変換効率98%!このパワコンすごいなぁ。。。
いや、でもこっちのパワコンは96%の変換効率だけどやたら安いぞ
どっちを選ぶのが得なんだろう?
パネルや土地を選ぶに当たっては明確な基準を設けやすいと思います。しかし発電をするわけではないパワコンは選ぶにあたって決め手にかけるところがあると感じている方は多いと思います。
しかし、実際にはパネル選びと同様にパワコン選びでも得をする方法、損をしない方法があります。
低圧太陽光発電投資では案件に合ったパワコンを選ぶ事で売電量を大幅に増やす事が可能です。
この記事は太陽光発電の設計・コンサルとして経験を積んできた私が自分のノウハウをまとめたものです。
パワコン、パネルの組み合わせで接続できるパネルの量や発電量、保証内容が大きく変わってきます。
執筆時点での最新情報を紹介していいきますが、パワコン情報は生き物です。
その時点でのより詳しい情報が知りたい方は太陽光発電ムラ市場にお問い合わせをお勧めします。
現時点で、私が個人的におすすめするパワコンはソーラーエッジというパワコンです。
理由は
・変換効率99%という驚異的な効率。
・通常はパワコン単位、ストリング単位(7〜12枚単位)でしか監視できないが、ソーラーエッジは2枚単位で監視が可能
・20年保証が可能で事業計画が立てやすい
こういった理由です。
>> 太陽光発電の最新情報がわかる 太陽光発電ムラ市場
ソーラーエッジはちょっと値段が高めなので、もっと安いパワコンで事業を行うという手ももちろんあります。
この記事をしっかり読めば、皆さんも15分後にはパワコンマスターになれますので是非参考にしてみてください。
時間のない方は6章の「低圧太陽光発電のパワコンの賢い選び方」だけ読んでもらっても結構です。
目次
1 パワーコンディショナーとは何か? パワコンの役割と金額
パワーコンディショナー(パワコン、PCSとも言う)というのは太陽光発電事業に不可欠な機械です。
(パワーコンディショナー 通常はパネルの下の日が差さない場所に設置する)
この章ではパワコンの基本的な役割や価格、性能について解説していきます。
20年間の事業を共にする大事な機械ですからしっかりと理解を深めていきましょう。
1-1 パワーコンディショナーの3つの役割
パワーコンディショナーは太陽光発電パネルで作った直流の電力を、家庭用のコンセントや電力会社に売電できる交流の電力に変換するための機械装置です。
直流の電気を交流に変換
他にも太陽光発電システム全体を最適な状態で稼動できるようにコントロールする重要な役割をになっています。
パワーコンディショナーはパワコン、PCS(Power Conditioning System)などと呼ばれています。
前述した通りパワコンには主に以下の3つの役割があります。
<パワコンの役割>
1 直流を交流に 売電可能な電気に変換する
2 パネルが最大の性能を発揮できるよう電圧を最適制御する(MPPT制御)
3 電力会社からの信号や送電網の状態・動作温度などに合わせ最適な状態にコントロールする
1-2 パワーコンディショナーの金額はどのくらいか
低圧太陽光発電設備はパネルとパワコンの容量(kW)の低いほうが50kW未満である必要があります。
通常は発電するパネルを50kW以上にし、電気を変換・調整するパワコンを50kW未満(49.5kW等)に設計します。
例えば家庭用の5.5kWのパワコンを9台(合計49.5kW)や産業用の9.9kWパワコンを5台などの構成です。
固定価格買い取り制度(FIT制度)が始まった当初は合計49.5kWのパワコンは200万円以上するものがほとんどでした。しかしシンプルなパワコンに限定すれば現在は100万円近辺まで下がってきています。
一方で、高機能なパワコンはやはり200万円近い金額になります。
高機能なパワコンは変換効率が高く、監視装置が最初から入っていたり、故障したパネルの検出がしやすかったりと多くのメリットを持っているものもあります。
管理費用を先にまとめて支払ってしまっていると考えると実は高機能なパワコンのほうが20年の事業では元が取りやすくなります。
1-3 パワーコンディショナーの性能はどこで比べる?
