「太陽光発電所投資は安定していいのだけれど、現金化して別のことがしたいなぁ」
そう思われる方も少なくないようです。特に2017年末頃からは売りたいという方からのお問合わせが殺到しています。
かつて100%一括償却が使えた太陽光発電所を、節税のために購入したものの、他の不動産や株式、仮想通貨などに投資をしたいと言う方も少なくありません。
太陽光発電所は確かに安定している投資なのですが、あれだけ“億り人”が話題になると、もう少しリスクもリターンも高くていいと考える方がいるのは無理のないお話でしょう。そうと決めたら出来るだけ早く販売したいですよね。
でもちょっとお待ち下さい。その価格、本当に妥当な価格なのですか?
実は太陽光発電所は新設よりも中古の方の発電所のほうが価値があります。
中古の発電所は既に売電をする事が出来ているので、100%完成する保証のない新設の発電所に比べて金融機関からの評価が高く、融資も付きやすくなるためです。
実際に私も中古の発電所を金融機関から100%の融資を受けて購入することが出来ました。
手持ちの現金を使わずにキャッシュフローを生み出してくれる発電所が買えれば、資産を短期間に増やすことが出来ますから、同条件で新設のものをより高く基準で取引冴されているのです。
そんな有利な中古の太陽光発電所ですから、いい値段で確実に販売したいですよね。
そこで今回は中古の太陽光発電所販売時の問題点や高く売る方法など、売り手目線で中古太陽光発電所の取引時に知っておきたい事について取り上げてみました。
ぜひ有利な条件で販売して、次の夢に向かう資金を安全に作って下さい
目次
1 中古のほうが売れる太陽光発電所
中古の太陽光発電所というと、価値が下がりそうなイメージがありますが、住宅と違い太陽光発電所は中古の方が価値は上がります。
実際に住んだ住み心地が大事な住宅と違い太陽光発電所は極端な話、売電収入が入ってくれさえすればいいので、新設でも中古でも皆さん気にしません。
世界的に太陽光発電所を投資家が買う際は、稼働実績をみるために1年以上稼働した物を買います。 そうでなかればリスクが表面化しづらいためです。
しかし、日本のFITは買取価格が非常に高かったため、新設でも投資家に融資が付きやすく、新設が中心の市場が形成されてきました。中古の太陽光発電所の売買市場(セカンダリー市場)は日本だとこれから徐々に形成されてくると言われています。
2 中古太陽光発電所のメリットとデメリットを徹底比較
日本では不動産が中古になると一気に価格が下がることもあり、中古太陽光発電所というとあまりいいイメージが無い方が多いようです。
しかし、冒頭でも説明させて頂いたとおり、中古太陽光発電所には新設にはない大きなメリットがあります。
もちろんデメリットもありますのでしっかりそれぞれ比較して理解していきましょう。
2−1 <メリット>予め太陽光発電投資が抱えるリスクのほとんどがわかっている
太陽光発電投資はリスクが少ないと言われてはいるものの、ゼロリスクではありません。
太陽光発電所の取引のリスクとして以下のリスクがあります。
こちらは実際に金融機関から入手したもので、彼らが太陽光発電に対するリスクとして検討する全てが記載されています。
太陽光発電投資には主にこちらの8つのリスクがありますが、表の通り中古太陽光発電所ではリスク要員が2つしか残っていません。
用地確保リスク、完工リスク、日射量リスク、機器性能リスク、資金調達・資金不足リスク、制度リスクが予めはっきりしているので金融機関も融資がしやすくなっていることがよくわかると思います。
2−2 <メリット> 融資を獲得しやすい
2–1で言及したとおり、中古太陽光発電所はリスクの大きさがわかりやすくなっているので金融機関への説明さえ間違わなければ融資は非常に通りやすくなります。
すでに稼働している太陽光発電所がある強みを最大限に活かし、売電実績の検針票および実際に売電収入が振り込まれた通帳を金融機関に提示しましょう。
また、購入しようとしている中古太陽光発電所の現在のオーナーも金融機関で融資を受けていることがほとんどです。このような時は同じ金融機関に融資を求めてみましょう。
現在のオーナーさんと同じ金融機関であれば通帳で売電収入は把握していますし、融資を通した時のシミュレーション等も把握しています。また、土地の登記の確認や現地調査も済んでいるため手間がかかりません。
このように融資担当者の手間が減れば融資してもらえる可能性も高まりますし、何より銀行は融資が他行に流れて行ってしまうことを嫌います。銀行は一度融資を出した太陽光発電所のオーナーが変わっても、当然融資は継続したいと思っています。
2−3 <メリット>すぐに現金収入が入る
