え?発電所って売れるの?
そうなんです。売れるんです。
それも案外高値で。
急にまとまった金額のお金が必要になったり、引越しなどで自分の居住エリアが変わったりした時、発電所を手放すという事も選択肢の一つです。
すでに稼働している発電所は「工事完成リスク」がゼロです。
売電実績も確認できるので「売電リスク、日射リスク」も正確に評価する事ができます。
つまりそれだけ銀行融資も引き出しやすい状態にあります。
当然ながらシミュレーション値よりも上ぶれしている発電所であれば買った金額よりも高く売却できます。
正しい評価を受けられる発電所であれば買った時より10%高く売れる事もあるくらいです。
発電所の売却益を元手に次の事業を行う事もできますよね。
この記事を読むと発電所の売り方の基本的なルールや流れがわかります。
あなたの発電所の状況と照らし合わせ、有利な条件で売却できるか考えてみましょう。
1 実は売却できます 稼働済みの太陽光発電所
あまり知られていないのですが、事業用の土地付き太陽光発電所は売却する事が可能です。
発電前は「売電シミュレーション」を元に売電金額を予測して事業計画を立てますよね。
しかし、稼働済みの発電所であれば「売電実績」から事業計画を作ることができますからより高値をつけることが可能です。
まずは太陽光発電所の売却の仕方の基本的なところを見ていきましょう
1-1 太陽光発電所を売却する方法 買い手は仲介サイトで見つけよう
太陽光発電所を売却するにはまず買い手を見つけることが必要です。
稼働済みの太陽光発電所を欲しい人はたくさんいますが、自分で直接次の買い手を見つけるのは大変です。
そこで現実的な方法としてオススメするのが「発電所売買の仲介サイト」です。
>> 太陽光発電ムラ市場 値付けサービス
>> あなたの発電所 値付けいたします!
実際に発電所を買いたいと思った時に、インターネットで情報を集めますよね。
仲介サイトには当然そういった「発電所を買いたい」という人が集まっていますから自分で探すよりもはるかに効率的です。
1-2 太陽光発電所の売却価格はどうやって決まるのか
売却する発電所の値段は固定価格買取制度(FIT制度)の残期間と直近の売電実績で決まります。
売電実績が多かった年は売却するチャンス!
しっかりと整備されていて、フェンスや監視装置もついた発電所であれば買った金額よりも高く売ることも可能です。
逆にあまり良くないのは監視装置も付いておらず、動作の確認ができないような状態で売りに出してしまうことです。
ちょっと手直しすれば大きく売却益が上がるかもしれないのにどこを直したらいいのかもわからないのではお話しになりません。
まずは自分の発電所の動作確認が取れる状態にしましょう
2 太陽光発電所を売却する上で必要な資料
太陽光発電所を売却するには絶対に必要な資料、できればあった方がいい資料があります。
まずは「絶対に必要な資料」から確認しましょう。
2-1 絶対に必要! 売電実績は電力会社が発行した資料で
もっとも基本となるのが売買実績となる資料です。
ついついエクセルで集計した資料を出してしまいがちですが、これだけでは証拠としては不十分です。
売電明細のコピーか電力会社発行の売電記録が望ましい資料です。
これがない場合は通帳のコピーでチェックすることになってしまいます。
電力会社に依頼をすると1週間程度で過去の売電記録を出してくれますからまずは電力会社の支店に確認してみましょう。
2-2 絶対に必要! 3点セットは最新の物を(認定、土地謄本、電力の連系確認書)
同じく絶対に必要なのは以下の三点です。
- 認定確認書・認定通知書
- 発電用地染筆の土地登記簿謄本
- 電力の連系契約確認書
この3つの資料は発電所の最も基本的な情報になります。
意外と多いのが「最新の設備認定書面を持っていない」という発電所オーナー。
購入した時点では設備認定は業者名義になっています。
認定変更をかけ、実際に名義が変更した後の設備認定書面を持っておきましょう。
次のオーナーが「名前が違う・・・あやしい感じがするな・・・」と思わずにすみます。
2-3 実際にかかっているランニングコストもまとめておこう
ひも付きになっている管理費、土地が賃借であれば賃借料、保有している土地であれば固定資産税などは必須のコストですよね。こちらもまとめておきましょう。
自分で行っている管理の費用や今支払っている保険の金額もわかると次のオーナーは事業計画が立てやすく、融資の審査も有利に進みます。
次のオーナーが事業計画を立てる際に参考になる数字ですからこれも出してあげると親切です。
2-4 発電所関連の工事資料・メンテナンス資料はそろっていますか?
