“改正FIT法により太陽光発電のメンテナンスをしないと売電の権利が失効!”
「えーっ!二千万円も出したのに売電できなくなる可能性があるなんて・・・」
こんな宣伝文句を見たら驚いてしまいますよね。
せっかく大金をはたいて設置した太陽光発電所。売電できなくなったらと考えると夜も眠れず、急いでメンテナンス会社と契約したくなる気持ちはよくわかります。
「あ、ここの業者は年額9万円だ。他より安いから契約しよう」
そこはお待ち下さい!本当にその内容、理解できていますか?
太陽光発電所のメンテナンスと言ってもその範囲は広く、メンテナンス業者が用意するメニューも、素人が短時間で出来るレベルのものから、プロが時間をかけないと出来ないものまで多々あります。
また、メンテナンスは売電事業を維持していくものためのものという視点に欠け、過剰すぎるメンテナンスメニューを容易している業者も少なくありません。
せっかくの売電収入を意味のないメンテナンス費用に使ってしまったら、何のためにリスクを負って投資をしたかわかりませんよね。
でもご安心下さい。そんな皆様のために、投資家にとって本当に必要な太陽光発電所のメンテナンスの方法を全てご紹介します。
単純に費用の節約につながるだけではなく、時間のある方はメンテナンスを自分で行ったり副業につなげることも可能です。
ぜひメンテナンスを不安材料ではなく、太陽光発電をより深く理解し投資効率を上げる手段として行きましょう。
1 太陽光発電所のメンテンナンスで騙されないために
各社から太陽光発電所のメンテナンスメニューが出ていますがその内容は業者によって大きく違います。
メンテナンスというと車検の様に法律で内容が決まっているように思えますが、実際には新たに出来たのはガイドラインだけで義務に変更はありません。
中には誰でも出来るような事だけをプロと同じ価格で請け負っている業者も。
そんな業者に騙されないために、まずはメンテナンスがなぜ必要なのか、どんな業者がいるのかをご紹介していきます。
1-1 メンテナンスフリーではありません。太陽光発電所のトラブル事例
太陽光発電所をメンテナンスフリーと呼ぶ業者もいますがそれは大きな間違いです。
雷やモジュール内部の断線による異常発熱から周辺の可燃物に引火すると写真のように火事になることもありますし、近くにおいてあったゴミに引火して全焼したケースもあります。
確かに可動部が少ない太陽光発電所は他の発電所に比べて確かに比較的メンテナンスの手間はかかりません。
しかし、メンテナンスを怠ったがために売電収入が一時的に減少したり、落雷等でブレーカーが落ちたことに気づかず売電収入がゼロになったりするなど落とし穴も多々あります。
また、設計が悪い発電所は倒壊する事もありますし、ずさんな工事の発電所のパネルが飛んで事故が起きれば、事業者が責任を問われる可能性もあります。
設計や維持管理も含め、安全で長寿命、その上で投資効率がよい太陽光発電所の運営をしていきましょう。
1-2 実は義務があまり変わっていない改正FIT法
「法改正によって太陽光発電所のメンテナンスが義務化された」
という煽りの広告が見受けられますが、もともとメンテナンスは義務化されています。
メンテナンスを怠ってい方はこれを機にしっかりとメンテナンスを行っていってください。
平成29年4月から施行された「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法(FIT法)等の一部を改正する法律法」(以下、“改正FIT法”と呼びます)が施行される以前から、発電事業者には太陽光発電所を適切に維持管理する義務がありました。
改正FIT法後からその具体的な内容が例示されましたが、各項目が明確に義務化されているわけではなく最悪の場合は認定取消という罰則に言及したのみです。義務に関しては大きく変わりはありません。
平成29年7月現在、太陽光発電所において義務化されている法定点検については以下の通り自家用電気工作物(50kW以上)の交流部分のものとなります。