パワーコンディショナーの性能は主に上の3つの役割の性能で決まります。
1-3-1 まずここが基本! 直流を交流に変換する変換効率
電気を直流から交流に変換する変換効率は製品によって93%くらいのものから99%近いものまで様々あります。
なぜこんなに変換効率が異なるのでしょうか?
それはパワコンに変圧器(絶縁トランス)が付いているかどうかが原因です。
トランス内蔵型パワコンの場合、パネルが発電した直流電流は一度変圧されてから電力会社の電線に流れます。
万が一、パワコンの故障などがあった際も、直接電気が電力会社の電線に流れることを防いでくれます。
一方で、回路構造が複雑になりコストが高くなってしまうというデメリットがあります。また、トランスで変圧される分だけ変換効率も落ちてしまいます。
(トランス内蔵型パワコン)
一方でトランスレスのパワコンでは変換効率が高くなります。しかし、電力会社によっては別途トランスを設置することが義務付けられてしまう場合があります。この場合、結局外付けのトランスで一定の変換ロスが出てしまいます。
(SMAトランスレスパワコン)
単純な変換効率だけではなかなか評価しづらいですが、個人的にはトランスを外付けしてでも変換効率の高さは重要だと考えています。
変換効率のいいパワコンはそれだけ熱に強いということができます。
鶴田電気の外付けトランスの変換効率は97.5%ですから98%のパワコンに外付けトランスを経由させると95.5%の変換効率ということになります。
1-3-2 次に評価するポイントはMPPT制御
どうしても影がさしてしまう土地ってありますよね?
こういう場合に重要になるのがMPPT性能です。
詳しいことは3章で説明しますが、影やパネルの故障が発生した時にこのMPPT制御の性能が重要になってきます。
一方で、特に影がささない土地であれば、思い切ってシンプルなMPPT制御をしている「集中管理型」のパワコンを選択することでパワコンの金額をぐっと抑えることができます。
49.5kWの発電所でパワコンの金額が100万円の発電所と200万円の発電所があるくらいですからこれはとても大きな金額です。
土地の状況や発電所の設計と相談しながら決めていきましょう。
この辺の考え方は5章の「賢いパワコンの選び方」で詳しく解説していきます。
1-3-3 電力会社からの要望に応える機能について
お日様任せの太陽光発電。
導入が進んできたことにより、晴れた日に太陽光が発電し過ぎてしまうと当日使用される電気よりも多くの発電が見込めてしまような状況が出てきました。
このような時、売電を停止するような機能をつけることが電力会社から求められるようになってきました。
これを出力抑制制御機能といいます。
(九州電力 再エネ出力制御について知りたい )
2019年現在新規の接続に関しては東京電力、中部電力、関西電力以外の電力会社からはこの「出力抑制制御機能付き」のパワコンが求められています。
ほとんどのパワコンは外部装置を接続することでこの機能を満たしていますが、古いパワコンなどではまれに全く出力抑制制御ができないものもあります。
中古、在庫のパワコンなどを使う時は注意しましょう。
1-4 監視機能が充実しているパワコンも
監視機能や通信機能が最初から組み込まれているパワコンもあります。
SMAにはWeb Connectという監視と通信の機能が備わっていますし、HUAWEIやソーラーエッジにも監視の機能が最初から組み込まれています。
(最初から監視装置が付いているSMA製パワコンの監視画面)
特にソーラーエッジの場合はパネルを2枚ずつ監視することが可能です。
どこのパネルの調子が悪いのかが、パソコンの画面上からかなり正確に監視することができます。
エコめがねやひだまりアイズなどの、パワコンメーカー以外のメーカーが出している監視装置も悪くはないのですが、パワコンのエラーコードが読みとれなかったりします。
多少費用がかかっても最初から監視装置が内蔵されているものを選ぶことができたらその後の20年間の管理運用は格段に楽になります。
2 三相と単相 どちらを選ぶ? 特徴と留意点
パワーコンディショナーは電気で動きますから電源が必要になります。
低圧太陽光発電事業の場合、家庭用100Vの単相電源で動くパワコン(主に家庭用)と200Vの事業用三相交流電源で動くパワコン(主に事業用)があります。
この三相パワコンと単相パワコンのどちらを使うかは電力会社に申請する段階で決めておく必要があります。
それぞれの特徴を簡単にまとめてみました。
実際の工事のタイミングでパワコンを変更することはできるのですが、三相パワコンから単相パワコンへの変更など、相を跨いだ変更はなかなか電力会社が認めてくれないのです。
さて、三相パワコンと単相パワコン、どちらを選ぶべきでしょうか?
