今後も安心の太陽光発電!20年後の価格予測と40カ国のFITの今

今後も安心の太陽光発電!20年後の価格予測と40カ国のFITの今

「太陽光発電って今は良さそうだけど将来は損するんじゃないの?」

 太陽光発電で作った電力の売電価格も下がっていますし、知らない方が見れば、太陽光発電の将来は暗いのかと思ってしまうニュースが多いですよね。

環境にもいいし金銭的なメリットもあるなら太陽光発電をしてみたいけど、何となく不安に思う方も多いのではないでしょうか。

せっかく大金を払って設置する太陽光発電所ですから、末永く活躍してほしいと思うのは当然です。

しかしご存知でしょうか。今年の太陽光発電の売電価格が下がっても過去に作られた発電所には全く影響がない事を。

実は太陽光発電所はなるべく早く設置したほうが有利なんです。

毎年売電価格が下がっているというのは、新規に設置される発電所だけのお話。過去に作られた発電所の売電価格は10年、規模によっては20年維持され続けます。

売電価格はだいたい毎年10%ほど下がっていきますので、近隣の発電所より設置の申請が少し遅れると、同じ発電量の発電所なのに売電収入が下がります。

申請日が隣の発電所より1日遅れただけで、投資額が同じでも隣が毎年200万円の収入を得ている中、あなたは180万円の収入しか入らないことになります。そしてこの差は20年間ずっと続くことに。

同じだけ発電して社会に貢献しているのに、自分だけ売電収入が低くなったら嫌ですよね。

また、急に法律が変わって売電価格が下がったり、20年後の撤去費用が不安だという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そこで今回は、現在と今後の太陽光発電について、国内の状況および40カ国の海外の事例をご紹介しながら日本の太陽光発電所の将来を予測し、その対策をご紹介します。

ぜひ太陽光発電所の未来について情報を集め、安心して太陽光発電所の設置計画を進めていって下さい。

1 太陽光発電は今後も推進され続けます

 太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギーは世界中で導入が進んでおり、日本でもさらに導入をしてくと経済産業省が明言しています。

 また、太陽光発電の関連業者が倒産しているのは事実ですが、太陽光発電投資バブルが過ぎて無理な経営をしていた業者が倒産しているだけです。ご安心ください。

 政府も太陽光発電について課題はあるもののまだ推進していくと明言しています。
 (参考:経済産業省・資源エネルギー庁 エネルギー基本計画 平成26年4月)
  http://www.enecho.meti.go.jp/category/others/basic_plan/pdf/140411.pdf

 また、太陽光発電業界を代表する一般社団法人 太陽光発電協会からはさらに強気の予測が出ています。
 (参考:一般社団法人 太陽光発電協会 JPEA PV OUTLOOK 2017 年 6 月)
  ~太陽光発電 2050 年の黎明 ~〈 脱炭素・持続可能社会実現にむけて 〉
  http://www.jpea.gr.jp/pvoutlook2050.pdf

1-1  設置済みの太陽光発電所の買取価格が20年間変わらない理由
 

 結論から言うと、稼働し始めた太陽光発電所の買取価格は売電開始から20年間変わりません。

確かに固定価格買取制度において、売電価格が20年の間に変わるリスクはゼロではありません。ただしそれはこちらの条文が元になります。

電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法 
 第二章 電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達等 第三条8
「経済産業大臣は物価その他の経済事情に著しい変動が生じ、又は生ずるおそれがある場合において、特に必要があると認めるときは、調達価格等を改定することができる。

 しかし、この価格の変更については経済産業省におけるQ&Aや説明会においてまずないと否定しています。考えられる状況としては戦争、ハイパーインフレなどとなります。インフレであれば買取価格は逆に上昇します。

 また、固定価格買取制度に於いて太陽光発電所は、投資による利回り(IRR:内部収益率)が、制度開始から3年間のプレミアム期間が6%、3年が超えてからは5%になるように買取価格が設定されています。

 投資資金の大半は融資なので、仮に経済産業大臣が些細な理由で20年を迎える前に買取価格を下げると破綻する太陽光発電業者が続出します。破綻は金融機関の不良債権の増大につながり、日本全体の経済危機を引き起こすことになりますので、まずこれも起こりえません。

1-2 来年以降のFIT制度、買取価格はどうなるか

FITの価格予測太陽光発電ムラ投資研究所作成 FIT価格の推移予測 (※2018年度以降は予測値)
 

 平成29年度以降のFTT制度についてはしばらくIRRを維持することが資源エネルギー庁の調達価格算定委員会で決定されています。

(参考:調達価格等算定委員会 )
 平成 29 年度以降の調達価格等に関する意見 平成 28 年 12 月 13 日
  http://www.meti.go.jp/report/whitepaper/data/pdf/20161219002_01.pdf
 

