太陽光発電所を購入する場合、どこの業者に依頼すれば安心できるのか、依頼した場合の価格は?など業者に関する疑問がでてきます。
太陽光発電所を購入する場合の価格も安いものではありません。
慎重になるのが当たり前です。
業者に依頼したものの、完成後見てみたら、架台の組立方がいい加減で、ちょっとした振動で架台が倒れてしまった。完成前にお金をすべて払った後、業者が倒産してしまったなどという話も聞きます。
そんなことが無いように、今回は
・業者の種類と選ぶ場合のポイント
・良い業者と用心したほうがいい業者
・施工価格
をわかりやすくご紹介していきます。
これを読めば、あなたも次への行動を移すことができます!
そして、気になる業者を見つけ、まずは見積依頼をしてみましょう。
そしてわからないことをなくすためにも、なるべくたくさん質問し、多くのコミュニケーションをとりましょう!!
目次
1.業者の種類と選ぶ場合のポイント
まずは、太陽光発電所を作る場合、あるいは手に入れる場合、どのような業者がいるかご紹介していきます。
この業界を大きく分けると3つの業者にわけることができます。
- 施工業者
- 部材販売業者
- 分譲販売業者
一般的に、多くの方は、使っていない土地、あるいはご自分で見つけた土地に太陽光発電所を作る場合、施工業者に依頼します。
初心者の方でも、最初から土地を見つけ施工業者に依頼し太陽光発電所を作る方もおられるので一概には言えませんが、初心者で土地を持っておられない方は、分譲販売業者に頼まれる方が多いです。
まずは、一般的な施工業者から説明していきます。
1-1 施工業者
太陽光発電所を作るには、土地の整地、土地の基礎、架台の組み立て、パネル設置、電気設備施工、フェンス設置を行う必要があります。施工業者とは、これらの作業をしてくれる業者の事です。
1-1-1 一括発注
ほとんどの施工業者は、部材、施工をまとめて一括で引き受けてくれます。これらの一括発注方式の場合、パネル・パワコンの選定から申請、パネル配置設計、ストリング設計などをすべて受けてくれますので、そういった意味では非常に楽です。
- メリット
部材、施工を別々に発注するよりも大幅に手間が省けます。経済産業省、電力への申請も合わせてしてくれるところがほとんどです。
- デメリット
部材、施工を分けて自分で選ぶより、手間が省ける分、価格が上がってしまい、その分利回りが下がってしまいます。
- ポイント
見積を依頼した場合、部材の価格や、作業内容を記載しそれぞれにいくら掛かるかを提示してくれるかどうかを確認することが大事です。見積に1式だけ書いて提示してくる業者もいますのでご注意ください。また、こちらからの質問に丁寧に回答してもらえるかどうかも判断材料となります。施工に入ってから気が付くと後戻りできませんので、よくコミュニケーションをとり、応対が良いか悪いかを判断しましょう。
また、売電シミュレーションもしっかりと、提示していただきましょう。シミュレーション値をあえて高く示してくる業者がいますので、これらは1社だけではなく複数社からシミュレーションをもらいましょう。
その他、施工実績についてもどれだけの実績があるか確認しておくことも大事です。できれば、その業者が施工した太陽光発電所を見学することができればぜひ伺いましょう。丁寧な仕事をするかどうか見る絶好の機会です。
また、実績と経験年数をしっかりと調べることは大事です。PVプランナー協会の認定を取っているかというのも参考にはなります。http://pv-planner.jp/
ドイツも太陽光発電が盛り上がった時期がありましたが、最終的に大手の業者が潰れ、地元の業者が残ったということがありましたので、地元でコツコツとやっている業者に頼むことをお勧めいたします。地元の業者の方が設置後、いざという時に駆けつけてくれることが多いので、地元から選びましょう。
1-1-2分離発注
一括発発注とは別に、分離発注というのも可能です。分離発注とは、後ほど説明する部材販売業者から部材を購入し、施工だけを、施工業者に依頼するという形になります。
- メリット
上記の図に示したとおり、一括発注、分譲販売に比べて設置価格を抑えることが出来、利回りを確保できるという利点もあります。最近では、太陽光発電所について詳しい方も増え、この方式で太陽光発電所を作るという方も増えてきています。
- デメリット
この場合、部材の知識や価格の妥当性などの情報をご自分で仕入れる必要があるので時間と手間がかかります。
また、荷受けや、施工の案件管理をご自分で行う必要があるので、分譲販売や一括発注に比べ自己の負う責任は大きくなります。
- ポイント
部材の見積、施工見積もりと両方の見積もりを取る必要があるため、手間がかかります。手間を省くために、見積一括サイトを利用し、だいたいの価格を知るという事も大事です。それから、WEBで、施工業者は地元の業者、部材はインターネットで安いところなどを探しだしても遅くはないです。
1-2 部材販売業者
太陽光発電所を作るにあたり必要な部材を専門に販売する業者のことです。太陽光発電所を作るには、太陽光パネル、パワコン、架台が必要となります。これらの部材を販売する業者です。
- メリット