(出展:経済産業省中部近畿産業保安監督部近畿支部HPを用いて作成)
http://goo.gl/U1w15l
自家用電気工作物のメンテンナンスにおいて生じる義務は以下のとおり。
・ 電気工事においては、第一種または認定電気工事従事者の作業を義務付けしている。
・ 電気主任技術者の選任、届出の義務付けしている。
・ 保安規程の作成、届け出、ならびに保安規定に基づいた定期点検を義務付けしている。
自家用電気工作物とは、ビルなど一定規模の電力を使う施設のことです。こちらの太陽光発電システムにおいて赤く示したキュービクルから送電網の交流電力部分の一般的な話となります
太陽光発電所のメンテナンスで重要となるのは青く示した直流部分のことであり、こちらは一般の電気工事会社等にはメンテナンスのノウハウがありません。
そのため普通の電気工事会社等がメンテナンスと聞くと、交流部分のメンテナンス+草むしり程度のメンテナンスだと理解している業者も少なくないんですよね。
メンテナンスを依頼する時は必ず太陽光発電所の直流部分のメンテナンスも出来る業者を選びましょう。
1-3 太陽光発電の公的なメンテナンス資格は存在しない
太陽光発電所のメンテナンスの義務は1-1で示した通りパワコンから電柱までの交流部分については義務があるものの、パワコンとパネルを繋ぐ直流部分について義務はありません。
太陽光発電のメンテナンスにおいても公益社団法人や一般社団法人など、公的に見える団体が幾つかありますが、それぞれ会社が数社集まれば出来る任意団体であり、公的な機関では無いのでご注意ください。
メンテナンス会社は所属団体よりもその技術と知識の蓄積が非常に重要となります。メンテナンスが商売になりそうだからと、団体に所属して簡単な研修を受けただけの業者も少なくありませんので、選定の際は十分に質問をしてそのレベルを見定めて下さい。
【質問例】
太陽光パネルの故障はどのように把握しますか?
→◯ パネル内の回路の断線を検知します
(パネルメーカーによるパネル無償交換対象となる劣化を特定できる)
→△ 電圧降下やホットスポットを検知します
(パネルメーカーの保証を引き出せるかはわからない)
→✕ パネルの出力低下を測定します
(立証が難しくパネルメーカーの保証を引き出すのは非常に困難)
【参考情報】平成29年から資源エネルギー庁は太陽光発電所の保全(保守・点検)事業者のデータベース作成事業を開始しています。
これは改正FIT法で保全が義務化されたことを受け、発電事業者の方々に保全業務にあたる事業者の情報を提供していくことを目的としているものですが、登録される業者にメンテナンスの資格は必要なく、以下の5点について掲載されていく予定となっています。・事業者名・事業者の所在地
・連絡先:(電話番号、E-mail アドレス 、ホームページの URL)
・サービス範囲及び提供実績(可能な範囲で)
・研修受講実績、保有資格等知見や技能の向上への取組の実績
1-4些細な故障に対応するとメンテナンス貧乏に
家の屋根に比べ比較的火災につながりにくい野立ての太陽光発電所の場合、メンテナンスで必要となるのは投資の費用対効果を最大化する事です。
例えばほとんどの太陽光パネルは毎年1%程度の劣化で25年間の出力保証がついていますが、数%の劣化を検査するための費用は非常に高額となります。
数%程度の劣化を検知してメーカー保証でパネルを交換してもらうと、点検と交換で10万円以上はかかるでしょう。売電収入が年に数百円回復したところで投資的な意味はありませんよね。
メンテナンスの各項目をしっかりと理解して、適切なメンテナンスメニューを選びましょう。
2 太陽光発電所のメンテナンスの種類と相場
2017年8月現在の一般的なメンテナンスのメニューと内容、費用などについてはこちらの表で概要をご確認下さい。費用については基本的に単独で依頼した時の費用なので、まとめて依頼すると比較的安く済みます