 買取価格が下げ幅は導入の市場価格の下げ幅に比例するので、投資利回りは今まで通り確保できることとなります。しばらくは安心して太陽光発電投資を続けていきましょう。

 将来的な買取価格については、経済産業省の太陽光発電競争力強化研究会において施工の価格目標が言及されています。

太陽光発電のコスト低減イメージ(出典:経済産業省「太陽光発電競争力強化研究会」報告書別紙)
 太陽光発電のコスト低減イメージ
http://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/energy_environment/taiyoukou/pdf/report_01_03.pdf

 経済産業省の太陽光発電競争力強化研究会における2016年の非住宅用太陽光発電所の設置価格は28.9万円/kW、2020年および2030年の目標が 20万円/kW、2030年 10万円/kWとなっています。

これらの数字を元に太陽光発電ムラ投資研究所が長期的な価格予測をしたものが冒頭の表になります。

実際には自家消費が進むと、FITでインセンティブを与えなくても太陽光発電の導入が自動的に加速される時代がとなるため、FIT自体が不要になりますが目安としてご利用ください。

なお、国際エネルギー機関による太陽光発電の2050年における太陽光発電の発電単価は4〜16セント/kWhとなっています。

1-3 20年後以降も売電は可能です

 FIT開始後、毎年原発約2基分の設備が導入されてきた太陽光発電所が20年後に急に全て撤去されてしまったら、日本全体の電力供給が混乱してしまいます。

資源エネルギー庁も改正FIT法における説明会において、太陽光発電の事業者に20年目以降もインフラの担い手として発電所を維持管理していくことを求めていますし、それに対する環境整備も行っていくとの説明もありました。

太陽光発電は燃料費がかからないため、設置して減価償却が終わってしまえば非常に価格競争力のある電源となります。国策としても20年後に撤去するメリットは全くありません。

20年後について不安の声が具体的にあがりはじめたのは、主に改正FIT法における事業計画ガイドラインにおいて、太陽光発電所の撤去費用を記載することが求められてからでしょう。

 これにより20年のFIT期間が終わった後、太陽光発電所は撤去されるものだと考えられている方が多いようですが、太陽光発電所は20年後以降も稼働出来ますし、前述のように稼働することを求められています。

その際の売電価格は当研究所の予想と同じく7〜8円を予想する専門家が多いようです。実際にはその時になってみないとわかりませんが、維持管理費用を捻出できないほど安くなる事はないと言われています。

2 太陽光発電所を20年後も保有し続ける方へ

 太陽光発電所は適切な維持管理をしていれば半永久的に発電をし続けます。無限に湧き出る油田が空き地に現れたようなもの。この価値観に賛同できる方は、ぜひ先祖代々受け継がれるものにしていきましょう。

2-1  太陽光発電所は既得権益  

 電力網に繋げる太陽光発電所の量には制限があります。そして一度繋ぐことを認められた発電所は期間の定めなく電力網に電力を供給し、売電し続ける事が出来ます。

太陽光発電所を繋ぐ容量はある意味、既得権益です。もし将来的に太陽光発電事業が有利なので始めたいと思った方がいても、その時には電力網に繋ぐ権利がない可能性も十二分に考えられます。

機器の改善が進み運営ノウハウが蓄積されている太陽光発電所は今後益々安定した投資先として人気を集めることでしょう。

まずは少なくてもいいので太陽光発電投資でキャッシュフローを増やしつつ、電力網に繋げられる太陽光発電所の容量を確保していきましょう。

2-2 30年の事業計画シミュレーション

 太陽光発電所の事業シミュレーションは通常20年で作成しますが、パネルの出力保証期間は25年または30年となっています。実際に20年で事業を終了させないのであれば、30年分のシミュレーションもしておきましょう。

30年用の事業シミュレーションシートを作成したのでご利用ください。
30年用の事業シミュレーションシートダウンロード

3 太陽光発電所の出口戦略を考える方向けに 

 太陽光発電を堅実な不動産投資と考える方にとって、太陽光発電所を所有してから売却または撤去までを考えるのは当然の事ですよね。

3-1 太陽光発電所の出口戦略 

 太陽光発電所の価値はほとんど地価に影響されず、売電収入を上げる方法も限られているため出来る事はあまりないように思われがちですが、転売によって差益を得ることは十分に可能です。

転売をする際に発電量はもちろん重要ですがそれと同じくらいに重要なのが外観です。特にフェンスがみすぼらしいと非常に不利となりますので、フェンスはそれなりのレベルのものを設置しておきましょう。

3-1-1 シミュレーションが厳しい新設分譲案件を購入して転売

 各業者の新設の太陽光発電所の価格はシミュレーションを元に設定されていますが、太陽光発電のシミュレーションは基準がありません。

(参考:誰でも簡単に出来る太陽光発電投資の発電量&事業シミュレーション)
 https://taiyou-hatsuden.jp/solar-simulation-1209

実際の発電量とシミュレーションとでは20%以上の差異が見られることもあります。地域、パネルの特製、地形条件を考慮した上で近隣の太陽光発電所の実発電量と比較して、お買い得な新設太陽光発電所を見つけて購入しましょう。