部材を自分で複数の業者へ見積依頼することで、部材価格を抑えることができ、その分利回りを確保することが可能です。
- デメリット
自分で、時間をかけ部材の知識を得る必要があるということと、販売専門ですので施工する場合、施工業者は自分で手配する必要があります。
- ポイント
こちらの業者で選ばれる場合のポイントは、1社だけ見積を依頼した場合、価格が妥当かどうかというのが分かりづらいと思います。価格を知る為に1社だけではなく、2,3社に見積依頼し、価格、応対などを総合的に判断し、ご購入された方がいいでしょう。
部材販売業者とのつながりのある施工業者もありますので、ご購入を予定されている部材販売業者がありましたら、そちらに施工業者を紹介していただけないか確認することをお勧めします。
1-3 分譲販売業者
分譲案件を専門に扱う業者です。分譲案件とは、建築業界を想像していただけばわかりやすいかと思います。建築業界でいうと、土地と家をセットにして、まるごと販売している業者のことです。
太陽光発電所の場合は、太陽光発電所(パネル・架台・パワコンなど)と土地を丸ごと一式にして販売している業者のことです。
- メリット
この業者のとしては、部材や土地をすべて業者が選んでくれることで、それらを自分で選ぶという手間が省けます。
- デメリット
自分で選ぶ必要がない分、その分業者の人件費が販売価格に反映されるため、ご自分で部材、施工業者を手配するよりも価格が高くなるという傾向があります。
- ポイント
こちらの業者で選ばれる場合のポイントは、製品保証の年数、災害保険に入っているか、メンテナンス内容を確認し、利回りの良い案件を選ばれることです。
WEBで検索すると多くの業者がいますので、資料請求は無料ですのでいくつかの案件を資料請求して見比べて吟味されることをお勧めいたします。
2.業者が選ぶ良い業者とは
知り合いの施工業者の方に、良い施工業者とはどのような施工業者か、話を伺ってみました。
2-1 兵庫の施工業者Aさんのお話し
- きっちり質問に答えてくれる業者
- 支払いに関して、最初にすべて支払うのではなく、最初〇%、途中〇%、完成後〇%で支払うことができる業者
ということです。
2-1-1 きっちり質問に答えてくれる業者
先ほど「1.業者の種類と選ぶ場合のポイント」で説明したように、質問に丁寧に回答してくれる業者は施工業者から見てもいい業者かどうか判断する材料になるということです。他の仕事でもそうですが、丁寧に受け答えしてくれる方にお会いするとこの人なら信頼できると思います。その逆で受け答えが雑で態度が悪い方にお会いするとこの人は信頼できないなと思ってしまいます。
そう言った意味では、どんな業界でも同じだということです。
2-1-2 支払いに関して、最初にすべて支払うのではなく、最初〇%、途中〇%、完成後〇%で支払うことができる業者
全額支払ったあとに倒産してしまったという話も聞くことがありますので、なるべくそのようなリスクを避けるためにも、途中途中で支払っていく形で、契約することが出来ないか、事前に確認していただいた方がいいです。
2-2 静岡の施工業者Bさんのお話し
【見積時】
- シミュレーションや配置図から発電量をイメージさせてくれる
- いくつか案を提案してくれる
- 工法(杭かコンクリート基礎、角度など)を選ばせてくれる
- 電力会社の協力店になっている(トラブルへの対応がスムーズ)
- 内線規程にそって電線をきっちり選べる
- 支払方法が選択できる
- オリジナルプランを提案してくれる
【施工時】
- 資材搬入などで融通できる(お客さん自ら手配される場合)
お客様の納品商品に対応できる保険に入っている - 施工経験が豊富
- 土木関係の資格がある(重機の免許など)
- 工期をあらかじめ決めて守れる
- 連係時のチェック(メンテナンス)ができる
- 廃棄物の処理に関しても熟知している
シミュレーションや工法の事を施工業者に自ら依頼しないで、施工業者の方から提案してくるかどうか待って観察してみるというのもいいかもしれません。こちらからは、何も言わないでいろいろ提案、説明してくれる業者であれば信頼できる業者として判断できるでしょう。
また、【施工時】の施工経験や、メンテナンス、商品の保険などに関しては、契約前に必ず確認し、契約後のリスクや気になる点を細かく確認して一つ一つつぶしていくことが大事です。上記の内容は、ぜひその際の参考にしてください。
3.こんな業者にはご用心
先ほどは、業者が選ぶ良い業者について説明しました。
今度は、こんな業者は気を付けましょうという内容をお伝えしたいと思います。
【ご用心】
- 見積は「太陽光システム一式」のみ
- スクリュー杭を切る
- 施工中、太陽光パネルに乗る
- 質問に丁寧に答えない
- 訪問販売
3-1 見積は「太陽光システム一式」のみ
見積に関しては、先ほども説明しましたが、「太陽光システム一式」のみで部材の詳細価格や施工内容を記載しない業者も存在します。通常の業者であれば、事細かに詳細情報を載せてくれますので、まず「太陽光システム一式」のみの見積が出てきた場合は、気を付けましょう。
3-2スクリュー杭を切る