メンテナンスの各項目を理解し、表中の難易度”低〜中”のものはなるべく自分で行っていきましょう。外注する際にも内容と頻度を費用対効果から十分に検討して、時間とお金のバランスを考えた運用をする事が重要です。
2-1 雑草対策はケーブルの切断に十分ご注意ください
太陽光発電所は日射がいいところに設置されるため、雑草対策が必要となる事がほとんどです。
面積が広い太陽光発電所の草を1本1本抜いていくのは非現実的なので、通常はチップソーなどで刈るか除草剤を使用します。除草剤散布の機器もチップソーなども数万程度で購入できるため、自宅が近ければご自身で対応される方がほとんどです。
外注した際の費用は1回につき5万円程度で回数は場所にもよりますが年に2回から4回程度。以前はシルバー人材センターなどに依頼するケースが多かったのですが、知識のない方がケーブルを切断してしまい火災の原因になるなどの事故が多発し最近では太陽光発電所の除草は請け負って頂けないことが多いです。
また、設計の段階でコンクリートや砂利、防草シート、を敷いて草を生えづらくする、架台を高く設計して草が生えてもパネルに届かないようにするなどの雑草対策も有効です。費用対効果を考えて総合的な対策をしていきましょう。
除草についてはこちらの記事に詳しく掲載されていますのでご参考にしてみて下さい。
(参考:太陽光発電の雑草対策全集 あなたにぴったりの雑草対策教えます)
https://taiyou-hatsuden.jp/how-to-weed-management-818
2-2 洗浄は水道水でのパネルの洗浄は逆効果
太陽光パネルが汚れると発電量は5%ほど低下しますが、雨水で汚れは流れるので鳥の糞など特別な影響がなければ特に洗浄の必要はありません。
それよりも定期的に水道水で洗浄をしてしまうと、乾いた時にカルキ成分が永久に白く残ってしまい帰って発電量の低下を招いてしまいます。井戸水でも成分によっては白くなってしまいますのでご注意下さい。
パネル洗浄は雨が降った時に汚れを落とす程度にしておきましょう。純水を使う業者もいますが、費用対効果を考えれば雨水で十分です。
単独で外注した時の費用については1回10万円程度。他のメンテナンスメニューに含まれているケースもあります。
2-3 目視で将来的なリスク軽減
目視は特別な機材を必要としないため太陽光発電所のメンテナンス項目に必ず入っています。しかし、目視すべき箇所がわかっていないとあまり意味がありません。
外注した時の価格はパネル検査も含めて低圧50kWで10〜20万円ほどとなります。
2-3-1 パネルの目視はサビ、ひび割れ、スネイルトレイル
太陽光パネルの角は仕上げが悪いと錆びてしまうことがあります。サビが広がらないうちに錆びた部分を削り、錆止めを塗っておきましょう。
カラスや飛び石などで割れてしまったパネルは放置するとその部分から加熱され、火災の原因になる事があります。割れてしまったパネルはすぐに回路から外し、できるだけ早く交換します。
太陽光パネル内の一枚一枚のセルの中に、写真ようにカタツムリが這ったような跡が出ることがあります。これはスネイルトレイルと呼ばれる現象で、パネルが将来的に劣化する可能性が高くなります。
しかしスネイルトレイルが出ても出力の低下が見られなければメーカー保証の対象ではありません。スネイルトレイルが出たパネルは遠隔監視装置などで出力低下に十分注意しましょう。
2-3-2 パワコンの目視はエラーメッセージとコネクタ、フィルタの確認を
パワコンが壊れていると基本的には操作盤にエラーメッセージが出ています。まずはそちらを確認して下さい。
次にパネルとの接続部分がしっかりと接触しているかを確認しましょう。しっかり接触していない場合、スパークして焦げなどが生じている事があります。万が一焦げていた際は、火災の原因になりますのですぐに交換を依頼して下さい。
また、パワコンは基本的に空冷式なので、フィルタがついています。こちらのフィルタが目詰りするとパワコンが加熱され、停止する原因になってしまいます。少なくとも年に1回はチェックして掃除をして下さい。
