。

この報告書については知見を有するもの(地域農業改良普及センター、試験研究機関、JA等の職員)の確認が必要となります。

もし収量が足りない際は、この確認をして頂く際に担当部署に相談をしてみましょう。

4まとめ

 ソーラーシェアリングは野立ての太陽光発電所に比べ、価格は高く手間もかかりますが、非常に大きなポテンシャルを秘めています。

エネルギーと食料の生産という、日本の主要な問題を一気に解決できるスキームであるため、これから私たちの手でまだまだ盛り上げていかなければなりません。

多少の手間はかかりますが、特別に難しいことはないのでしっかりと一つずつ進めていってください。

信頼できる業者がいなかったり、相談がしたいという方は太陽光発電ムラ市場内に相談フォームを設けてありますのでこちらもぜひご利用ください。

(参考:太陽光発電ムラお問い合わせフォーム)
 https://ichiba.solar-club.jp/contact/

・業者は真のプロばかりではありません。必ず知識と実績の確認を。
・まずは持続可能な経営を。農業を救うべきなのは経営者ではなく政策です。
・20年間の営農が一番のハードル。信頼できる営農者の確保を。