2-1 住宅地の場合、騒音の少ない単相パワコンがおすすめ
三相パワコンのほうが作動音がうるさい傾向があります。
もちろん単相でも音はするのですが、冷却ファンやインバーターの音はどうしても三相のほうがうるさいのです。
そのため、住宅地で行うのであれば単相パワコンがおすすめです。
2-2 それ以外は選択可能であれば三相パワコンをおすすめしたいところだが
住宅地でないのであれば三相パワコンがおすすめだったのですが、実は2019年からこの選び方が難しくなってしまいました。
<三相パワコンがおすすめな理由>
三相パワコンは電気代が安い
⇨ 単相だと9台で月額2500円が三相では300円〜1500円
三相パワコンは効率が高いものが選べる
⇨ 98%以上のものはトランスレスの三相のみ
三相パワコンは管理が簡単なことが多い
⇨ 三相は台数が5~2台と少ないので管理が楽
三相の方が電圧降下が起こりづらい
しかしOMRON、SMA、田淵電機などのパワコンメーカーが10月以降三相パワコンの販売を停止することを発表しているのです。
現在三相パワコンで選べるのは実質的にはソーラーエッジ・安川電機になってしまいます。
(2019年秋以降、新型が出てくるとの情報もあり)
それぞれ200%までの過積載制限がかかっています。(200%以上の過積載を仕掛けるとパワコンの保証対象外になってしまう)
設計と相談しながらパワコンを選ぶ必要があります。
3 パワーコンディショナーのMPPT機能とは (集中型とマルチストリング)
パワーコンディショナーの機能の中にはパネルの電圧を適切に制御し、その条件下(日射量、温度、パネル能力)における最大の電力を取り出すという機能があります。
これを最大電力追従制御機能(MPPT制御機能)といいます。
パワコンの種類によって、このMPPTの単位が異なるのもパワコン選びのポイントです。
<集中制御パワコン>
一番シンプルなMPPT制御のパワコンです。
1台のパワコンで1単位のMPPT制御を行うこのタイプは全ての入力端子に同じ条件のパネル接続をする必要があります。
例えば4入力の5.5kW集中型パワコンの場合、接続のパターンは
- 7直列4入力
- 8直列4入力
- 9直列4入力
といった形で4枚単位でのバリエーションになってしまいます。
また、影の影響もこの単位で受けてしまいますので要注意です。1枚のパネルに電柱の影がかかったとしても、このパワコンの場合は全体が大きな影響を受けてしまうことになります。
<マルチストリングタイプ>
1つのパワコンの中に2〜5つのMPPT制御の単位を持っているパワコンになります。
このタイプであれば、影の影響やストリングの直列数の自由度をある程度コントロールすることができます。
<オプティマイザー型>
究極はソーラーエッジのような「パネル2枚単位でのMPPT 制御」と言ったコントロールの仕方です。
影の影響やパネルの枚数、パネルの故障や断線に対する影響も最小限にすることができます。
言い換えると「与えられた条件で最大の電力を取り出すことができる」ということになります。
MPPT機能は細ければ細かいほど故障や影に強くなります。しかし逆に大雑把であればあるほどパワコンの価格はやすくなりますし、パワコン自体もシンプルな作りになり故障に強くなります。
日当たりが十分によく、定期的に現地メンテナンスが可能なのであれば金額の安い集中型パワコンを使うことも選択肢に入ってきます。
絶対にマルチストリング制御の発電所でなければならないということは必ずしもありませんから、「どんな発電所にしたいのか」というところを一度しっかりさせることをおすすめします。
自立運転機能つきのパワーコンディショナーなら災害時の非常電源に
2012年に始まった固定価格全量買い取り制度。
当時はCO2や放射能を出さないクリーンな電源として世の中に歓迎されていましたが、原発の再稼動を求める勢力や家庭の電気料金にかかっている再エネ賦課金の負担が厳しいという意見も目立つようになってきました。
また、法律で定められているフェンスや標識の設置をしていないような「野良ソーラー発電所」も目にすることもあります。
私は社会の為、日本の為、子供達の未来の為に太陽光発電を推進しています。