本来は揃っているべきなのですが、実情はなかなか揃っていないというのがこの工事関連・メンテナンス関連資料です。
発電所のパネル配置図、パネルの接続経路を記したストリングマップあたりは低圧の発電所でも揃っていることが殆どです。また最近の発電所では架台の構造計算書もわりかし揃っています。
しかし、地盤調査の記録、施工計画書などは低圧ではなかなか揃っていないことも多いのが現実です。
施工系の書類以外では電気系の検査を記録した点検記録なども本来であれば揃っているべき書類です。
なかなか素人が見てもわかりづらい資料ではありますが、所有後に管理を引き継ぐのがとても大変になります。
2-5 関係法令の記載があるとより親切
低圧の太陽光発電所で確認が必要な法律は以下のような物があります
太陽光発電所を作る際にクリアしなければならない法律です。
- 農地法 (元々農地だった場合、農地転用がきちんとなされ、雑種地等に変わっているか)
- 景観法、景観条例 (市町村が定める景観条例に適合しているか)
- 都市開発計画法 (県や市町村が定める都市開発法に適合しているか)
- 宅地造成法 (市が定める計画区域内で500平米を超える土地の形質変更がある場合)
- 森林法 (低圧1基で引っかかることはあまりないが、隣地も丸ごとカウントされるため団地形式の場合は要注意)
- 河川法 (河川が蛇行している地域は要注意)
- 海岸法、港湾法 (海岸周辺は要注意)
などがあります。
しかし、これをクリアせずに作ってしまった違法発電所を「バレて認定取消になる前に売ってしまおう」という人も中にはいるかもしれません。
「適法な発電所ですよ」と証明できれば次のオーナーに安心して買ってもらうことができますよね。
関係条例が特別な物がないかは実際に県庁・市役所などにヒアリングしてみる必要があります。
低圧太陽光発電で開発許可が必要になる例は「複数区画連系」をしているような36円以前の「団地型分譲発電所」です。
森林法では隣の敷地の開発も「一つの団地」としてカウントするルールがあります。
自分の敷地は1000平米程度でも10個集まれば1万平米を超えてしまいますよね
この場合、森林法の開発許可が必要になります。
もし開発許可を取っていない発電所だった場合、最悪は撤去の上で10年木・20年木などを植樹し直し、そこから再度森林法の開発許可手続きを進める形になります。
団地型の発電所の場合はここはチェックしておきましょう。
また、農地法の転用許可を取っていないために実際に設備認定が取り消されたという事例も沖縄で発生しています。
今後全国に広まっていく可能性の高い事案です。
自分の発電所をディスカウントせずに売却しようとするなら「この発電所は農地台帳には載っていませんよ。森林法にも引っかかっていませんよ」ということを自ら名乗り出ていると親切です。
3 実際の売却手続き
発電所、売却してみてもいいかなぁ。。。
と思った方向けに、実際の売却の手続きを紹介します。
購入時の手続きも全く同じですから、セカンダリ(稼働済み)発電所を購入しようとお考えの方は逆の目線で読んでみてください。
3-1 概算売却金額の設定
まずは概算の売却額を設定してみましょう。
このような感じで発電所の売却金額を簡易的に計算してくれる仕組みがあります。
売却金額は「直近の売電実績」「FITの残期間」「ランニングコスト」「修理に必要な金額」で決まります。
この辺のデータから「買いたいと思う人が存在し、銀行がギリギリ融資しうるであろう金額の最高値」が発電所の概算売却金額です。
この金額から
- 監視装置が付いていない
- フェンスが付いていない、または修理が必要
- 廃棄物が残置されている
- メンテナンスが不十分
といったマイナス情報があった場合マイナス査定されていくイメージです。
中古車の査定もこのような形で「基本価値—マイナス査定気額」で決まっていきますからそれをイメージすると分かりやすいのではないでしょうか。
3-2 変更認定申請手続き・名義変更の準備
次に確認しておきたいのは名義変更手続きを誰がやるのかという部分です。