購入後、1年間の稼働実績がある発電所は売電収入見込がはっきりしているため、金融機関からの融資がつきやすくなります。2017年9月現在、新設の太陽光発電所の目安とされる表面利回り10%より低い8〜9%の表面利回りでも取引されるので、十分な差益を稼ぐことが出来ます。

転売する際、パネル、パワコンなどの部材はなるべく大手の歴史あるメーカーのものを選定しておくことと買い手に説明がしやすくなる事も覚えておいてください。

3-1-2 隠れた価値を見落としている稼働済み案件を購入して転売

 FIT開始後、早い段階で設置され太陽光発電所は発電量シミュレーションが厳しいため、売り手が発電所の故障を発見できないまま販売しているケースも多く見られます。

このような際は故障により発電量が低くなっているので、実際にその発電所が持つポテンシャルからすると非常に安く販売されていることになります。

3-1-1と同様に比較を行い、明らかに発電量が少ない発電所がある際はメンテナンス機器でチェックをした上で購入し、故障対応をした上で1年間改めて稼働実績を残して販売しましょう。

この際は購入時に、現オーナーからパネルやパワコンなどの機器の保証期間及び保証内容の権利の引き継ぎが出来るかを予めご確認ください。メーカーや販社、施工店の倒産などにより部材の無料交換が受けられない可能性があります。

メンテナンス機器についてはこちらの記事をご参照ください

 (参考:無駄を排除し最小リスクで最大利益を得る太陽光発電所のメンテナンス)
  https://taiyou-hatsuden.jp/maintenance-of-solar-power-plant-1181

3-220年後の発電所の撤去方法

 もし20年後に太陽光発電所を撤去するという際は、基本的に施工をした時と逆の手順で作業を行っていきます。電力網から切り離し、電線、パネル、パワコンを撤去した後に架台を分解して最後は基礎を撤去します。

 20年後の撤去を考えるのであれば基礎はグランドスクリューを採用しておくと撤去がしやすくなりますし、コンクリートに比べて処理費用も安く手済みますので、撤去を考えるのであれば基礎の種類も考慮してください。

費用としては建設費の5%以上を見ておくよう、資源エネルギー庁の事業計画ガイドラインに掲載されています。予め見積もりを取り十分な費用を積み立てておきましょう。

3-3 パネル、パワコン、架台など部材の処理方法 

 FITが始まった際にはパネルのリサイクル方法が確立されていなかったため、20年後のパネルは廃棄するしか無いと報道されていました。しかし現在では国内のリサイクル業者も設立され、80%以上リサイクル出来るようになりました。

20年後であればパネルはまだ使える状態のものがほとんどなので、中古品として転売できる状態にあります。また、リサイクルに回す際も現在は業者に有料で回収を依頼することになりますが、リサイクルが進めば将来的には有価物となるため、無料または買い取ってもらえるようになる見込みです。

パワコンは今のところリサイクルが確立されていないので産業廃棄物扱いとなります。処理費用は低圧1基あたりであれば数万円で済むでしょう。架台もアルミの場合は有価物となるので撤去の際は買い取ってもらえます。

4 太陽光発電におけるFITの世界の動向

 FITは太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギーの導入を促進する事により、再生可能エネルギーの導入価格を下げていくための政策です。

これは日本独自で行っても意味はありませんし、逆に日本だけが行わないと世界のエネルギーの潮流から外れることになります。

では世界のFITの状況を見ていきましょう。

世界のFIT状況2017

世界が脱化石燃料に進む中、日本だけが化石燃料に頼るわけにはいきません。化石燃料の需要が減り生産量が減れば燃料価格は高騰しますし、何より気候変動対策で国際的に孤立してしまうからです。

日本の報道では国内のFITの買取価格が下がっていることや、ドイツがFITを終了させたことばかりがニュースになりがちですが、以下の表の通り世界中でまだまだ太陽光発電の導入は推進され続けています。

またFITが途中で減額された例は確かにスペインとイタリアであります。しかしそれぞれ一方的な措置ではなくFIT減額により買取期間が伸びています。

また、ブルガリアでは遡及的に料金を徴収しようとしましたが、国が2度にわたり最高裁で負け、新たに太陽光発電に20%課税しようとしたものを5%の課税しか出来ませんでした。

これらの事例を見る限り、日本の太陽光発電だけが一方的に買取価格の減額を強いられる可能性は低いといえるでしょう。

5 まとめ

太陽光発電所の今後について、何も心配する必要が無いことがわかって頂けたでしょうか。これからも安心して太陽光発電の推進をしていってください。

 

まとめ

・FITの売電価格は売電開始時から20年間まず変わりません

・売電は20年後以降も出来ます。

・撤去する際はパネルも架台もリサイクルできます

・転売か長期保有か予め決めた上での発電所運営を