そういう意味で自立運転機能のついたパワコンを選ぶというのもおすすめです。
自立運転機能をつけた分だけ金額は多少上がってしまいますが、非常時にはご近所の人の為の非常用電源になります。
停電などの災害が発生した時でも日中生きたコンセントを使えるだけでも安心感には大きな違いがありますよね。
最大のメリットは、自立運転機能がついた発電所に対して周辺住民は間違いなくいい印象を持つであろうということです。
周辺住民が「なんか変な発電所ができた・・・なんだか不気味だなぁ」と思うのか
「へーー、この太陽光発電所は非常時にコンセントが使えるのか、安心だなぁ」と思うのかは天と地ほどの違いがあります。
5 低圧太陽光発電の賢いパワーコンディショナーの選び方
さて、ここまでパワコンの基本的な内容を説明してきました。
それではどういった時に、どんなパワコンを選べばいいか具体的な事例をあげて説明していきます。
<安いパワコンを上手に使う>
太陽光発電事業は投資事業ですから、投資金額と投資利益を比較して損得を考えます。
そうなった時にパワコンの金額が安いというのは大きなメリットになります。
例えば 太陽光発電ムラ市場のこのセットを見てみてください。
このセットはパナソニックの5.5kWパワコンがかなり安いという事実を利用したセットです。
以前は200万円近くしたパワコンも、このセットでは実質的には半額程度になっています。
<影がさす発電所、遠隔地で手が届きにくい発電所>
この敷地はちょっと障害物の影が刺すんだよなぁ・・・
そんな時におすすめなのはソーラーエッジです。
ソーラーエッジはMPPT制御をパネル2枚単位で行うことができますから、影の影響を最小限に抑えることができます。
パワコンに接続するパネルの枚数も基本的には自由に設計できますので、ちょっといびつな土地でも使いやすいパワコンです。
ただし、過積載率は200%まで出ないとパワコンのメーカー保証がつかないという制限がありますのでその点だけご注意ください。
<広い土地に安いパネルで200%を超えた過積載を仕掛けたい>
広い土地に200%を超えた過積載を仕掛けたい場合はどうすればいいでしょうか?
以前はOMRONやSMAなど200%を超える過積載を容認するパワコンメーカーも多かったのですが、2019年よりパワコンの廃盤などが理由で選択肢が大きく減っています。
そんな中、自信を持っておすすめできる200%越えの方法は
ソーラーエッジ三相 3台使いです。
ソーラーエッジは先ほど説明した通り、200%以下の過積載でないとパワコンのメーカー保証が無効になる「過積載制限」があります。
しかし、一方でパワコンの出力を制限する機能もあり、例えば1台のパワコンを16.5kWに制限した状態でメーカー出荷をしてもらうことも可能です。(通常は24.75kW)
この状態ですと、3台で49.5kWになります。
1台に対して49.5kWのパネルを接続することができます。
この方法を使えば3台で148.5kWまでのパネルを接続することも可能になります。
<狭い土地に60kW程度のパネルを設置したい>
狭い土地で60kW近辺の発電所を作れそうな場合、パワコンはどのくらいの容量を入れるべきか悩んだことがある方もいるかもしれません。
とにかく初期費用を削りたい場合は200%の過積載を逆算し、30kW近辺のパワコンを入れるという考え方もあります。
ですが、20年の利益を考えるとこのやり方は実は損です。
単純にピークカットする分だけ損してしまいます。
過積載率は150%程度に抑え、ピークカットがあまり出ないような作り方をしたほうが20年の投資効率はよくなります。
150%以上の過積載が有効なのはあくまでも低圧50kW未満ギリギリのパワコン容量に可能な限り多くのパネルを接続するという考え方の時のみなのです。
49.5kWよりも下回るパワコン容量の逆算過積載はおすすめしません。
最後に
パワコンの情報は生き物です。メーカーが出す情報は時期によってどんどん変わっていきます。
秋にはまた新型のパワコンが販売開始されます。
質のいい情報を信頼できる販売店から教えてもらうことをお勧めします。
kozoです。
東京電力の場合、三相パワコンでダウントランス不要と記載されていますが、今でも不要でしょうか?