親切の太陽光発電所の場合、融資を受けて支払いを開始してから売電収入が入ってくるまで3ヶ月程度はかかります。最近では半年や1年といったケースも珍しくありません。
しかし、中古太陽光発電所であれば既に売電している発電所の振込先口座を変更するだけ。検診後にすぐに売電収入が入ってきます。
返済だけする期間が短ければ短いほど、次の投資に進める時期も速くなりますよね。
2−4 <デメリット>実際の利益は少ない発電所がある
売電期間がある程度経過した中古太陽光発電所は、表面利回りが12〜14%程度とかなり高利回りにならなければ銀行融資が通りづらくなります。
これは利回りが高いように見えますが、売電期間が短くなっているので実際の利益は減ることになります。
中古太陽光発電所の場合は特に、目先の利回りだけの比較では意味がありません。FITによる売電の残存期間を考慮した事業計画を比較検討しましょう。
2−5 <デメリット>中小企業経営力強化法による償却資産税減免は対象外
2018年4月現在、太陽光発電投資は中小企業経営力強化法を使って償却資産税の減免をする事が出来ます。
しかし、この制度は新設の発電所にのみが対象となるため、中古太陽光発電所の取引では使えません。ご注意ください。
2−6 <デメリット> 隠れ負債がある可能性が
太陽光発電所を購入する際に、発電所の名義変更ではなく発電所を所有する会社(主に合同会社)ごと購入し、発電所の所有者の名義変更ではなく法人の所有者の名義変更をするケースもあります。
その法人Aを法人Bが購入する際に、契約書において
「法人Aの隠れた負債(借金)があった場合は法人Aの元の所有者の負担で返済をする」
としておけば法人AB間では何も問題がありません。
しかし、法人Aにお金を貸した債権者(お金を貸した人)である法人Cが存在した場合、法人Cにとっては法人Aの所有者が誰に変わっても返済を請求する権利は当然残り続けます。
つまり法人Aの元の所有者に悪意がある場合、会社ごと法人を売却することによって借金を法人Bに押し付けて逃げる可能性が考えられます。
借金は不動産登記のように調べる方法がないため、これを回避するには
「信用できない人間から法人ごと購入はしない」
を徹底してください。
3 中古太陽光発電所が売れる値段を知る方法
中古太陽光発電所の相場は徐々に上がりつつあります。これは太陽光発電所の安定性に基づくものであり、今後もしばらくこの傾向は変わらないでしょう。また、季節によっても変動します。投資なので株価や不動産など比較対象となる市場の同行にも左右されます。
安すぎる価格で売ったり、高すぎる価格で買ったりすることのないようしっかりと価格調査をしてから売買をしましょう。
3−1 太陽光発電所の相場は基本的に銀行次第
太陽光発電所の相場は新設の分譲と同じで基本的に「買い手が融資を受けて事業を運営できる金額」となります。つまり価格の判断基準は銀行のその太陽光発電所に対する投資信頼性がベースとなります。
詳しくはこちらの記事をご参照ください。
(参考 太陽光発電ムラ投資研究所 高値で売れる!すぐに売れる!太陽光発電セカンダリー取引の査定の秘密)
https://taiyou-hatsuden.jp/how-to-earn-high-profits-by-reselling-solar-power-plant-1800
3−2 中古太陽光発電所の実売価格は定点観測で
中古太陽光発電所の相場は刻々と変わります。ご自身が売買したい発電所の規模、地域が似ている発電所の売買価格をサイトで日々確認しておきましょう。中古太陽光発電所の売値は基本的に売り主が決めるので、発電所毎に大きな差異がありますが、相場を大きく下回ったものはすぐ売れ、大きく上回ったものはいつまでも売れ残ります。
(参考 太陽光発電ムラ市場)
4 中古太陽光発電所の売買時の注意点
中古太陽光発電所の相場はありますが、高額なものだけにちょっとした工夫ですぐに数十万円〜数百万円の際が出ます。
4−1 時間がないと足元を見られます
中古太陽光発電所を売る際は、まとまった資金が直近で必要だという方がほとんどです。しかし、時間がなければ買い手も集まりにくくなり、安値で買い叩こうとする買い手に泣く泣く売る羽目になる可能性もあります。売ると決めたらなるべく早く売り出しましょう。
また、税金や相続税対策で発電所を買いたいという方も買うと決めたらなるべく早く動き出しましょう。中古太陽光発電所は欲しい時、欲しい場所のものが売られていることはほとんどなく、条件が合うものが出てくると争奪戦となり価格が釣り上げられることも。
さらに物件の確認、現金の準備など買い手は売り手より必要な時間が多くなりますので、時間がないと隠れた欠陥のある発電所を掴まされる可能性も高くなります。