こちらは施工時に、スクリュー杭が最後まで入らないことが稀にあります。その場合、整地などが問題の場合もありますが、それをごまかすために、スクリュー杭を切ってしまう業者がいます。スクリュー杭を切ってしまうと、地中深くまで杭が入らないため架台の耐風圧が下がってしまいます。
台風などの強い風が吹いた場合、奥深くまで入っていないため抜けてしまうリスクがあります。
対策としては、スクリューを入れる際、岩盤が当たった時にどうしますか?と質問してみることです。その際、業者がスクリューを切ってしまうと回答する業者に施工を依頼するのはやめましょう。
3-3 施工中、太陽光パネルに乗る
昔から屋根の太陽光パネル設置をされている業者に多いのですが、屋根のパネルを施工する際、日本のメーカーは認定をとる必要があります。認定研修の際多くのメーカーが、落下防止のためパネルに乗って施工することを進めていたという経緯もあり、昔からの業者は、現在もパネルの上に乗って施工することがあります。
そういった経緯もあり、パネルの上に乗っても大丈夫とおっしゃる方もいますが、乗った重さで、パネルにひびが入ったり、割れたりすることも確認されています。
そのような業者と契約しないようにするためにも、契約前に、現在の施工現場を聞いてこっそり視察に出かけることをお勧めします。
3-4 質問に丁寧に答えない
こちらから質問した内容に丁寧に答えてくれない、また、あまりいい提案をしてこない業者もいますので、何度も言いますが、これらを防ぐためにも1社だけではなく、2社以上見積を依頼し、提案内容や見積内容、応対を見て判断しましょう。
3-5訪問販売
訪問販売で、提案してくる業者もいますが、訪問販売の場合通常の業者より営業コストがかかります。営業コスト分が販売・施工価格に反映されるため、通常の業者より高くなります。
たとえ安い価格を提案してきたとしても、なにかしら抜けがある場合が多いので、訪問販売は断り、ご自分で、地元の施工業者や大手業者などを調べ、依頼されることをお勧めいたします。
4.太陽光発電所の設置にいくらかかるか?
2,3社に見積依頼をすれば大体の相場がつかめると思いますが、それでもだいたいの価格を知りたいと思われる方に、設置費用をお伝えします。
経済産業省の調達価格算定委員会が作成した資料が一つの目安になります。
今回は、平成 29 年度以降の調達価格等に関する意見を参考に設置費用についてお伝えいたします。
https://www.meti.go.jp/shingikai/santeii/pdf/20220204_1.pdf
この表にある、10-50kw未満の低圧連携が初期コスト、ランニングコストを抑えることができ、お勧めです。
50kw以上の場合、維持管理のランニングコストとして主任技術者への委託費用、年間数十万円が必要となります。このような理由から、個人で太陽光発電所を作る際、多くの方は50kw未満を選択されます。
先ほどの表にある価格というのは、太陽光パネル、パワコン、架台、施工費を含んだ価格になります。この表からは、28年度の想定値が、kwあたり25.1万円となっています。50kw未満の低圧連携を行う場合、大抵の人は50kw未満ぎりぎりの49.5kwで太陽光発電所を作ります。
49.5kwの場合は、49.5×25.1万円で試算すると1242.45万円となります。土地をお持ちの方であれば、上記の価格で太陽光発電所を作ることができます。
しかし、ここに土地代は含まれませんので、土地の購入を考えておられる方の場合は、さらにこれに金額がプラスされることになります。
あくまでも、kwあたり25.1万円は参考価格です。
実際には、施工する土地の形状や架台、パネルメーカー、パワコンの選定などの条件などによってkwあたりの価格は異なります。特に、パネルをどこのメーカーにするかによって、この価格より安くすることも可能です。
なるべく安くするためにも、2,3社に見積依頼をすることをお勧めいたします。その際、パネルはいくつかの候補を提示してもらう事をお勧めします。
5.まとめ
これまでお伝えしてきたことを最後にまとめます。
- 施工業者、部材販売業者、分譲販売業者の3種類の業者が存在する。
- 部材販売業者、施工業者に見積依頼する場合、必ず2、3社に依頼する。
- 質問や提案などを丁寧にしてくれるかをいい業者の判断材料とする。
- 疑問に思う事、不安に思う事を業者に相談するなど、契約前になるべくたくさんコミュニケーションをとる。
- 参考としてPVプランナー協会の認定を受けているかどうか確認する。
- 施工実績を確認し、できれば施工中の現場、施工済みの現場を一度見学してくる。支払い条件を確認し、前金全額は避ける。
- 地元の業者にお願いする。
- 一般的な価格を知りたい場合は、経済産業省の調達価格算定委員会の資料を参考にする。
おめでとうございます!
これであなたも太陽光発電所のオーナーへの一歩を歩み始めました!
これで、業者に関する基礎的な知識が得られたのではないでしょうか?
それでは、次への行動を移しましょう!気になる業者を見つけ、まずは見積依頼をしてみましょう。最後に、わからないことをなくすためにも、なるべくたくさん質問し、多くのコミュニケーションをとりましょう!!