2-3-3 架台の目視はサビとネジを
架台で一番気になるのはサビですよね。サビはサビ自体が空気からのバリアとなってサビの進行を抑えることが出来るので、サビが剥がれるような状況でなければ過度の対策は不要ですが、気になる方は錆止めを塗っておきましょう。
意外と見落としがちですが一番注意したいのはネジの緩みです。特に国道沿いなどの揺れが多く生じるところではネジが緩みやすくなります。
通常は架台を設置した際に、写真のようにネジに印がついています。こちらがズレていないかをチェックして、ズレているようであれば増し締めをした後、新たにマークを付けておきましょう。
2-3-4周辺の目視点検でトラブルを未然に防ぐ
太陽光発電所には機器に以外起因する物以外にも雑草、鳥や人間の悪戯、土砂崩れなど様々なトラブルが生じます。
雑草について
売電に関係ない場所の草も、将来的に発電を妨げる可能性があるだけではなく、近隣とのトラブルの原因になる可能性があります。敷地内の草はすべて対策をしておきましょう。
土砂や小石やゴミ、ゴルフボールについて
カラスが悪戯で使いそうな小石やゴルフボールは必ず撤去しておきましょう。一度パネルを割る楽しみを覚えさせてしまうと、限りなく被害が拡大します。
また、敷地の一部の土砂崩れや空き缶やペットボトルが周辺に捨てられているなど、周辺が荒れた状況を放置しておくと、発電所を転売した時の評価額が下がるだけではなく、盗難や悪戯等の軽犯罪の発生率が高くなります。
犯罪を未然に防ぐためにもスキのない発電所の運営を心がけましょう。
(参考 Wikpedia 割れ窓理論) https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%89%B2%E3%82%8C%E7%AA%93%E7%90%86%E8%AB%96
排水路について
日頃は影響がないので気づきませんが、土砂やゴミで排水路が埋まっているといざ大雨が来た時にご自身の太陽光発電所だけではなく、近隣を巻き込んでの災害の原因になってしまうこともあります。
必ず定期的に点検をして被害が起こらない状態を保っておきましょう。
2-4パネル検査はメーカー保証がしてもらえる断線のみを発見
太陽光パネルの検査にはIVカーブトレーサーなど、専門の機器が必要となりますが、それらの機器を使用して故障や劣化を発見してもそれが証明できなければメーカーの保証は受けられません。
また、パネルは劣化するのが当然であり軽度の劣化で交換をしていては費用対効果が非常に悪くなってしまいます。
ほぼすべての太陽光パネルメーカーは年1%以上の劣化が認められた際にパネルを無償交換してくれますが、実際に年1%程度の軽度な劣化を証明する方法は非常に困難です。そこでパネルの検査はストリングの電圧と断線のみをチェックする事をおすすめします。
太陽光発電ムラでも貸出をしている太陽光発電アレイテスター(ソコデス)で断線しているパネル候補を発見し、ソラメンテで確定させればパネルは出力が33%以上低下していることになり、メーカーの保証を確実に受けることが出来ます。
(参考:太陽光発電ムラ市場 検査機器レンタル)
https://ichiba.solar-club.jp/products/list.php?category_id=56
なお、ドローン等で赤外線カメラを用いてチェックする方法が各メンテナンス会社から提案されていますが、赤外線の検査でホットスポットを発見しても将来的に故障しそうなことがわかるのみで、メーカー保証には応じてもらえません。
赤外線検査は、転売用にしっかりとしたメンテナンス履歴を残したい場合など特別な事情があるときだけにする事をお勧めします。
2-5遠隔監視によって発電所を遠隔診断
メンテナンスで一番重要とも言えるのがこの遠隔監視装置です。低圧50kW1基あたり導入費用で10〜100万円ほど、さらに月額費用が1,000〜5000円ほどかかります。