買う時も売る時も、なるべく早く動き出しましょう。
(参考:太陽光発電ムラ投資研究所 6000万円差が出る!太陽光発電投資を使った相続税対策)
https://taiyou-hatsuden.jp/seving-of-nheritance-tax-by-pv-investment-2073
4−2 メンテナンス履歴も忘れずに
太陽光発電所のメンテナンス履歴は銀行の信用を得る重要な要件となります。発電所のメンテナンス履歴の書面が揃っていると、売り手には販売価格を上がり、買い手は融資が付きやすくなります。メンテナンス履歴は必ず揃えて確認しておきましょう。
購入しようとした中古太陽光発電所にメンテナンス履歴がない際は、自身で太陽光発電所の診断を行えるかたは売り手に発電所チェックの許可をもらいましょう。
もしパネルが何枚か故障したままの発電所だった場合、購入後にメーカー保証で修理をすればその分だけ発電量がアップするのでお買い得な物件となります。
5 中古太陽光発電所を高く売る方法
中古太陽光発電所は相場が決まっていると言っても、相場は一つの目安に過ぎません。相場より高く売る方法はいくつかありますのでぜひ実行してみて下さい。
5−1 素人にも分かりやすい情報の提供を
中古太陽光発電所は新設と違い、部材の優劣が判断しづらくなっています。パネルやパワコンの性能差は売電収入とメンテナンス履歴を見れば十分になるので、1年間の売電収入だけではなく、1年間の表面利回りと20年の利益見込みを提示しましょう。
また、銀行や信販会社を紹介できるようであればその旨も記載しましょう。金融機関紹介があるとそれだけ融資が付きやすく、人気が集まる案件となります。
5−2 直近1年の売電収入を5%上げる方法は洗浄と草刈
太陽光パネルはどうしても砂埃で汚れて売電収入が落ちます。売却しようとしている太陽光発電所が近隣にある場合は出来るだけ頻繁にパネルを清掃して売電収入額を上げ、販売価格を上げましょう。
日本において太陽光発電所はパネルの汚れによって地域差はありますがだいたい5〜20%ほど売電収入が減ると言われています。特にパネル設置の傾斜角が浅いと汚れによる売電収入額は低下しやすくなります。
また、太陽光パネルに影を作るような草木はできるだけ伐採しておきましょう。電力会社の電柱が影を作る際は電力会社に言うと場所を移してもらえます。
5−3 転売を意識するなら写真映えにも注意
中古太陽光発電所は主に売電金額の評価によって売値が決まりますが、見た目がいい発電所であればあるほど高い値が付きます。草刈、ゴミ拾い、錆落としはしっかりとやっておきましょう
特にフェンスは太陽光発電所の印象を大きく左右するものなので、中古で販売をする予定がある太陽光発電所のフェンスはなるべく立派な物を設置しておきましょう。高さが220cm以上で忍び返し付きのものがおすすめです。
6 中古太陽光発電所を売却した時の税金
中古太陽光発電所を売却した時の税金は、法人、個人によって違い、個人の場合は保有期間によっても違います。
また、課税額は売却による利益によって変わります。利益の計算の仕方は単純で購入金額から減価償却費および売却時の諸費用をひいた金額となります。
6−1 法人の場合は通常の法人税
法人の場合は売却益を単純に法人の利益として計上し、他の事業の損益と通算して出た利益分だけ法人税が課税されます。
法人税の税率は、次表の法人の区分に応じ、それぞれ次表のとおりとされています。
(参照 国税庁 No.5759 法人税の税率より)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5759.htm
6−2 土地が値上がりした場合 個人で長期保有の場合の税率は15%
個人の場合は利益が課税譲渡所得となります。太陽光発電所を売却した年の1月1日において5年以上所有していた時は長期譲渡所得となり
税額=課税長期譲渡所得金額×15%(住民税5%)
6−3 土地が値上がりした場合 短期譲渡所得の税率は30%
太陽光発電所を売却した年の1月1日において5年以上所有していない時は短期譲渡所得となり
税額=課税短期譲渡所得金額×30%(住民税9%)
となります。これに復興特別所得税が加算されます。
6-4 システム金額が簿価より値上がりしていた場合 利益は総合課税
システム金額が簿価より高く売れた場合はその差額が利益とみなされます。
当然青色申告をした時に利益になります。
一括償却などをつかい、簿価がゼロ円だった場合は売買金額が丸々利益になってしまいますので十分ご注意ください。
7 まとめ
買い手には誰にでもわかりやすい資料をつけ、金融機関も紹介
洗浄と草刈で直近1年間の売電収入を上げる
発電所が写真映えするよう、見栄えにも気を使う