「発電事業者本人」は名義変更の申請はできません。
それができるのは設備認定の登録事業者です。
太陽光発電の代行申請事業者はこの作業が可能ですからそういった業者に依頼する必要があります。
太陽光発電ムラ市場は申請の管理も行っていますから、売却の際はこの辺の作業も安心してお任せください。
3-3 売却スケジュールの設定
また、売却の概算スケジュールもイメージしておきましょう。
いつでもいいから条件のいいお客さんに売りたいのか、それともなるべく早く決済してしまいたいのか。
早めに決済したいのであれば多少、売買金額を安めに設定しておくことをお勧めします。
また、決済までにかかる時間が増えれば増えるほどFIT法の残期間は目減りしていきますので発電所の売買金額も減っていきます。
遅すぎず、早すぎずという感じですと3ヶ月後くらいまでに決済するイメージを持っておいて、販売サイトに掲載する形が一般的なスケジュールだと考えておくといいでしょう。
3-4 譲渡契約書の準備 設備IDを記載したものを
譲渡契約書もある程度準備しておきましょう。
設備認定変更をする時には、設備IDが記載された譲渡証明書が必要になります。
譲渡契約書には設備IDを記載しておくとスムーズです。
3-5 売却時に注意すること
売却時に注意することは3つあります。
3-5-1 売却前に確認 保険の解約
まずは保険を解約しましょう。
日割りで解約金が戻ってきます。
1年契約の解約金は多くはありませんが、5年契約などを結んでいた場合は解約金もその分大きくなります。
3-5-2 1月末までに確認 固定資産の減少の申請
売却後、1月末までにやらなければいけないのが固定資産の減少申請です。
今までやっていた固定資産の報告で「資産が減少しましたよ」という報告をする形です。
3-5-3 確定申告時の確認 譲渡所得税の支払い
また忘れてはいけないのが譲渡所得税の支払いです。
こちらは確定申告の時に譲渡所得として申請する必要があります。
税理士さんと契約しているのであれば詳しくは税理士さんに聞いてみてください。
4 マイナス査定になるポイント
それはマイナス査定になる条件を見ていきましょう
案外、意外なものがマイナス査定に入ってきます。
4-1 発電所が壊れている
例えばフェンスが壊れている。
土地がずれている。
架台が曲がっているというパターンです。
これは修理する分の金額がマイナス査定になります。
安くて腕のいい業者さんがいるのであれば、あらかじめ修理した上で売却する方が得かもしれません。
4-2 フェンスが付いていない 最大100万円のマイナス査定!
これは明確にマイナス査定です。
法律でフェンスの施工は義務付けられていますから法令違反になってしまい、次のオーナーは新たにフェンスを施設する必要があります。
低圧一基の発電所で場合によっては100万円くらいかかったりすることもありますから、その分のマイナス査定は覚悟しておきましょう。
4-3 割高なメンテナンスが紐付けられている 事業計画に盛り込む必要あり
マイナス査定というわけではないんですが、割高なメンテナンス契約がひも付けられていると次のオーナーが事業計画を組む際にその点を考慮する必要が出てきます。
逆に安くて質のいいメンテナンスが付いていたらラッキーです。発電所の売却金額が多少高めでも事業計画は回りますから有利になります。
4-4 発電所構内にゴミが残っている
意外と多いのがこのケースです。
草刈した草が残置してあるのは可愛いもので修理したパネル、パワコンや発電所を設置した際の廃材(架台の残りやケーブル・フェンス廃棄物)を残置しているオーナーもいるんです。
「管理業者に任せっきりで実は発電所に行ったことがないんだよね」何てオーナーは一度自分の発電所を見てから売却するのもいいかもしれません。
まとめ
・発電所の売却は販売サイトに問い合わせよう
・故障がないか 減額材料がないか確認しよう
・必要書類はしっかり確認しておこう
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