同じ遠隔監視でも故障のおそれがある際に警告をメールで送るだけのものから、パネル1枚1枚をリアルタイムで監視するものまで多々あります。
太陽光発電所の故障率自体はそう高くありませんが、落雷等でブレーカーが落ちて非常停止するケースはそう珍しくありません。このような時に遠隔監視装置がついていないと数カ月分の売電収入をロスしてしまうことも。
お薦めはパワコン毎の監視が出来るタイプ。ストリングごとやパネルごとなど更に細かく監視が出来れば故障診断にはいいのですが、あまり細かいと日々のチェックをするのに時間がかかってしまいます。
私は実用性の高さから判断して所有する5箇所の発電所でひだまりeyesを使用しています。
(参考:ひだまりeyes販売サイト)
https://ichiba.solar-club.jp/products/detail.php?product_id=129
2-6 駆けつけ対応は発見から対応までの時間重視で
遠隔監視装置やパワコンのログから発電所に何かトラブルがあったと思われる際は、どうしても現場でチェックをする必要があります。
所有する太陽光発電所が近所にあればいいのですが、遠方にあるとどうしても自分ですぐにチェックに行けませんので、駆けつけ対応と呼ばれるサービスを利用しましょう。
費用は1回毎に5000〜2万円程度ですが、メンテナンス契約の中に駆けつけ対応費用も含まれている場合もあります。
ただし駆けつけ対応自体は修理をするのではなく、現状を確認する程度なので電気の知識のあるお知り合いがいれば、工務店等の代わりに対応していただくことは可能です。
2-7 除雪はパネル上よりパネル下に注意
除雪は除雪自体の方法よりも除雪に対する考え方と運営体制が一番重要です。
太陽光パネルに雪が積もるとパネルは一切発電しなくなります。しかし、雪が降るような日は発電量自体も少ないので、パネルに積もった雪を落としたところで売電収入はほぼありませんので、気にする必要はないでしょう。
雪で一番注意しなければならないのは雪で発電所が壊れること。パネルの角度が20度以上であれば積もった雪は自然に落ち、パネルの上に積もった雪だけでパネルが割れることはほぼありません。
しかし落ちた雪が積もって雪が落ちるスペースが無くなると雪の逃げ場がなくなりパネル上に積もった雪の重みで最後はパネルが割れたり、架台が沈むなどの被害を受ける事になります。
それだけ短期間に大雪が降った時には、除雪をする人の確保も非常に困難となりますので、雪の日が続きそうな際には予め除雪要員を確保しておき初日、2日目に除雪をしておきましょう。
価格は契約内容にもよりますが低圧1基あたり1日5〜10万円ほどとなります。
3 シチュエーション別 メンテナンス費用とリスクを抑える方法
メンテナンス費用をリスク無く安くする方法は
・業者と対等に話せる知識をつけること
・自分の手間をかけること
基本的にこの2つしかありません。
業者に依頼する際はメンテナンスのメニューを良く比較し、必要なメニューが入っているか、逆に無駄なメニューが入っていないかを厳選した後に価格を比較しましょう。
また、メンテナンス業者は基本的に専門家なので人件費が高くなります。素人にもできる作業はなるべく自分で行うか、安く依頼できる方に依頼しましょう。
3-1 遠方の低圧発電所のメンテナンス
太陽光発電所がお住いの地域から遠方にある場合、自分がメンテナンスに行ってしまうと交通費の負担だけではなく、機材等を運ぶ手間もかかってしまい自分で行うとかえって高くついてしまうことがほとんどです。
地域にもよりますが年間の費用は単独の発電所であれば30万円ほどが相場です。信用度の高い部材を使用しているのであれば電気的な検査を数年に1度にして、年間の費用は10〜20万円に落とすことも可能でしょう。
また、近隣に複数の低圧太陽光発電所を所有している、または知人の太陽光発電所のオーナーがいるなどの際は、まとめて業者に依頼すると単価が安く済みます。知人がいない際は太陽光発電ムラFBページで探してみて下さい。
(参考:太陽光発電ムラ市場メンテナンスパック)
https://ichiba.solar-club.jp/products/list.php?category_id=57
(参考:太陽光発電ムラFBページ)
https://www.facebook.com/groups/156300574557387/
3-2 近隣の低圧発電所のメンテナンス
太陽光発電所がお住いの地域の近隣にある場合は、メンテナンスのうち特殊な技術が不要で費用がかかる除草の部分は自分で行い、電気的な検査のみを業者に依頼しましょう。費用の相場は10〜20万円となります。
電気的な知識がある場合は専門の検査機器さえあれば自力で検査することも可能です。ご自身の手でパネルを1枚1枚チェックしていけば、発電所の状態を完全に把握することが出来ます。
コネクタを外すなど電気工事的な作業がなければ電気工事士等の資格は不要です。ただしSMAなど一部のパワコンの場合、検査時にコネクタを外す作業が必要となりますのでこちらは資格が必要となります。ご注意下さい。
なお、専門の検査機器は買い揃えると少なくとも百万円以上します。太陽光発電ムラ市場でレンタルもしているのでぜひご活用下さい。
太陽光発電ムラ市場では2017年9月現在
・太陽電池アレイテスターSOKODES(断線箇所しているパネルの発見用)
・ソラメンテ(故障パネルの特定用)
・サーモカメラ(ホットスポットの発見用)
・パネル検査用の絶縁抵抗器
・地絡検出器
・IVカーブトレーサ(断線がない時の劣化の証明用)
をご用意しています。
(参考:太陽光発電ムラ位置 レンタル機器)
https://ichiba.solar-club.jp/products/list.php?category_id=56
また、将来的に独立を目指す方向けには太陽光発電ムラ推進会員制度もあります。レンタル機器が無料になるだけではなく会員限定の分譲案件や法規制関連などの情報提供、部材購入時の特別割引などもついておりますのでこちらもご検討下さい。
会員専用のFBグループで、プロに対して何でも質問できますので、投資家や太陽光関連事業を営む方だけではなく、初心者の方にもオススメです。
(参考:太陽光発電ムラ推進会員)
https://solar-club.jp/member/avein/suishin_form/
3-3 高圧の太陽光発電所の場合
利益幅の大きい高圧の太陽光発電のメンテナンスの場合、業者側は比較的高く細かいメンテナンスメニューを用意してくることが多く見受けられます。リスクの軽減に費用対効果が見合うメニューだけを選んでいきましょう。
まず、義務付けられている交流部分の維持管理のみで規模により数十万円から数百万円の費用が発生します。
太陽光発電所特有のメンテナンスはパワコンより太陽光パネル側の直流部分になりますので、メンテナンスメニューに直流部分が入っているかをまずはご確認下さい。
万が一、メンテナンスメニューに直流部分の表記がなかった際は、その業者は太陽光発電所のメンテナンスの意味を理解していないので契約しないで下さい。
なお、ドローンを用いた赤外線による検査やパネル1枚1枚を外して検査するEL検査などのメニューを提示されることもがありますが、費用対効果的にあまりメリットがありません。
これらのメニューを利用するのは発電所の維持管理のためではなく、転売時に発電所の状態を証明し、高く売るなどの目的がある場合に利用するべきだとご理解ください。
3-4 まとめ
・メンテンナンス義務は法改正前からあります。適切な維持管理を。
・過剰な検査項目に注意。費用対効果の良い検査だけを。
・メンテナンスコスト軽減のため、自分で出来ることはなるべく自分で
・保有か転売か、目的に応じたメンテナンス方法の選択および書面の準備を
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